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owarukoto no nai kanashimi wo
改行の多い短いセンテンス。
思わせぶりな冒頭部。
病気、いじめ、虐待、etc、それぞれが背負っているたくさん過ぎるトラウマ。
「いわゆるケータイショーセツって奴ね。」
って、ともすれば揶揄されるような要素が満載。
ですが、この満載のパーツを、この物語には必要な要素なのだと、説得力を持たせて上手く収めてあると思う。
人にはそれぞれ過去があって、それが今の生き方に影響するのは必然。
そんな諸々のトラウマや葛藤を受け入れて、それでもこの相手と生きていく事を自分で選び取る、シンプルで前向きな結末はいいと思う。
私としては、文体や内容に関してより、挿絵の方に違和感があったので評価は萌1。
表題作とショート2作品とも、立花(受け)の視点で進みます。
あとがきによりますと、ブログの連載作品を文庫用に直された作品だそうです。連載時の作品は未読ですので比較はできませんが、シリアステイストな内容です。
立花は、友人からいじめられ、襲われて、逃げた直後に自殺されます。
秋ヶ瀬は実母に捨てられ、義母と関係をもたされ、父には疎まれます。
立花と秋ヶ瀬は親しくなりますが、立花は打算で園子と交際します。
秋ヶ瀬は園子の誘いにのって関係をもちます。
園子が妊娠し、立花は秋ヶ瀬の子供だと知りつつも結婚します。
その後、秋ヶ瀬は立花の娘の手術代のために、客に抱かれることにします。
登場人物の誰もが自分勝手な感情で相手をふりまわしているように思えて、切ないという感情が浮かびませんでした。読んでいて我慢しどころが違うのじゃないだろうかという疑問が頭を回りました。
離れている間に立花は園子と、秋ヶ瀬は真矢と肉体関係がありましたし、再会してからも立花は秋ヶ瀬が好きだけと告げる気はありません。
終盤でようやくした立花や園子の決断も、自分に酔っているようにしか思えず。すれ違いや辛い過去を乗り越えてのラストも「これから二人で幸せになって良かった」という祝福気分になりませんでした。
ただ、ラストで秋ヶ瀬が泣いたのは、胸にぐっときました。涙が一筋流れたイラストも素敵でした。
ショート「聖夜」は幸せな二人のクリスマスイブの話ですが、それをあわせても、私にとっては読後の印象がどうにも重くスッキリしない作品でした。辛さと甘さのバランスが取れていないというより、主人公達の言動に理解ができるかだと思います。私は難しかったですが、相手のためにと自己犠牲タイプがお好きな方は気に入られるかもしれません。
帯『凍えたきみの心に、届かない-』
表紙の感じもタイトルと合っていて手に取った時のイメージは悪くないですし、あらすじも好みそうなんで読んでみたんですが……が……なんかなんつーか何だかなー。
作者が書きたい事はまあ何となく伝わっては来るんですがそれが面白いかどうかというと……正直面白くない。
色んな要素は詰め込んであるんですがどうもその全てが空回りしている印象。
例えば遼平[攻]も透[受]もお互い、それぞれにトラウマ持ちなんですがその設定が生かされていない。
特に透は、彼方面での物語のキーでありながらそのシーンがさほど読み手に響いて来ないんですな。
設定自体は悪くないんだけど空回りしてる気がしました。
あと透の娘は素直に透の娘だった方がすっきりしたんじゃなかろうか。
個人的には透の別れた妻が、自分のエゴでひっかき回しておいて「私たち3人の子供よ」っていい女ぶってんじゃねーよ!!!と突っ込んじゃいましたよ。
まあ娘さんに罪は無く可愛かったですが。
作品のプロット自体は悪くないのに生かせなかったって感じです。
いっそトラウマ持ちはどちらか一人だけに絞った方が良かったのかも、なんかどちらも中途半端な気がした。
元の方が好きでした。
大筋は一緒なのですが、端々に「……ちがう」というところがあって。
しかも私が勝手ながら「いいな」と思っていたところばかり変わってしまっているのが悲しかったです。
出版されるにあたり改稿されたのだと思いますが、元の作品が好きだった私としては「どうしてそこを変えてしまったの」という気持ちになってしまいました。
デビュー作は、素晴らしいものにさらに磨きがかかったといった感じを受けていたため、なおさらです。
どうしても、今後の作品の購入を現在ためらってしまいます。
この作家さん2冊目でしょうか?初めて読んだのですが、もう冒頭から延々と続く同じ語尾の使い方。
シリアスを演出するためでしょうか、客観的な淡々とした主人公の気持ちを綴るためにこの「た」を多用した語尾を使われているのかもしれないが、一行が短い為に「~した」「~だった」がしつこく、ぶつ切りの印象と稚拙な文章を思わせて、大変に不快な文体でした。
自分がここまで思うのは大変に珍しいことなので、ここへ書いておきます。
文体が不快だと当然物語への入り込みも悪くなります。
主人公達が抱えたトラウマ、それが互いの気持ちをすれ違わせ、拒絶と執着を生む物語。
深い心の傷となる彼等の過去は、それなりに悲惨で残酷なモノですが、女性の存在が理不尽を感じて、それと彼等の関わりにも納得いかないモノを感じてしまい、自分にとっては大変にもったいない結果となってしまいました。
高校の美術部で大変に気が合い、互いに居心地がよく、互いに切磋琢磨してしていた秋ヶ瀬と立花。
しかし秋ヶ瀬が描いた立花の絵が元でホモの噂が立ち、激しい拒絶を示した立花は、彼と距離を置くうちに離れ離れに。
立花の従兄弟の園子が妊娠しているのを承知で、いつでも彼の味方であった彼女と高校卒業同時に結婚する立花。
しかし、彼等は間もなく離婚し、重い心臓の病で移植が必要になった娘に、秋ヶ瀬が資金援助を申し出る。
その見返りは立花が秋ヶ瀬のモノになること。
体を開かれるのは苦痛であったが、秋ヶ瀬の抱える苦悩を知ることにより、段々と秋ヶ瀬の側にいたいと願うようになる立花。
立花が「ホモ」と呼ばれる事に激しい嫌悪を示す原因となった悲惨な過去。
秋ヶ瀬の弱った姿を見て、金の工面の話を聞いて、彼の側にいてあげたいと思うのは、今まで通り友人として、という立花の態度はまっとうなものであるが、彼を恋人として受け入れるには、何か流され的なものを感じてしまう。
高校時代も居心地のよいものを感じていて、それは本当は恋だったのにトラウマが原因して認めたくないが為に「友人」に固執する。
それは後の展開によって裏付けされるのだが、自分にとっては説得力は弱い。
しかも、秋ヶ瀬も女が嫌いになるような原因を持ってはいるものの、彼が愛情に恵まれなかったという過去を持っているという告白に、立花を必要とする、彼でなければならないという理由は見えない。
秋ヶ瀬に絵を描かせているものは、立花への想いという部分で、充分に一見男前そうでありながら、かなりのヘタレで痛い男だ。
立花の元妻の園子であるが、立花が好きで彼を自分のモノにしたくて秋ヶ瀬と寝て立花を自分のモノにする。
その手口は汚い女のものであり、それにコロっと騙される立花はどんだけ人がいいのかとも思う。
離婚したくせに、やっぱり秋ヶ瀬には叶わないとかラスト近くでやっと立花を解放するような発言をさせるのだが、一人でドラマを演じている道化にしか見えなかった(それはそれでいいのだろうか)
物語としては、それなりにうまい構成をしているのだろう。
しかし、心臓移植やら悲惨な過去があるわりに、彼等に生活感がとても薄いのが残念だ。
何か所詮紙の上のきれいごとにしか見えない。
語尾をシリアスにしているのに、存在感が与えられなかったのは、そこにもあるのではないだろうか?
文章が気に入らない為にこんな評価になってしまった。
こんな文体を使う割にはとてもヌるい話であったとしか言わざるをえないだろう。
他の本もこんな調子なんだろうか?
この一冊だけで評価してしまっては、申し訳ないだろうか。
エピソード盛りだくさんのところが逆に萌えないのかもしれません。
主人公、透は離婚した妻の元に引き取られた娘の心臓手術のために店を売ってお金を用意するのですがまだ足りません。そこで、人づてに聞き及び10年前に決別した親友遼平がお金を助けてくれます。そして、遼平は透に執着しているので、無理やり襲います。本当は昔みたく楽しく絵を描いて過ごしたかったのです。透は自己犠牲の人です、元妻が妊娠したのは遼平の子供でそれを込みで遼平の将来を傷つけないために結婚しました。
それでも妻は私は愛されていなかったわと、離婚を言い渡すし。
最後は甘くハッピーエンドでした。が、なんだか肩すかしのように感じてしまいました。
イラストがもう少しほの暗い雰囲気だったらもう少し浸れたのかもしれません。残念でした。