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作家さんの新作発表
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原作乙一さんの推理小説を漫画化したもので、3作品収録されています。
漫画自体は、「ミステリービィストリート」という雑誌に連載されていたようです。
表題作は、小学校の男の子と、その新任の担任の先生との物語。
人気者と思っていた先生が、ある一人の生徒にだけつらく当たり、先生がその子を苛めるようになるので、他の生徒からもいじめを受けるようになって精神的につらくなっていくお話です。
「暗いところで待ち合わせ」
収録作品中では一番気に入った作品でした。
目が見えなくなった女性と、その女性のアパートの部屋に逃げ込んだ男性のお話。
殺人が絡んだサスペンスで、犯人探しという点でも面白かったですが、目の見えない女性との間にうまれる感情的なものにも素敵なところがあります。
「しあわせは子猫のかたち」
大学入学を機に一人暮らしを始めた男性と、その部屋の前の住人とのお話。
実はその住人は殺されていて、住み始めた当初からその人の霊の存在を感じる、というお話です。
でも怖いお話ではなく、切ない系のお話。ちょっとホロッとします。
原作の乙一さんのファンです。
クレタコさんと基本的には同じ感想です。
登場人物の顔をキレイにしてしまった作品が多いのが残念。不細工に描かないと、テーマが若干ズレてしまう。
ただ、原作を読まずに単体でこの漫画だけ読めばなんの問題もなく面白いと思います。ストーリーそのものに力があるし、山本小鉄子さんの画力や構成力も素晴らしいので。
綺麗な顔にしたのはオトナの事情かなァ。綺麗な顔の登場人物のほうが「読み手が肩入れしやすい」という部分があるんですよね。でもこの、美醜で共感性が変わってしまうシビアな現実そのものが、まさに作品のテーマに関わる問題なんですよ。そのへん非常に興味深く思いました。図らずもシビアな現実を少し肯定してしまっていることになるんです。皮肉です。
『死にぞこないの青』
主人公がイジメのターゲットになっていく場面、胸が痛い。
イジメられた経験がある人って、オトナになってからも「自分をいじめた相手に復讐する場面」を何度も何度も妄想してしまうときく。そういう人にとってはとくに、この作品から凄まじいパンチ力を感じるだろうと思う。
ラストが優しいのがいい。
『暗いところで待ち合わせ』
一人暮らししてる盲目の女と、逃亡してる男の奇妙な同居生活。
これが自分なら、怖いのはもちろんだけど醜態さらしそう。私も一人暮らしですが、基本的にトイレのドアは開けっ放しでやっちゃうし、風呂上がりは裸のままテレビの前でダラッと湯ざまししてるし。一人暮らしの女なんてそんなモンじゃなかろうか。
ともあれ、話すこともない二人なのに、気配だけで心寄り添っていく様子にはじんわりした気持ちになりました。
ラストもお見事でした。こういうひっくり返しがミステリーの醍醐味ですね。
『しあわせは子猫のかたち』
幽霊との同居生活。
これBLで読みたいなァ。
手紙の文章の言葉遣いは、ちょっと変だと思いました。
BL作品ではないです、ニアホモ成分も無し。
乙一さんの小説のコミック化。
これはですねー、この作品単独で読む分にはいいと思います。
ただ原作小説と比べちゃうと、ありゃ?って感じる部分が幾つか。
例えば表題作での主人公マサオは、原作だと太り気味な少年なんですよ。
でもこの作品だとむしろ可愛い系にさえ見える少年になってる。
「暗いところで待ち合わせ」
これは盲目の少女の家に、男が入り込んで生活するって話なんだけど、これも自分が原作を読んでたイメージとは違って彼女がやたら小奇麗過ぎる気がしました。
盲目の一人暮らしって事もあって、髪型ももう少し垢抜けない方が良かったというかそんな感じ。
全体的にスッキリ綺麗になりすぎちゃったなーという感想を持ちました。
あくまで原作と比べて、ですが。
ちなみに乙一さん曰く、小鉄子さんは凄く描くのが早いそーです。