不思議の国のフタリ

読み返すと愛着の出るかわいらしさ

最初に一回読んだ時、つまんない！と思いました。
しかし、２度３度と読み返すと実に味わいがあることに気が付き！！
エロは全くなく、エチも一か所だけ朝チュンで清らか。
全体を覆う可愛らしい女の子みたいな恋愛感情が実にくすぐったくて心地いいことに気が付きました。
こういう清純派的少女漫画的作品て苦手だったはずなんですが、新たな扉を開いたようです♪

表題作品は特になく、「アリスビル」という建物の中にあるメンドルカフェ、ネカフェ、アンティークドールショップ、コスプレショップ　それぞれが舞台となったオムニバスになっています。

最初のメンドルカフェのお話だけは、どうにもその恋愛への持って生き方が強引で、その欲望を満たすなどとオドロオドロしいセリフの割に純情だったりする展開なんですが、あまりこれは好きじゃない。
段々後半の話に進むにつれて何だか好き。
親の放任で、住む場所も失くし学校へも通えなくなった青年が、人形マニアの男性に、欲しかった人形にそっくりだと声をかけられたことから始まる同居生活のお話は、男性が奥手で青年が積極的という逆転スタンスに意外性が。
家族にゲイであることがバレて家に居づらい青年が、ネカフェ住人と化し、そこの従業員と好意の駆け引きをするお話は、天然なのか腹黒なのか？そのトボケタ進行がかわいらしい。
そして一番好きだったのが、コスプレショップのデザイナー兼店長に見初められスカウトされた青年が、互いを意識して、これってどういう気持ちなのかな？とお互いにヘタレている部分がかわいらしくて。。。
ダイレクトに身体の関係へ進んでしまうエロ型のお話より、恋になっていく気持ちを重視したお話は、乙女心を刺激するんだな～

そしてあと、２話短編が入ってますが、００年、０２年作品と古い！！
しかし、最終話の『大人にならないように』はいい加減なちょっと不良と、面倒見の良い優等生のまっすぐ向きあう前向きな気持ちが新鮮でした。
持っている欲望を全部言葉にして嫌われようとする不良に、優等生は拒否するでもなく、ちゃんと手順をふもうね、と進言するあたり中学生らしいわ！と思わず悶えてしまうのです←おばはん入ってる？

少女漫画的展開が全然嫌味にならない貴重な作品でした。
熟成に成功したようで、よかったデス。