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ojisan wa wasureono no naka
北別府ニカ先生、昨日お誕生日でした。おめでとうございます!
◾︎表題
表紙がおじさんかと思いきや違います。短髪のおじさん好きなんだけどな。表題のおじそんは長髪です。かつ、おじさんは35歳です。35歳でおじさんを名乗るのはまだ早い…と私は思うんだけど一般的にはそうでもないのかな?
結構好きなタイプのお話なんですけど、どこまで綺麗なことを言ってもおじさんは"高校生に手を出した人"なんだってところが悲しい。
◾︎いちばんすきなひと
人によって好き嫌いが分かれるだろうな…私はどうしても北川の人生を思うとダメでした。北川自身は納得してるんだろうけど、光司が勝手に思えてしまう。北川が主役のストーリーだったら光司を扱き下ろすレビューを書いていただろう。光司に魅力を感じれなくて。
2つのお話が収録されていますが、表題作は元は同人誌のお話だったようです。
それに描き下ろしのお話が追加されています。
もう1つは雑誌に2010~2011年にかけて連載されていたシリーズ物。
どちらのお話もほのぼのしていて暖かいのですが、少し切ないお話でした。
どちらも年の差、過去へのこだわりが割と強く出ている作品です。
人も30代になってくると時々昔の甘酸っぱかった恋愛を思い出したりするものですが、そういう時はどこか切なさを感じるものですね。
このお話の主人公達の昔の恋もそんな感じでキュンとしました。
個人的には表題作の2人の間柄がもうちょっと深まるところまで見てみたかったかな~と思いました。
高校生から見たらおじさん。
でも、まだ、全然若造じゃん。
表題作、おじさんと高校生君は好きあってはいるのですが、まだまだ清い関係です。
で、このおじさんは、いったい高校生君をどうしたいのか、
高校生君が大人に育って、自分を抱いてくれるのを待っているのかなぁ。
なんかもやもや。
というわけで、この表題作の雰囲気BLより、同録の「いちばんすきな人」の方が、BLとしてお話がしっかりしていておもしろかった。
若気の至りで別れちゃった初めての相手と再会して、
本気で好きだった相手はきっと一生好きなままだけど、
でも、今、好きな相手には誠実に。
この前向きさがいいわ。
「おじさんは忘れモノのなか。」「いちばんすきな人」
どちらも “思い出” と一言では簡単には片づけられない過去を持つ30代と
その彼と “今” を共にしている若者とのおはなし。
一度本気で好きになった人のことは、別れても、振られても、傷つけられても
時間が経って思い返すと やっぱり好きだなぁ と感じるタイプの人には
共感とあたたかさと希望をくれる一冊だと思います。
過去の想いや痛みが 年月が過ぎて 少しづつ消化され
今隣にいる大切な人を より大事にしたいという 強い気持ちと
少し優しく そして素直になれる 自分をつくる・・・
そうできたら、年を重ねるのもそんなには悪くないように感じました。
自分はどうかなぁと振り返って考えてみたり・・・
切なくなるところもありながら
皆が今を生きることに前向きで まっすぐで
最終的には爽やかな印象が残ります。
ただ ちょっと引っかかったのは
20代前半にも見える30歳と +5~10歳に見える35歳のおじさん
同年代としては、その差はなんだろうと妙に気になり・・・
(やっぱり年はとりたくないかも・・・・・・)
「おじさんは忘れモノのなか」
インターネットで知り合った35と17というあまりにも感覚的に年の離れた二人がおじさん側にいるらしい誰かの面影、そして高校出たらどうなるの?にぐるぐるする話。
35にしては後ろ向きで枯れ過ぎな感じがする北川さんが心配ですが、
「恥ずかしい思い出も一周回るとそんな自分も可愛かった」
という考えには個人的には親近感も覚えなくもなく。
「いちばんすきな人」
恋人がいるのにもかかわらず、消化しきれずにいた一番好きだった人が目の前に現れてしまったというもの。
しかも相手もどうやらそれを何とかしようとして失敗してというのがあるからややこしい。
ここから再燃するような物語が多いのですが、この話はそういう事もなく嫉妬して今の恋人とこじれるわけでもなくただ単に過去を許す、というありそうでなかった話だと思います。
かたやフリーでいたところを拾った年下男。
かたや自らの都合で別れた思い出の中の同級生。
今までこういう二人の登場順が逆で、年下男が後から割り込んで想い出を食ったり、同級生が現れて年下が当て馬になるような話は見たような気がするしすっと思いつくんですがこういうのは以外になかったような。
いや、この本いいんだけど、何かがもやっと残るんだよなぁ・・・。
これで幸せになれるのかなぁというところが。
「泣かないで、大久保くん」
と同じタイプの読後感です。
ほのぼのして、ちょっと切なくて、あったかくて、それらが絶妙なバランスを見せるニカ作品は、本当、読み応えがありますv
表題は同人作品で、それに書下ろしがついて補完がされた形になってるんですが、これもまたいいんだ!
インターネットで知り合ったおじさん・・・自営業35歳、高校生からしたらおじさんだよね(汗)
そのおじさんと付き合ってるのは、高校生の俺・岡田くん。
おじさんが制服の高校生が好きなんだと思いこみ、
俺の後ろに誰か懐かしい人を見ているから、自分が高校を卒業したら捨てられちゃうんだと思い込んでいる。
だから、もう春なんてこないでいつまでも冬のままでいてほしいと願う、この高校生の気持ちがとてもキュンとするんです。
しかし、その後の描き下ろしにおいて、おじさんが高校生に何を見ていたのか分かって。。。
いや、おじさん!天然すぎるだろ!?(爆)
この二人の気持ちがそれぞれにとっても優しくて、高校生なりの、そして大人なりの立場でそれぞれを好きでいるその立ち位置が胸に響きます。
そして、『いちばん好きな人』においては、その過去を悔いているためにちょっとした波瀾が起きる話でした。
光司は現在4歳年下の恋人とラブラブの生活を送っているのですが、そんなある日高校時代一方的に別れを告げて振った恋人の北川と再会してしまう。
彼は結婚して子供もいると、風の頼りで聞いていたのだが、その子供は光司にそっくり。
また、北川は現在の光司の恋人・弘樹に何となく外見が似ている。
互いに嫌いになって別れたわけではないから、現在のその様子を見てもひょっとして想いを残してしまっているのか?と
それが何か三角関係を描きだすんだろうか?とドキドキさせてしまうのだが。
12年の歳月は少年を大人にしました。
それなりに、彼等は自分の気持ちをきちんと消化してそして現在があるのだということ。
思い出は思い出であるからこそ、懐かしく胸を騒がせるけど、今の幸せに勝るものはないんだという
以外にも現実的なお話だったと思うのです。
弘樹のワンコぶりが、ヘタレではなくのびのびとした一途な前向きワンコなのが、展開を明るくしているような気がします。
自分にとってのニカさんの好きな部分が全部出ているような、とってもいい本です♪