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kotou no oni
同性愛を描いた一般小説ということで読んでみました。
文豪の昔の作品…という事で躊躇いはありましたが、読み始めると意外や意外、とっても読みやすくてスルッとハマりこみました。
尻込みしている姐様がいましたら、是非読んでいただきたいです。
BL的部分に限って言うと、ゲイの諸戸がノンケの蓑浦に片思いしているのですが、蓑浦もその気持ちを分かっていながら「彼といるとどちらがが異性であるような、甘ったるい匂いを感じた」り、諸戸にあからさまな好意を向けられても嫌な気がしていないんですね。
絆される素質充分です。
結局蓑浦はある女性と結婚し、諸戸は失恋のままにこの世を去るのですが、死の間際まで蓑浦の名前を読んでいたという描写に切なさが爆発しました。
この切ない描写で締める辺り、乱歩先生分かってらっしゃるなと思わざるを得ない。
腐男子ですよね、先生。
同性愛について研究されていたとの事。江戸川乱歩という作家についてかなり興味津々になってしまいます。
おどろおどろしいホラーっぽい一面もあり、怪奇ミステリーが好きな方にもオススメです。
ちるちるで紹介されてたNHK特番を見て、絶対読まなきゃ!と思っていました。その番組でも読まれてたこの創元推理文庫版は当時のレトロな挿絵も付いていてとても素敵です。文章や表現も大正・昭和ロマンって感じで恋人とカフェに行ったりとか当時の風習もわかって面白かったです。
これはBL小説ではなく推理小説ですが、不気味なホラー的要素もあり、男性の同性愛も間違いなく重要な要素のうちの一つになっています。腐女子目線で読むと最後の二行は切なすぎて涙を誘います。そして壮大なお話のラストをこの文章で締めるんだ…という感動もあります。
主人公の箕浦は25歳の会社員でノンケ。6歳年上の諸戸は帝国大医学部卒のエリートですが、ゲイで学生時代に一緒の下宿だった箕浦に当時からずっと恋しています。2人共容姿端麗です。
箕浦は同性愛者ではないけど、諸戸が知的で見た目もいいので男に好かれてもそんなに悪い気はしていなくて、学生の時も諸戸の気持ちを知りながら銭湯で自分の体を丁寧に洗わせていたりちょっと小悪魔的な所のある人です。40代の深山木という独身の探偵からもモテていて、それにも気づきながらわざと甘えてみせたりしています。
箕浦のそんな天然小悪魔ぶりに翻弄される諸戸が本当に可哀想。諸戸は腐女子が大好きになるキャラだと思います。箕浦も生まれて初めての恋人を殺されてしまって可哀想なんですけどね。
事情があり体の不自由な人達もたくさん出てくるのですが今なら差別用語になってしまう単語もたくさん出てきて、それぐらい古くに書かれた話だというのを実感しました。
前半の『この美貌の青年は、わたしの夫であるという異様な観念が、わたしの頭をかすめて通り過ぎたのである』といい
洞窟の中で体温を感じるシーンといい、そこらへんのセックスシーンよりも官能的です
感情移入させるのも上手い
なんだか狂おしさすら感じさせます
ああ小説家の書いた同性愛小説がもう少し増えないかなあ……
異性愛でも卑猥語オンパレードの官能小説なんかより文豪がさらりと書いた一文の方がエロティックだったりしますよね
やっぱり段違いなんですよ、筆力が