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kare no nemuru basho
ふわふわの甘い恋、熱いエロ描写、萌え萌え〜、それらを求めている方は回れ右。
静けさと切なさの宮本佳野ワールドに浸れる2編収録。
「彼の眠る場所」
読みようによってはかなり暗い物語。
主人公は、ゲイでフラフラと浮ついたような甲斐。
そんな表の顔の裏で、甲斐は不眠に苦しみ精神が不安定になっていく。
その根底には13才の時、両親と弟が一度に死んでしまった自宅の火災事故とそこにまつわる辛い記憶…
ノンケではあるけれど甲斐が心配でたまらない同僚の吉岡が、同情からではなく愛をもって彼に寄り添うが、甲斐は自殺を図ってしまう………
念のために言えば、大丈夫です、甲斐は死にません。
この後、立ち直って吉岡と共に過ごすようになり比較的甘い雰囲気で終わります。
あまり長い話ではないけれど、「ザ・宮本佳野」とでも言いたくなるような哀しみと孤独、1人で抱え込む辛さ、それでも誰かと共にいたい、1人ではいられないという渇望、それらが充分に満ちている。
「エレメンタル」
クロフネに掲載の非BL作品。
霊感のあるアルバイト男性・春。バイト先の古書店の店主・英二さんに異変が。
いわゆる「人魚伝説」がモチーフで、怖いというよりは儚くて哀しい。そして美しい。
こちらも結末は大丈夫、英二さんは春に助けられ、怪異から逃れます。
「彼と棲む場所」
吉岡と甲斐は同居して、会社を辞めた甲斐は1日家にいて掃除洗濯、なんか結婚してるみたいなんて。元ノンケの吉岡に少し遠慮がちだけど、ずっと一緒にいたいと伝えます。
ものすごく鬱なお話でした。
保険会社に勤める甲斐と吉岡の二人は性格は正反対の同期のコンビ。
甲斐のほうは重いトラウマを抱えていて、躁鬱状態です。
普段はものすごくハイなんですが、一人でいると不眠症で拒食気味で自傷行為に至るまで…。
それを吉岡が文句をいいながらず~っと支えてくれるんですね。
この文句を言いながら、怒りながら、甲斐を殴りながら、いい加減にしろと言いながら、でも甲斐を見捨てないところがいいんです。
お話は暗いのに、テンポがわりとコミカルなので読みやすさはあります。
ですが内容が内容だけに読み手を選びそう。
個人的にはストーリーは面白かったし、カップリングとしても萌えました。
生きる気力をなくした人にどうしたらいいのか、自分の存在は支えにならないのか、難しいことだけど、甲斐を見捨てない吉岡って存在が、人間としてすごくカッコイイです。
明日も元気に生きてることが当たりまえなのに幸せなことなんだなあと感じるお話でした。
実に痛い話だった。
痛いというのは、主人公・甲斐のトラウマ具合である。
彼は慢性的に不眠で、昔の幼馴染で元カレというのに会ってから食べるということもできなくなり、典型的なウツの症状に冒されていくのだが、彼が自殺未遂をして入院した時の様子が、実は自分的にそれによって命を絶ったある知り合いを思い出させて、本当に胸が苦しくなったのだ。
この物語では、トラウマの原因を理解する相手と、それを分かち合える相手が現れた事で、まったくそれから逃れたわけではないが、受け入れて前向きに生きていくという結末が得られたので救いではある。
宮本さんのマンガは、どこが萌えるとかいったそういう萌えというのとは違い、本当に人の心にグサリと喰い込むシリアスが魅力なのだと思う。
そういう点で、実に地味なのではあるが、心に残る話ではある。
今回は、恋人でもない、ちょっとした身体の触り合いをする同僚が見捨てておけなくて、でもそれは同情というのでもなく、彼がどうして苦しんでいるのか知りたいと思う、そんな情から来た愛ではあるが、こうした結びつきは、その相手が誠実であるだけに、安堵感を与えるのです。
『エレメンタル』はクロフネZEROに掲載されてBL未満のファンタジー。
神主の息子、実家が神社の為か霊の見える男が、居心地がよいと感じている同居男性が囚われている夢=実はそれは命の危険を含むものなのだが
を打破する話である。
ちょっと陰陽師っぽくて、自分的に好きなテーマです。
評価が「萌」にはなるが、これはトキメイタという萌えではないことは書いておこう。