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主人公は、白血病を克服し、1年1か月遅れで高校に入学してきた花園春太郎。
白血病は完治した、と本人は病気だったことを忘れていたけれど、実は再発率10%で、5年間は安心できない状況だと姉から聞いて知る4巻。
5年後、自分は生きているのだろうかと、不安になる。「10%なんてあんまりだ。普通の人の何十倍も何百倍も死にやすい ...」
花屋か花好きの人物が登場する作品だと思っていたら、そうじゃなくて、英語の慣用句を引用していたのか~・・・
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★「flower of life」は、
考古学で「生命の花」、「永遠の喜びを祈り感謝する意識の象徴」の図で、数の均等に区切られて重なっている円で構成された幾何学的な図形。
宗教的な解釈は、「生きることの意味を常に意識すること」
もう一つ、theをつけるとthe flower of life:「生涯の最盛期」「短い花の盛」の意味。
He died in the flower of life.「彼は若い盛りに死んだ。」
・・の意味だった。深い!
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10%を意識する毎日を送る主人公は、春を迎え無事進級する。死を意識して生きる主人公の毎日は、密度が高い一日の積み重ねになるのだと思う。
死を意識しない廻りの人達が、いつもと変わらない様子で描かれている。些細な悩み、些細な衝突に翻弄されながら、急いで解決せず「明日やろう」と、日常のやらなければならないことを先送りしている友人や教師。
でも10%の死を意識した主人公は、ひょっとしたら明日は同じように来ないかもしれない。死を意識すると時間の密度も変わってしまう。
幸せになってほしい。再発しなければ良いなと願って読んだ結末でした。
耽美的な、結末のない終り方だけど、・・もしこの後も連載していたとしても、生きる意味を意識して生きる主人公は、きっと無事に再発注意期間の5年をクリアできたんじゃないかな。
似た意味の慣用句に「メメント・モリ」があります、英田サキさんの殺し屋を扱った作品にそのタイトルの作品があって、面白かった。
(羅: memento mori)ラテン語:「死を忘るなかれ」「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」
最終巻はかなりヘビーです。それまでは高校生の青春群像劇のような話で女生徒達の友情がとても良かったです。転校の多かった山根さんの友人との会話で「大人になって自分の住む所を自分で決められるようになりたい」っていうのは誰もが思春期に一度は思ったんじゃないでしょうか?他の生徒たちも普通に見えても悩みを抱えていない人間はいない、というのが楽しいエピソードの間に描かれていました。
この4巻では主役の春太郎の姉や担任の滋が人間の醜い部分をぶちまけていてとても痛いです。春太郎は姉とはそれまでとてもうまくやっていたのに、八つ当たりのような形で自分の病気がまだ完治と言える段階ではないことを知るのです。
でもこの後、クラスメイトの真島に八つ当たりのように毒を吐いて涙を流しながらキレるシーンは姉のキレ方にそっくりだ、と感心しました。このおかげで真島は冷静になれて罪を犯さずに済んでよかったのです。
滋も不倫相手の教師も最低ですが、実際いるんですよね。授業も生徒受けも良いけど私生活はこういう人が。どこの世界にも。滋の真島に「子どもっぽいこと言わないで!」ってセリフはあんまりだと思う。子どもに手を出したのはあなたなのに。
春太郎が翔太との漫画を応募した時、10年に1度の天才に賞を取られてしまって「10年生きられるかわからない自分はもう翔太と漫画は描けない」と春太郎は思っていたけど、翔太は「天才じゃなくても漫画家になれればいい」と無意識のうちに自分の欲しい答えをくれていて、友情って素敵だなと思いました。
意味深なタイトルなので春太郎が早逝してしまう未来ももちろんありそうだけど、それがミスリードで長生きして漫画家にもなれたって未来もあると信じたい。この漫画がここで終わっている限り可能性は無限にある。
BL的萌えはなかったけど名作漫画でした。
シリーズ4作目の完結編は、やっぱりと意外性と複雑に絡み合ったラストです。
高校生活の1年間、それも1年生と言う微妙すぎる年齢をリアルに感じます。
それぞれがそれぞれの立場で少しずつ大人になって行く過程が感じられる。
1番成長したのが主人公の春太郎くんかも知れない、それは自分の意思とは
無関係に自分以外の負の感情を受けてしまった事からやむなく大人になる
そんな危うい感じもしました。
1巻目に見せた自分の病気を躊躇も無く堂々と話した春太郎君が、この1年で
大事な友人に隠し事をしてまで自分の胸に不安や苦しみを抱え込む。
それは相手が受け入れてくれるようになるまでは言えないと言う優しさでした。
こんな違いに人間の成長を感じる事になるのは切ないですね。
そしてオタク真島の安穏とした日々も一転する事になるんです。
普段から淡々としていてマイペースに己の思いで行動する真島が教師に裏切られる
オタク気質で傲岸不遜な感じで恋愛感情なんて持っていないような感じが
真島がいながら元の相手教師とよりを戻してる事実に激昂する真島の姿は
初めて感情をあらわにした出来事だったように思います。
そしてその怒りと屈辱を晴らす為に激怒した感情のままに暴挙へ出ようと・・・
しかし、春太郎の言葉と、理由も云わずに内に秘めた悲しみで泣きじゃくる
春太郎に毒気を抜かれるように冷静になっていく真島。
高校1年生の青春にしては何気にハードな内容なんですよね。
この最終巻で、未来の幸せを感じる事が出来るか?って言うと個人的には
見えなかったんです。
タイトルのフラワー・オブ・ライフって訳してみれば、生涯の最盛期って
意味合いになると思うから、この1年間が最高に良い時間だったって思うと
なにやらネガティブに思えてしまうのです。
でも、後になってあの高校1年間は忘れられない時間だったって思える時が
来るのなら別の考え方も出来るのかも知れないなんて思います。