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rakka ryuusui
電子書籍で読了。挿絵なし。あとがきなし。
「うわー、読んでない凪良さんの本がある。ラッキー」と、前知識なしで読みまして、今これを書く前に皆さんのレビューを読みましたら、みんな九条が気になっているのね。そうですか。私はこのお二人、良かったですけどねぇ(やっぱ、少数派なのかな、しょぼん)。
高校を中退し家を出てピンサロのスタッフをやっている一也が闇金で出会ったのは、高校時代に教育実習生だった夏生。今は役所に勤めている夏生が、そんな場所にいたのは、借金をして風俗に落とされそうな婚約者の妹を助ける為でした。自分とは違う『ちゃんとした世界』に住みながら、自分をを決してバカにしなかった夏生に、一也は思慕の念を抱いていました。美しいものを美しいままで守りたいと思った一也は闇金のオーナー、仁志田に目をかけられている事を利用してその場をとりなし、夏生には知らせず自分が肩代わりをしようと決意します。夏生に対しては、月々の返済金を少なくするよう話をつけてやる代わりに、婚約者と結婚するまでの間、自分に抱かれるよう要求するのですが……
金の工面のためにどんどんヤバイ橋を渡らなければいけなくなる、その描写が凄いんです。追い詰められて堕ちていくのが、なんて言うか、酸素がどんどん少なくなる感じ?本当に息苦しくなるんですよ。
それでも一也は夏生を捨てることが出来ないんです。
命綱なんでしょうね。
『こうであったら良いな』とか『こうしたい』と思い描いていた過去が自分にもあった事を確認するための。
一也にとってそれは何よりも大切な事だったんだろうと思うのです。
「自分の中には何もない」と思ってしまったから「何かの為に生きよう」とする人はいます。一也はその典型の様に思えるのです。そして、そういう風になっちゃう理由もわかる。このお話を『裏社会もの』として読むなら、確かにちょっと無理がある部分も少なくないと私も思います。でも、機能不全家族の話として読むと……泣けてくるんです。
一也が『美しいもの』と思っていた夏生も、物語の途中で『そういうものではない』事が明らかになります。
そしたら、共犯者になるしかないじゃないですか。
私にとってこれは、親に疎まれてしまった子どもが叛逆をするお話です。
ラスト近くでバタバタと大団円的に終わってしまった事で、それが薄まってしまった感は否めないですけれど。
でも、バッドエンドだったら『俺たちに明日はない』になっちゃうもんね(古くて申し訳ない)。
スピンオフ、ありますよね?読後に探してしまいました。
脇キャラの九条さんの話、皆様同様にすごく気になってます。
この作品、裏社会ものということで、あらすじや帯から二人のハードな描写があるのかと思っていたのですが、一也の根が純で健気だったので、そんなこともなく。
ストーリーは正直、こうなるだろうなぁ・・・の想定内です。読んでいて驚くような展開はありません。
けれど、ぐいぐい引き込まれました。凪良さんの描写がとても素敵です。
雨の匂い、部屋を舞う埃や開けられないカーテン、真っ白なシャツやシャンプーの香り・・・誰の記憶にもあって思い描けるものが随所に散りばめられて心情が語られるので、読んでいて一也と同じように胸が苦しくなりました。
現状に抗わずに流されて生きていた一也と夏生が、幸せになるために踏み出す物語だと思います。
お話としては、特に破綻なく綺麗に纏まっているんだけれども、何だろう、この中途半端感は。
既に沢山レビューがあがっているので詳しい内容は割愛しますが、この作品の主人公達は物事を進めれば進むほど、落とし穴に嵌まっていく感じです。
好きな人の為にっていう覚悟は認めますが、一也は行き当たりばったりだし、夏生は考えが甘過ぎるし、二人とも、もう突っ込みどころ満載。
そもそも、最初から弁護士か警察に相談してから乗り込めば、もう少し事態は好転したのでは・・
しかし、これがバカで幼稚だった二人の顛末。。だったら、正直BLとしては救いようがないけれど、これはこれで意外と現実味があるかも・・
なんて思っていた矢先、ここに登場するのが、九条という一人のヤクザです。
この男、ムダに存在感がありすぎるので、お話にスパイスを添える、なんて軽いものを飛び越えて、完全に主役二人を喰ってます。
しかも、この九条さん、単に主人公の一也が長年探し求めている恋人?に似ているからという理由だけで、何だかんだで一也に甘い甘い。
自分の手元に置きたいからと、一也にとって都合いい状況を作っていき、それによって一也も闇に堕ちたり、引き上げられたりと、立ち位置が非常に中途半端な感じに。
あぁ、もういっそのこと、ここまでクセがあるキャラを出してくるなら、むしろもっと突き抜けて、九条と一也の絡みを増やしても良かったんじゃないかしら。
それか、後半ちろっと出てくる、これまたクセがありそーな若い刑事さんと九条の攻防戦とか。
いえ、それをやってしまうと全く違う話になるのは重々承知ですが、それぐらい主役二人に惹き付けられる魅力がなく、逆に脇役の方に引き寄せられて、頭の中で勝手に幾つかのサイドストーリーが作れそうな勢いだったんです。
逆に言うと、本作品がこれから始まる九条の前段なら、ありなのかもしれません。が、その場合、やっぱり先に述べたように、もう少し一也と九条の絡みを・・。
何あれ、この一作だけで評価するなら、主人公達にスポットが当たりきらず、少し中途半端な感じでした。
流石の凪良作品。893ものと聞いて読んでみました。
前回、893繋がりで『お菓子の家』を読んだ時も感じたんですが、主人公キャラとの心境のシンクロ率が、半端無い。
もう、自分がグラグラするくらい中身の人になってしまう。
だから、先にある物語が知りたくて、一気読みしてしまいました。
ある意味、一つの人生を味合わせてもらったくらいの重さ。
荒んだ背景や、相手を慈しむ情景、他愛無い会話の端々に色を見せてくれてます。
丁寧な心情の描写は痛い程で、まるで自分がそう感じているように混同し、答えなんて出ないのに、やるせなさや不条理に、自分だったらどうする・・を何度、考えさせられたか。
クライマックスに差し掛かると、始めの二人のすれ違うような出会いが、ここまでの運命を辿るものに変わるのかと、出会いのシーンが映画のプロローグのように絵が頭の中に浮かびました。
前回もそうだったから、読む前に少し覚悟してはいたんですが、途中で読むのを止める事が出来ない程息苦しかった。
ラストは、脇役893の人情味にホッとし、自然と口元が弛んでしまいました。
一種、読み終えれた事に安堵。
そして、オマケの、気になる脇役893のSS。これご褒美です。色んな意味でv
このSSで、この物語のいくつのエピソードに救いがあったかw
ここまで引き込まれたら、文句無しの★5つ。
いい意味で心を掻き乱された作品。
ただ、私が期待していた893モノではなかったのが・・orz
893が(エッチな意味じゃなく)絡んでくるお話でした(笑)
全編攻め視点です。
最後までハラハラ…安心出来ません。
精神状態が落ち着いてる時に読むことをオススメします…( ̄  ̄;)
特に一也は夏生のためにズタボロになって…どんどん泥沼にはまっていって…心配掛けないために内緒にして夏生だけでも助けようと頑張るんですよーΩÅΩ;
最後の方なんて死ぬのかと焦った(一応2人とも生存)
仁志田と敵対組の九条がいて本当に良かった。
にしても九条さん…甘党にも程があります。
ポケットの中にキャンディ常備な893( ゜∀゜)・∵ブハッ
コーヒーのシロップをグラスに入れてペチャペチャ(胸ヤケしそうorz)
そんな彼のスピンオフが予定されているそうなので楽しみ~(o>ω
「見つけたら殺す」とか恋人の若い頃にそっくりの一也を見ながら「どうやって殺すか考えるのが楽しい」と言ってますが…ものすっごい執念ですよ。
正直、メイン2人よりも九条さんが気になって仕方なかった。
しっかし物凄く納得出来ないことが有ります。。。
893との絡みがメディア報道されちゃった後の婚約者の態度。
こんな事件起こすような人との婚約なんて真っ平ごめん→白紙に戻す。
婚約を白紙に戻すのはさておき…「こんな事件を起こすような人」って何?
…そもそも貴方の妹がホスト遊びに入れ揚げたのが原因でしょうが(ノ-_-)ノ ~┻━┻
苦しみ要因の婚約者姉妹が何も背負う事無くのほほんと生活してんのかと思うと…腹立たしいったらない。
感想からずれますが、まず、この「落花流水」は大型の通販サイトで買いました。
届いてびっくり。まったく買った記憶のない作者の本が届いたのです。どうやら、購入する本を間違えて申し込みをしたようで、返品する場合は個人の理由になるので送料は自腹となります。
送料も安くはないし、こんな機会でもなければ手に取ることのない題材と作家なので、せっかくの機会ということで読みました。
感想としては、簡単に書くと『本人たちにとってキレイな思い出が根の深いものなら、5年くらいじゃ気持ちに蓋もしまってないだろうから、これはこれで良し』です。
中途半端なものほどたちが悪いものはありません。
全体的には、小説原作ものを2時間ドラマにしたような感じで、本来ならあるはずの枝葉がばっさりなく、一本の道だけを辿った感じですが、その分、簡素化されるので主人公たち側のことは分かりますし、主人公たちが関わった母親や姉妹のその後などは未回収で気にはなりますが、与り知らぬところを中途半端に書かれるより「今しか見えていない二人」という感が強くなっていいのかなとも思いました。
巻末のSSで葉書が送られてきたことにより、本編の「完」は「続」になってしまいましたが、主人公たちの本来の目的は雑誌の切り抜きを送ることで、この同封物がなければ連絡をすること自体が夢物語なのだということを分かっての本編の最後の台詞なんだと思うと、本編の最後が違った景色で見えました。
悪くなかったです。
冬休みに入りまして(笑)読みたかった本やら再読やらBL三昧中ですwww
凪良さんは作家買いしてる一人ですが、この本は凪良さんの作品の中でもあまり評価が良くないですネ。
私は好きですケド。。。。ヤクザものにしてはヌルイってのが原因かな?
私は逆に痛すぎるもの、救いがないのが苦手なもんで。。。。
これくらいでちょうどいいです。
ストーリーは、一也がずるずると底なし沼みたいに悪い方へ悪い方へ状況が流されてくのに、心臓が痛くなるような緊張感がありました。
正直、途中でちょっと怖かったというか痛かった(ノω<;)
でも一也が夏生好きすぎなのもカワイイし、後半の夏生の動きっぷりも好き。
でもなんといっても、九条さん!
コレ、みんな九条さんが気になりますよねッ!?
スピンオフが待ち遠しいです♪
知人様の評価がすごくよかったので、ついつい読みたくて買ってしまった一冊です。以前読んだ、凪良さんの作品がよかったとうのもありますね。
なのですが、ん~・・・萌えきれなかったというのが現実。
正直、10年待ち続けている九条さんのその後の方が気になってしまったというのが現状になってしまいました-(;-ω-`A) フゥ…
見た目的にもなんにしても萌えようがないと最初は思ってた
思ってたんだけど、殺してやると言いながら、死んだと言われても信じられず、多大なお金をかけて、危険を犯してまで恋人を探し続け
待ち続ける。
その恋人に似ている、面影を追うように攻をそばにおいて可愛がってやる~なそんな九条さんがすごく可愛かった。
あの終わり方からすれば、きっと沖縄に行くのかな
どうなのかなという感じもしてしまう。
九条さんの話も書きますよ~なあとがき、読めるのがすごく楽しみです。
本編はといえば、ヤクザだのなんだの~な裏社会がメインになってますね。
再会もの。
受も実は攻のことが好きだったの真実。
あのとき正直になっていればこんなまわりくどいことにはならなかった。
もろもろ~なところなのでありますが、個人的にあんまり裏裏しすぎてるのに興味が惹かれなかったというのが正直なところ。
裏稼業に足を踏み入れていても、純なものを持ち続けている攻。
受のために必死になってしまう。
可愛いとおもうのだが、可愛すぎて裏の怖い部分にいまいちマッチしなかったのが心残りです。
一緒に~なその後の話。
まとまり的にはすごくよかった。
なんにせよ、二人が幸せになるなら私はよいのだ。
結局(笑
大好きな凪良先生のヤクザモノ!と言う事で、大事にしていた新本です!
へへへ^^
凪良先生の切ない文章ってすごく好きなんです。
畳掛ける様なリズムがあって、気持ちが高まってジーン・・・と。
本作もやっぱり凪良節にやられました!
普通の人生を選択した夏生に、自分の存在が妨げになっていると思いながらも、夏生と深まっていく付き合いは止められない。
中盤までの夏生への滅私奉公ぶりは、純な男ってそうするだろうな~と共感しました。
燃え上がっているんだなと^^
でも、一也が自分で「バカだから」と何度も言う事と、その様にどんどん自分を追い詰め倒していく感じにはイライラしてました。
まぁ、そういうキャラもあるよな~と納得してましたが。
他にも引っ掛かった事がありました。
あんだけボコられている割に、一也の身の軽い事!
鼻もアバラもアゴも折れているし内臓損傷だってあるっしょー?って。
ノホホンな夏生の婚約者家族や一也の母親と旦那にも、鉄鎚が無かった事にも、アレレ?先生無いの?って。
あと、新聞沙汰になった直後の一也に、九条が仕事を依頼して良いのかな?って。
何かスッキリ出来なかった所が少なくなかったかな。
もっと書いて欲しかったです。
九条の存在は面白かった。九条妹も好き。
小説には何も出ていないけど、対抗組のシマで勝手にやっちゃっている所とか見るとヤバイ人過ぎて早死にしそう。
一也達から送られてきた、元彼(?)の記事からどう動くのか、彼の慌て顔も見てみたいです。
凪良先生の新規開拓?のこの路線、文章がとても合っていたと思います!
凪良ゆうさんの作品で神以外の評価をつけたのはコレがはじめてです。
リアルな雰囲気なのにいまいちリアリティがないんですよね。
一番好かんのが、受けの婚約者姉妹。妹もだけど、姿を見せない姉のほうにもイライラしました。何かを背負うとしたらオマエらが背負うべきだろー!と思いました。冷たいようだけど、妹の自業自得の借金。「この姉妹がソープでもなんでも行けよ。OLや学生をしながらたくましく明るく働いてる女性なんて、いっぱいいるぞ」と思ってしまう私は冷たいのカシラ。さらになぜ受けがこの姉妹のためにそこまで頑張るのか、さらになぜ攻めがそれを背負うのか、まったく説得力に欠けている。
とくに受け。「社会的地位や信頼をめちゃくちゃ大事に思ってる」という初期設定なのになぜ、ヤクザの事務所に乗り込んでくるという大リスクを犯したんだろう。そこまでこの姉妹を大事に思ってるようにも恩があるようにも思えなくて。
最低限、お話のなかで、この姉妹にも「なにか」を背負わせるべきだと思いました。
この、攻めがズルズルと堕ちていく原因となる最初の段階でモニョモニョしたから、最後までモニョモニョしっぱなしでした。
たぶんストーリーの中で受けや攻めに根本的な罪があることにはしたくなかったんだろうな。でもそのせいでぬるくなってしまった気がする。根本的な罪が主役カップルにあることにしても良かったんじゃないかなーと思ったりもしました。
ヤクザもなぁ。こんな、警察や弁護士絡まされたらすぐにオジャンになるような稚拙なやり方で脅しをかけて女を風俗で働かせようとするヤクザなんていねぇぞと思いました。
感動的な大円団ですが、私も先にレビューしてた方が書かれてるような甘さやぬるさを感じました。影でヤクザの九条に庇護されて南の島でラブラブって…。九条が彼らを守ってやりたくなるような「動機」がもっとちゃんと欲しかった。与えられっぱなしやん、と。
「アホアホ姉妹をアホアホ主役カップルが助け、アホアホ主役カップルを九条が助ける」という構造なのですが、常に「なぜ助けるのか」という部分での説得力を欠いてる感じでした。
良かったのは九条ですね。
彼は良かった!
すべての魅力が彼に凝縮されてる感じ。スピンオフに期待です。大好きです。
あともちろん、基本的な文章力などなどはさすが凪良ゆうさんで、読みやすいです。
教育実習生と生徒だった頃の過去話も良かったな。
うわうわ、文字数が足りなくな
石原さんのイラスト、
時代がかったタイトル、
帯の「大人しく抱かれろよ。そのかわり借金の片は俺がつけてやる」のコピー。
その総てを、斜めに裏切った、ピュアでロマンティックな、ラブいおとぎばなしでした。
BLファンタジーとして、こういう甘甘解決、好きです。
展開上、ヤクザ物なお道具立てはいろいろ登場しましたが、いい感じで登場したドSな変態ヤクザ・九条が、全部の結末をピュアラブな方向に押し流しちゃった感。
なので、もう、この落とし前は、彼に付けてもらうしかないですね。
この続き、九条メインの、アリすら溺れ死ぬような激甘ラブストーリー。
期待してます。
このお話は、一也が好きな人を助けたいが為に間違った道を歩んでしまう…というものでした。一人の人間を守りたいが為に、ヤクザに魂を売るかのような行為を繰り返し繰り返し…、正直、夏生のなにがそこまで彼を引き寄せたのか…というのは、謎のままかなと思います。
彼は昔の思い出に引きずられているだけかも知れない。そしてそれが再会後のセックスで加熱し、溺れただけかも知れない。ただ解るのは、一也は高校生の夏に自分を “可哀相ではない” と言った夏生の虜になってしまっていること。
基本的に一也は感情が行動に出やすい男だなと思います。夏生への思いと彼の行動は、ものすごく太い神経回路で繋がっている。それは夏生が目の前から居なくなってしまったことから始まった悲しみのあと、卒業を目標にしていた高校を中退してしまう点でも見受けられると思います。
体全体…一也の総てが、気持ちによって左右されているのだと思う。若さという理由付けももちろん出来るかと思いますが、それでも彼は溺れる気質を持っていたのだと思うんです。新しい恋人が出来、亡き主人の仏壇を処理してしまった母親に、彼は図らずとも似てしまったのだと感じました。
恋愛の相手しか眼に入らない。恋人を思うゆえ、どんな無体もしてしまう。誰かを傷つけてしまっている。恥もなにもかも捨ててしまう姿は、方向性こそ違えど同じものを見るようで…どんなに悲しみを抱いたって、血の縛りには抗えない一也が切なかったです。
一也が背負ったものに対し、夏生があまりにも無知というか…考えが甘かったのがどうも引っ掛かりますが、一也の良いところは 「あなたのために」 という精神では決してなかったことです。
「あなたのため」 って、一見優しいようですごく押し付けがましくて乱暴な考え方だと思うんです。でも、一也にはそれが全く感じられないんです。自ら辛い道や間違っていると理解する道を歩んでしまうし、夏生には絶対にそれを悟らせない。むしろいつも夏生に逃げ道を作りながら接していたなぁと感じました。ヤクザと話を付けてあげた代償として抱かせろ、そう言って夏生に関わって、夏生はあくまで自分の行為の被害者であるようにしていた。
もうね…、こういうところ。
どうして夏生をそんなに好きになっちゃったの?と、思わずにいられなかったです。どうしてそうやって下手にしか生きられないんだよと思った。一也って、すごく悪い奴で良い奴でもあり、それから怖い奴だと思う。恋ゆえにたくさんの罪を犯して、恋ゆえにたくさんの無理を受止めて、それが総て恋という原動力から生まれるということが、すごく怖いなと思いました。
きっと一也にとっては夏生は、もう自分の命なんじゃないかというくらい大切なんですよね。言葉のアヤなどではなくって、ほんとうに命なんだと思う。
終盤になっても一向に報われる兆しが無くて、というよりもっともっと泥沼に嵌っていって、もしかしてバットエンドなんだろうかと思ったほどです。
実際、これがもしバットでも私は全然受止められただろうと思います。
でも、最後の最後に拾う神が現れたんですよね。その神は、愛したいのに殺したい、会いたいのに殺したい相手を探し続ける男なんですけれど、もし一也がこれほど引っ張ってくれなかったら、私は九条が気になって仕方がなかったと思います。
そのパラドックス的な思いは、彼の本心なのか?
それが気になって気になって…凪良先生があとがきで 「九条のお話がある」 とおっしゃってくださらなかったら、きっと私はこのレビュで延々と悶々していたと思います。←
拾う神がそんな難しい男だからか、やっと一也と夏生に訪れた幸せも、甘いのに痛いようなものでした。五年前のあのとき、夏生が逃げなかったら…もっと幸せだったかというと、そうではないと思う。なんと表現すればいいのか判らないんですけれど、出会うべきときに出会い、逃げるべきときに逃げ、再会すべきときに再会したのだと思わされる。どこまでも蛇行でしか生きれず、失望したはずの母に似ながら一也を見ていると、ゆかりだとか…そういったものを感じずにはいられませんでした。
でもそれらのゆかりを最後に纏め上げたのが、運命の神ではなく拾う神だったのが…なんだか不思議です。
この作品を読み終わって「これは前振り話なのか?」と思いました。
まるで、まだメインディッシュが出てくる前の前菜のような。
主人公カプに関係するヤクザの九条の過去の男をちらつかせて、主役を絡ませることで次へ持って行く。
『葉書』でそれは明らかになり、やはりこれは九条の物語を展開するためのプロローグだったんだと納得しました。
主役カプのほうの話としては、
攻めの一也は高校を中退して、流されながらいい加減にチンピラとして生きているのですが、ワルになりきれていない、寂しがり屋の大型ワンコなんです。
高校時代好きだった教育実習で来た夏生と借金の件で再会した時も、チンピラとしてヤクザの狡さや残酷さは知っていると思うはずなのに、目を掛けてもらっているのをいいことに、上手くやり過ごそうとして借金の肩代わりを夏生の代わりに内緒でしてしまう。
あまくて、ぬるいんです。
夏生も、借金のことについて普通で考えても認識が甘すぎます。
ここに出てくるヤクザについても、一也に目を掛けている仁志田も、ダニのような小さい奴ということはよくわかりますが、何かぬるい。
九条にいたっても、昔の男に似ているからとやけに一也をひいきして、トラブルに巻き込まれても許して救ってしまう。
惚れた弱みとはいえ、ぬるい。
そんなぬるいずくしで、主人公達も泥につかっているような状態でしたが、読者の自分もぬるい泥につかっているような・・・え?ある意味一体感?・・・違うか~
別に厳しくしろとか、もっと痛いものを、という希望をしているわけではなく、こんなぬるい設定でいいの?という疑問ではあります。
いくら過去があるからといって、一也が命かけて借金を肩代わりするほど夏生を好きになっていく部分が弱い感じもします。
夏生が一也を好きになる部分も、決定打に欠けるような。
あれだけ、親に囚われて自分の殻を壊せずに偽装結婚までしようとしていたのが、一也が命を張って自分の為に色々してくれていることを知って、覚悟を決める部分はわかる気がしますが、一也より5歳も年上なのに頼りない感じもして、終盤の決断にびっくりすることになるのですが・・・
それより、やはり九条です!
これだけちらつかせた存在なんで、早いところ九条の物語を見せてほしいと熱望します。
ものすごく気になるンです。
「あまあま」な方の甘いではなく、人生はそうそう甘いものではないと思います
せっかく、リアルタッチでこういう話を書くのならば
そういうラストはありえないと思うのですが
結局、自分で努力することもなにもなく
周りがすべて解決してくれているだけの簡単なヤクザ
昔と同じ事を繰り返し、それでも今度はうまくいくという
あまりに甘い人生でございまして、唖然としました
読みながら嫌悪感まで感じてしまいました
受けにも、攻めにもです
攻めの母親の問題も放置のままですし、受けの結婚問題も
こうなるだろうと言う本人の予測だけで解決付いていませんし
義理の妹の借金問題も悪者が死んだら終わりになる程度のことだったのでしょうか?
甘いですよ、残念なくらいに甘いです
SHYノベルズさんを信頼し、欠かすことなく読んできましたが
良くこれで出版する気になったものだと、甘さを感じます
SSから、たぶん脇の行方不明の彼とのスピンオフがあるのだと思いますが
どうかそちらはなんとかうまくまとめて欲しいものです
と、厳しい世界観のお話しでしたので、厳しく書かせてはいただきましたが
この作者さまの作る世界観は独特の流れがあります
そこが決して損なわれてはいなかったのが嬉しくもあり
エッチシーンは、本来の意味でちゃんと甘かったですし
若さゆえの暴走感もスピードもありました
作者さまがお好きな方は読んで損はない一冊です
次作で、今回のオチも付きますように期待してます
今、自分的に熱い作家・凪良ゆうさんの新作は
シリアスモノ。挿絵が石原理さん。
夏生のことが好きで一也は、どこまでもどこまでも堕ちていくお話。
攻めがとにかく健気です。
どチンピラだけどピュア・・・
もう読んでいて次の展開がわかるというか
「あー!だめっ!!!たぶんこうなるっ!!!」と言った感じで
どんどん裏社会に飲み込まれていってしまう一也。
ほんとに馬鹿。
こんな風にしか愛し方を知らないんだろうな。
もう少し頭使えよ!って思いつつ読みました。
もともと沈みかけていた一也の人生は、夏生との再会で
どん底まで沈むわけですが、第三者からみて、どん底でも
一也にとっては“生きている”充実感に溢れているんだろうな。
ほんとに馬鹿。
そこまで夢中にさせる要素が、夏生にあったのかというのは
正直わたしにはわからなかったな。
ふたりとも成人してるのに、思考が子供っぽかった。
この本を読んだ人の大半が惹かれるのは
松岡組の九条という男なんじゃないでしょうか?
インテリヤクザ風のスーツに眼鏡。
仁義をかいた酷いヤクザでサドっ気たっぷりw
登場人物としてはグンを抜いて魅力的でした。
巻末のSS『葉書』を読めば
『落花流水』は、もしかしたら九条の物語の序章にすぎないのではないかと???
そんな風に思えました。
スピンオフを希望します。