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この作品を、ネタバレせずに紹介するのは難しい。
鹿児島を舞台に、女子高生の様々な出会いを描いた連作「STAY」シリーズの中の1冊。
シリーズの他の作品は、普通に男女間の恋愛を扱っていますが、このエピソードだけがちょっと毛色が変わっています。
多分シリーズ中で、最もシリアスでロマンチックだと思う。
刈川エリは小柄で巨乳、自作のちょっと変わった、でも、かわいい服を着ている、個性的な女の子です。
坂本清雅は地元では大手の電機チェーン店の息子、身長185cmのがっしりと男らしい体つき、生徒会長で剣道部主将、イケメンで女の子に人気があります。
そして双子の弟・涼雅がいます。
夏休みの合宿補習で、自作の服を着ている刈川から、清雅は目が離せません。
この刈川が非常にクレバーな子で、清雅の、自分を見つめる目の温度の、本当の意味に気付くのです。
BLでは、普通トランスジェンダーは扱いません。
この作品は、トランスジェンダーに真っ向からがっぷり取り組んで、しかも、しっかりかわいい少女マンガになっています。
身長185cmの、剣道部主将をやっている男の子が、キラキラとお花を背負って、はにかんで微笑む顔の、なんと可愛いことか!
喫茶店で、清雅が刈川の手を取って、ネイルについてガールズトークしている姿も、この二人の間では、お花できらきらの、カワイイ、カワイイ女の子同士の世界。
でも、物陰から見ている、清雅狙いのクラスメイトにすれば、いちゃいちゃバカップル。
こういった、表現の画力が素晴らしい。
これだけでも、充分、神作品の少女マンガです。
しかし、この作品には、まだ先があります。
清雅の心の中には、刈川という理解者を得ても埋められない物があります。
刈川と付き合っていくうちに、自分自身を認め、受け入れ、そして踏み出す決心をします。
これ以上はネタバレになるから書きたくないなぁ。
後半からラスト、涙なしには読めなかった。
こんなにロマンチックで泣けるエチシーンは、貴重です。
双子の兄弟の愛憎と、トランスジェンダーを取り上げた作品。
主人公を友達としてさりげなくそっと支える女子高生刈川さんが素敵。
なお、西炯子さんの過去の作品で「水が氷になるとき」などの【嶽野義人シリーズ】という名作がありますが、検索しても出なかったのでレビューできない。
残念でならない。