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作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
『輝夜』が面白かったので、野守さんの他の作品も読んでみたくなり、手に取りました。読み終わったすぐは、感動して脱力感が凄かったです。
最初は、中学生の隆明の、母親との関係に胸が痛くなりました。そして、傷を舐めあうように始まった、2人の関係にドキドキして。やっと2人の関係が落ち着いたと思ったら、これ以上不幸になってほしくないとハラハラして。最後まで、ページをめくる手が止まりませんでした。
そんな中で、危うい存在だった隆明が大学生の永と付き合うようになって、だんだんと成長して強くなっていく姿にキュンキュンしました。永がレイプされるという衝撃の事件が起こった時の、今までの激しいだけの隆明とは違う永を包むような態度に、ホントに変わったな~とキュンキュンします。
お互いに、相手を大事にして育む愛情の深さに、良い作品に出会えたと幸せな気持ちになりました。
「恋人」という関係の成長を描いた作品。
登場人物が人間として成長していく過程をすごく丁寧に描いてるんですが、それに感動する以上に「関係」というものがこんなに成長していくものだという事に感動しました。すごくすごく良かった~。
傷つけあって、幸せと絶望を繰り返しながら、何年もかけて恋人としてちゃんと成長しているのが見て取れます。
野守美奈さんの既刊「夜はあどけなく」と「凍えるきみをあたためる」を一冊にまとめた文庫本なので、中の絵は若干古め。
中学生の隆明は母親から性的虐待を受けており、精神が不安定で自傷癖も持っています。
それに気づいた家庭教師の永は専門のカウンセリングを紹介しようとしますが、結局隆明を見捨てきれず自らが隆明を抱え込んで救おうとします。
「好きだから付き合おう」と始まった関係ではありません。永は隆明の傷を包み込むという目的と性行為に対するトラウマの受け皿になってあげたくて、自分の身を差し出します。
なのでこの関係は、最初は永が隆明の上にいて包み込み、彼を導き、何者からも(隆明自身からも)守ってあげる関係です。
傷ついた相手を抱いて愛してあげるというお話は定番だけど、自らに「入ってきていいよ」と受け入れる事もまた包み込むことで、なかなか出来ないんじゃないかと思います。
隆明はとても不安定で周りが見えておらず、永が離れると不安になってすぐかっとなり、自分も傷つけるし永にも手を出します。血を流し、自分たちは一緒にいても痛んでいくばかりだとわかっていながらそれでも永は隆明を愛している・・・。
重いといえば重いお話なんですが、それに見合う幸福感もいっぱい味わえます。
少しずつだけど隆明が自らと向き合い、成長が見て取れるシーンがあると本当にきゅんとなるというか…。
自傷も、母親との関係も、将来の進路も、隆明が向き合わないといけない問題なのですよね。
お話の中で隆明は中学生から高校生になり、寮に入り、何度も何度も決断しなければならない問題と対面し、でもその度にちゃんと成長しています。
不安定でしかたなかった隆明が周りを見て、将来何かになってもいいんだと気がつき、そして永を守れるくらいになった時に、最初永の完全な庇護から始まったお話は逆転し、関係は対等になり、長い時間をかけて永が導いた隆明の成長が実を結びます。
後半で永に大きな問題が降りかかり、隆明にあれこれ言いながら自分は無力で、自分が今まで隆明に説いてきたことは何だったんだろうと、自分を否定する永に向かって隆明が言う「俺を頼って」という言葉。
この言葉が隆明の口から出たことにすごく感動しました。
始まりから終わりまで、ボロボロだった2人がこんなに成長したというのは人って成長するんだーっていうより関係というのは成長するんだ、というなんとも言えない幸福感でいっぱい。
母親と行為を持っても、永と寝ても、男同士だし不毛じゃないかとか、最初は行為そのものの意味がわからなかったという隆明が、なぜ最初に永が自らを抱かせてくれたのか、中学生の時にはわからなかったことが大きくなってわかったと言います。
「今ならわかる」というのが成長した証でしょう。
ここまで来て何がわかったかを永に告白するシーンが最後にあるのですが、その台詞が本当に本当に素敵です。
寝るという「行為」に意味がないと思っていた隆明がやっとみつけた「意味」は、もう同性でも異性でも全てのカップルに言える事で、でも言われてそうかって気づく事。本当に感動しました。
それに自分で気づくまで色んな事と戦った隆明も、それを導いた永もすごく強いと思う。
「自分たちという関係が成長するにはどうしたらいいか」を常に考えてきた2人。
恋人って幸せと苦しさが一緒にあるんだなぁって感じた作品です。
でも互いに「この人が自分の人生だ」と、そこまで読んでいて感じられる作品ってなかなか出会えない気がするので、読んでよかった!って思える作品でした。