お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
とても古い作品ですが、神様に愛されているはずなのに、なぜそんな生き方しかできなかったんだ?と、怒りにも似たやりきれなさで忘れられない作品です。
ピピン様が作られたトピで、「私を構成する9冊」に選んだ際に読み返して、気持ちを吐き出したくなりました。
語り手はイラストレーターのデイル、語られる男はフットボール選手のマーク。
デイルは、オーラを放つマークを見かけて「ありきたりな人生を送るな」と声をかけてしまう。同じ顔の双子のルーカスも一緒なのに、デイルにはマークのオーラしか見えていない。
数年後、仕事の依頼で、あの時の青年がフットボーラ―になっていることを知り、マークが才能を活かしているのを喜んだのも束の間、なぜか弟のルーカスばかりが注目されていて…
マークは弟のルーカスを愛していた。
でもデイルの一言で、自分の影にルーカスが埋もれてしまって、自分の存在がルーカスを不幸にしていることに気付いてしまった。
そしてルーカスのために、マークは本気を出さない。
もしもデイルが声をかけなかったら、マークはデイルが望んだままの華々しい人生を歩んだはずなのに…なんという皮肉なパラドックス。
そして、マークはルーカスのためだけを想って、最悪な決断をする。
こんなにマークのことをわかっているデイルがいるのに!なぜ?
「オリジナル・シン-原罪-」はマークの少年時代の話。
嫌なこと、悪なことは全て自分が引き受けるから、ルーカスだけは綺麗なままでいて欲しいと、マークがいかにルーカスを愛しているかが語られていますが、私にはそうは思えない。
マークが愛しているのは自分自身。
多重人格は「この辛い体験をしてるのは自分じゃない」と新人格を作って心を守ろうとする。普通は自分の中に人格を形成するのに、マークにはもう一つ体があったから、善と悪とで体を分けてしまった。
そこで悪を自分が引き受けるのは、善に対する愛情と言えるかもしれない。
でもマークがそこまで愛したのは綺麗なままの、ルーカスという名前の自分自身…
マークにはルーカスなんて見えてないのに!ルーカスはマークの才能を妬んでるだけでマークの愛情なんて知りもしないのに!
究極の自己犠牲がまったくの無意味…
だから余計にマークの選択にやりきれなさを感じてしまうんです。
ただ、デイルがマークの鮮烈な生き様の全てを知っていること、最大の理解者がいることだけが、やりきれなさを少しだけ和らげてくれます。
秋里先生の同性愛作品は、まだ”ボーイズラブ”なんて言葉はなかった頃のもので、萌えとは別次元ですが、どれも強く印象に残っています。
その中でダントツ忘れられないのが、この『デッド・エンド -袋小路-』です。
『デッド・エンド』『眠れる森の美男』『TOMOI』の3冊は、どんなに古くなっても処分が出来ないお気に入りです。
『デッド・エンド』
スター性のある人物を見抜く、イラストレーターのデイルが目を奪われた青年・マーク。
双子の弟・ルーカスを誰よりも愛するマークは、彼を立てて彼よりも目立たないよう暮らしていた。
自分の言葉がマークを袋小路に追い込んだと気に病むデイル。
そんなデイルに救いを求めようとするマーク。
しかし二人の関係をルーカスに知られてしまい・・・。
哀しいほどのマークの自己犠牲愛の物語。
『オリジナル・シン』
マークとルーカスの子供時代のお話です。
ルーカスの中に汚れを知らない自分の姿を投影し、ルーカスを大切に守るマーク。
マークのルーカスに対する異常さに気付いた母親は、二人を引き離そうと考えるが・・・。
怖いほどのマークの執着愛の物語。
『タイタンへの招待客』
デビュー後間もない作品で、非BLです。
外交のため、タイタンを訪れたユウコとエバン。
コメディーのようでいて、結末はブラックです。
おまけで他のBL作品についてもちょこっとだけ感想を書きます。
『THE B.B.B.』
腐る前に読みましたが、ガイが好きでした。
しかし「こんな結末のために今まで読んできたんとちゃうわ」と、最終回で本を投げたくなった三大作品のひとつです。
『万物は原子より成るということを』
あんまりよく覚えていません。
多分、可もなく不可もなくという感じだったのでしょう。
『Jazz-Tango』
きついです。
非常にきついお話です。
苦手に感じる人の方が多いかもしれません。
でも読んでみて欲しい作品ですね。