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萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
いちラキなので恋愛ものではありません。
だけど、友情と括るにはあまりに特別な彼らの絆は、恋愛ものでないからこそ恐いくらいに澄んだ輝きを放っています。友情でもなく恋愛でもなくまさに絆としか言いようのない、「対」の物語です。
匂い系がお好きな方にはぜひぜひ手に取ってもらいたい。
無鉄砲で怖いもの知らず、ひやりとした危うい鋭さを持つ小島潔。
そして周囲の期待に応える、優等生の主人公・裕司。
いつも一緒にいた幼馴染みだったのに、ふたりは中学に上がる頃からいつしか離れてしまいます。確かにあった絆は途切れ、どんどん無茶をし孤立化していく潔を、ただ遠くから伺うだけの裕司。
だけどふとした事が切っ掛けで、切れた糸はもう一度結ばれ、「いっちゃん」「ゆうじ」と呼び合う日々が戻ってくる。
そこから、物語は危うい方向へ動きだします。
いっちゃんが盗んできたバイクのバックシートに、裕司は靴も脱ぎ捨て裸足で飛び乗る。しかし、急速に距離を縮めるふたりに、周囲の誰もが懸念を抱きます。
優等生の裕司と素行の悪い潔では、潔が裕司に道を踏み外させようとしているようにしか見えないのだから、まあ当然です。
この話が好きだなあと思うのは、優等生の裕司こそが真っ暗な穴に落ちていて、いつも手を差し伸べてきたのは「いっちゃん」である点です。
まわりの期待にがんじがらめになり、窒息しそうになっていた裕司の暗い世界に差し込むのは、鋭いまでの「いっちゃん」という光。
周囲も照らしてくれる懐中電灯ではなく、ペンライトのように細く心許ない光。
だけどその光は真っ直ぐに、裕司だけに届くのです。
そして、誰も寄り付かず誰も寄せつけない孤島ような潔を人たらしめるのもまた、裕司ただ一人。
「ゆうじがいる」
「いっちゃんがいる」
ふたりにとってそれが、唯一なのです。
何者も入り込めない彼らの関係は、閉じた世界なだけに傍からみたら歪な関係でもありますが、同時に救いになっているのです。