rhodorite
中村悠一さんの良い声の次はこれもまた良い声の諏訪部さんパートです。
「FLESH&BLOOD」はトラック2、約19分間に渡り、本編第4巻頃・海斗が
宮廷道化師として仕えていたある日の出来事が終始ジェフリー視点で語られています。
美しい花の咲き誇る庭を女王に従い散策中に見舞われたちょっとしたトラブルを
うまく切り抜ける海斗と、それをそばで見守るジェフリーという、
海の上とは全く違う、日常の本当にささやかな一場面といった感じです。
このCDの醍醐味は諏訪部さんの素晴らしい語りを聴く事そのものかなと感じます。
諏訪部さんの声音や語り口はとても穏やかで優しげで、情愛に満ちています。
その臨場感あふれる演技のおかげで、声としては登場しない海斗をはじめ、
女王や彼女に付き従う廷臣達や女官達、そして野を飛ぶ蜜蜂達さえ、
ちゃんとそこに居るかのように感じられるのが素晴らしいです。
女王に従いそぞろ歩く人々の様子がありありと目に浮かぶようでした。
余談ですが、このCDを初めて聴いた時も本当に素晴らしい演技力だなと思いましたが、
その後、同じく諏訪部さん(と保志さん)朗読の『星の王子さま』を聴いた時、
なるほどと思いました。諏訪部さんは一人でパイロット、花、キツネ、蛇、
そして王子さまが訪れる星の様々な人物達を担当なさっているのですが、
それぞれに相応しい声色、間合い、抑揚を実に豊かに演じ分けられていて。
こういう裏付けがあったんだなぁと納得でした。本当に見事でした。
いつもの意気軒昂とした、自信に満ちて豪胆なジェフリーもいいですが、
こういうゆったりとしたジェフリーもいいですね。
ぜひ諏訪部さんの聴き取り易く巧みでほっとするような優しい語りをお楽しみください。