ドール生活のススメ

人形は忠犬なのです。

この本はこの作家さんのデビュー作品だそうです。
かわいらしい絵に思わずキュゥンときちゃいますが、ＢＬなのかな？と思うとう～んどうなんだろう？この作家さんには性別が云々という概念はなく、この調子なら何でもアリなんではないか？
かわいいものなら、というファンタジーの部門で捉える範疇の作家さんかな？とも思ったり。
まだ初コミックなんで、今後どんな風に行くのか行方を見守りたい作家さんだなと思います。

お話は、雪の日にバイトの帰りに古くて汚れた人形を拾った伊織が、それを人形好きな妹にあげようと持ち帰って綺麗にすると、その晩身体に重みが。
その人形が人間になっていて自分にキスしていたのです！
その人形をユキと名付け、人間になることは二人の秘密。
拾われたことへの感謝と愛情からすっかり伊織に懐くユキはカバンに忍び込んで学校へも来てしまったり。
そんな伊織とユキの関係の進歩が妹ヤヨや、バイト仲間の柴とアカ先輩を絡めて展開されていきます。

ユキは人形だけど、いわゆるワンコなんですよね。犬を拾ったような感じ。
まさにそんな感じの真っ直ぐな愛情を伊織に向けているんです。
ご主人さまの為なら、ご主人様のいうことなら聞く。
だから、妹のヤヨがユキを見て一目惚れした時の伊織の判断にも従って・・・忠犬なんです！
ユキが人形と知っても誰も動じなくて簡単に受け入れてしまう周囲もまたファンタジー。
ユキはモデルの仕事始めちゃいますから！？
捨てられた人形が新しい主人や仲間に愛されて、新しい生活と愛情を得るといった話にしているあたり、夢があっていいですよね。

そんなお伽話に加えて、表題に出てきた柴とアカ先輩のお話は、これは人間同士のお話として載っています。
小さくて、家族にいわくがあって、いじめられっ子のアカが出会った転校生の不良少年・柴。
柴によってアカが前向きに明るく変わっていくのもまた可愛らしいのですが、陰湿さや暗さがなく前向きなのがあったかいです。

全体を通して萌えるかと言われれば、自分には萌えはないのですが、それでもファンタジーとして夢を充分に与えてくれる存在であったと思います。
少年・少女向け？な感じの１冊でありました。