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この世界観はこの作家さん独特のもので、懐かしい匂いのする作品でした。
作品自体が10年以上前のもので中断されていたものに描き下ろしを付けて決着を付けているので、若干絵の変化がみられる個所もあるが、それは仕方ないでしょう。
また、このエンドにどうしても二人をくっつけたい人には不満が残るかもしれないが、やまがた流といえばそれも納得できるのです。
ただ、多分に雰囲気の世界なのでかなり推測と想像で、自分と主人公を同化させることでその違和感を埋める作業が必要になりました。
ただ、一貫して登場人物達に匂いや地に足のついた力強さはなく、ただただフワフワと漂うような、かといって浮いているわけでもなく、シルキーなスクリーンがかかったような世界をほうふつとさせる存在感なのでした。
この主人公・敦はかなりこだわりのある意味頑固な人だったと思います。
こだわりの自分の世界を理解してくれる人は唯一、自分の姉だけだったのだが、もっと外の世界を見てほしいと願う姉から紹介された音楽をやる男・高瀬が、バンドとは違う、本当に彼がやりたい音楽を聴かされた時、それは自分の持つ世界と同じものを持つと共感し、敦は高瀬にのめりこんでいく。
ここが不器用たるところ。
敦は、0か1しかなく、中間や折衷はないのです。
自分の世界を理解してくれる二番目の唯一たる人になった高瀬への気持ちは依存とも執着とも、あこがれとも、恋とも、それはとても複雑に全てになっていたのです。
しかし、高瀬は恋の対象として敦の存在が変わることで、
その期待を寄せる敦に答えようとすることが段々高瀬の足かせになり、二人の気持ちがすれ違っていってしまう。
でも離したくない、離れたくない、二人の関係は微妙で・・・
そこに健二というギター弾きが登場する。
彼は確かに敦が好きだった。
でも、敦は健二を恋の対象として見ることは出来なかった。
音楽の世界を共有できなくなった高瀬の、次の自分の世界を表現するためのパートナーにしかなれなかった。
そんなラストは、でもあっさりと、さっぱりとしていて。
一兎追う者二兎を得ず
なんだろうか?
な、疑問を自分の心に残しつつ、それでもそれも若さなのかなーとも・・・
敦への執着と依存を脱却できた高瀬は、まさに敦の求める世界を奏でていたようです。
果たして・・・・?
きっと全ての答えは冒頭の『UNIT』で語られていたのかな?そんな気がします。
そんな余韻が何故か心地良い作品だったのです。
やまがたさとみさんの作品は久々に読みましたが、やっぱり好きな絵です。
さらさらした、水のような読後感でした。
悪くない。悪くないけど、もう少し味が欲しい、みたいな。味が欲しいというか毒が欲しいというか。
「好きなのに、一緒にいるとどんどんダメになっていく」という関係を描いてます。切ない。
障害なんてないのに、応援してるのに、互いに好きなのに、相手が自分のせいでダメになる。
それがわかってしまったら、もう一緒にとことん堕ちるか離れるか、その二つしか選べないじゃないですか。
ただ、この話なら、互いを徹底的に傷つけあう場面が欲しかったなァとも思いました。
たぶんこれはページ数の制約があって、そこまで描ききれなかったんだろうなと思いました。