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ttengoku no mon
まんださんは実は同人誌時代から読んでる作家さんで、もうそれから20年近くになりますが、まさかこういう作風の作品を描く様になるとは正直思ってませんでした。
変わったなあというか間口が凄く広くなったんでしょうな。
昔からの持ち味であるコメディちっくな語り口を見せたり、そうかと言えば深かったり切なかったり。
唐突めいた変な人物ではなくて、ちゃんと血が通ってる人物って感じがします。
ちと世俗離れした人物を描いてもどこかしら人間味があって浮いた風じゃない。
そしてやっぱり家族愛を描くのが上手い、しみじみ上手い。
実際に家庭を持たれてるからっていうのもあると思いますが、それだけじゃ描けるものではないのでやはりその要素が広がったんだと思う。
少年からオヤジまで、どの話も好き。
まんださんの他作品と比べると萌かなという気はしますが、イチBL作品として考えるとやっぱ神で。
読み応えのある一冊です。
『自由になあれ』『恋路』『初恋』『天国の門』はBAR天国の門と“二丁目の堕天使”と呼ばれる、愛のあるセックスができないウリ専の少年・智之にまつわる連作。とはいえ、智之が必ずしも主人公というわけではないところがミソ。ほかにバーのマスターやなじみ客・片桐も繰り返し登場する。一部シリアスな展開もあるが、全体的にはコメディータッチで軽く読める。
『自由になあれ』は妻子もちの隠れゲイが自分の本当の望みに気づく物語。今ではすっかり認知された感のある「オヤジ受け」だが、これが10年以上前に発表されたことと、この設定を助言した友人の存在に驚かされる。
『恋路』はかつて告白されたものの突き放したまま別れてしまった友人を探しに二丁目に来た男の話。雑誌掲載時のお題が「ホラー」だったとのことで、若干不思議な感じの話。
『初恋』は智之の中学時代の話。痴漢にあったところを助けてくれた同級生を好きになり、それが恋とも気づかぬまま影響を受ける智之の変化を憎々しく思う大人に、深く心を傷つけられる。
『天国の門』はそんな智之に本気で恋した天国の門のバイト君の話。バイト君はひどく全うな人間なので、智之のあまりに突飛な恋愛観・セックス観の理解に苦しむ。智之の真意を知りようやく手中に収めたかと思えば、またもするりと逃げられてしまう。これにて一応完結なのだが、智之にもバイト君にも幸せになって欲しいなぁと思ってしまう。
同時収録『誰にも言えなくて』は変態歯科医と甘い物好きのサラリーマンの話。コメディーだが、歯科医の所業は結構ひどい。
『キンダー・ガーデン~天使の園~』は息子が通う保育園の保父さんに惚れた男やもめの話。しかし保父さんはある思惑を持ってこのお父さんに接触する。これもコメディーだが、ラストは少し苦い。この話のみHなし。
ところでこのコミックスは表紙で損しているように思える。表紙はぼやっとしたタッチの水彩画で、薄暗いバーの雰囲気はよく出ているが、この作者の持ち味がはっきりとして力強いペンタッチとそれによって表現される豊かな表情であることは、残念ながら読み取れない。
天国の門というバーを舞台にそこに集う人、特に売りセンの智之を追った作品になっています。
切ないオヤジ受けが入っていて少し驚きました。
表題は恋をしない堕天使=智之が真剣に好きになってくれる人を見つけるけど、やはり帰る場所は天国(?)という意味深なエンドを持つお話。
智之に恋をして、天国の門にバーテンのアルバイトに入った敬。
智之はセックス=お金でしか表現できない不器用な子。
だから敬が「愛のあるセックスをしよう」と言って、智之は喜ぶけどそれはそれまで。
何だか切ないな~と思うのでしたが、カギは店のマスターにある?
そしてその智之が愛が表現できない子になってしまったお話が「初恋」
まだ恋をしらない不器用な子供が、家庭教師にいたずらされ、あこがれた人とは友人のままで、恋をする前に恋が終わったことがトラウマに。
青春の青さと切なさがこの一編だけにはつまっている。
そして、「自由になあれ」は38歳と29歳のおやじ受け。
ホラーがテーマらしいが、怖いのは人の心とかいうところだろうか?
「誰にも言えなくて」はドSの歯医者が出てくる。
診察台に婦人科用の診察台が用意されて、待ち構える獣のような歯科医に笑いを誘われる。
まったくガラっと変わった作りなのが「キンダーガーデン」
婚約者に子供ができなくて別れを告げられた保父が、父子家庭の父親に子供をくれと頼むのだが、その父親のほのかな恋心を砕くとともに、むごいお願いだとこちらまで腹立たしく思った。
しかし、最後その父親が子供達に囲まれておお泣きするシーンで救われる。
まんださんが子供がいる人だからこそ、こんな話もできるのだろうなと思った次第です。
軽くコメディに流しながらも、深層をついてくる作りは心惹かれます。
初読み作家さんです。
1995~1999年の間に雑誌に掲載された作品集です。
表題作になっている「天国の門」というのは新宿二丁目にあるバーの名前で、このバーに繋がりのある短編が4作品収録されています。
その中に必ず登場するのが智之君というウリセンの少年。
決して恋をしないといわれている彼が中学生~高校生くらいまでの年齢(中退しているようなのではっきりしませんが)のお話で、オムニバスのような感じです。
このシリーズは報われない恋や無理やりなシーンがあって切ない雰囲気です。
同時収録は短編が2作品。
こちらはコメディ度は上がりますが、切ないのとコメディが混ざり合っています。
全体的に見ると、はっきりと両想いになっているカップルが非常に少ない。
Hシーンもあるのですが、ほとんどが一方的な想いで終わっているので、両想いや甘々なのを読みたい時には向きません。
私も決してこういうのは嫌いではないのですが…あまりに両想いになっているのが少ないので物足りなさを感じました。
なかなか味のある作品を描かれるので作家買いしている方です。
これは短編集でした。結構古いものなのでしょうか?後書きを読むとどうも処女単行本?のようです。
おじさんや、少年のようにかわいらしい受けが出てくるんですが、この作品集には暗い感じは全然なくて、全体にほんわかしたハッピーなお話ばかりでした。
特にこれというストーリー展開はないのですが、あたふたするおじさんとか、余裕がありそうなおじさんとか、微笑ましく読みました。