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欧州を駆け巡るシャルル&ディーンのお話・3冊目です。
旧ソビエトのKGBとの駆け引きも無事に終え、舞台はスペインへ…。
ETA(バスク解放戦線)の人質となった養父・エドを救出するべく、
アンダルシアへ赴くシャルルは、またしてもディーンと出会うことに!
ディーンはジプシーで情報屋の元締めのシーラ・ゼナの元に身を寄せ、獲物を狙っています。
そして、二人の間に現われたのは…シーラ・ゼナの後継者という、ひとりの美少女でした。
打算も負い目もなく、ディーンを愛する美少女の存在に…シャルルも複雑で…。
今回のお話でも、シャルルとディーンは相変わらず…遅々として進みませんが、
それらしき恋敵は、しっかり退けております。
今回の美少女(ほとんどボンドガール的に毎回ですが)がまた極上で☆
ソデにするには、あまりにもったいない美女ぶりなのです。
ジプシーと美女という異様な取り合わせも、人目を引くには十分なのですが…
陽気でダンスの名手、カードを取らせれば欧州一の占い師で、女と呼ぶにしては純粋!
まさに少女のデカダンスを絵に描いたような、マリア嬢です。
(大抵の男なら…ソデにするなど、もってのほかよね?!)
なのに、ディーンにだけは、ことごとくソデにされてしまいます。
(それはもう、最後の最後まで…可哀想なくらいに。)
実のトコロ…ディーンとマリア嬢は「そういう関係」にあって、お互いダークサイドの人間で、
ある時点までは、とてもいい関係だったのです…ある時点までは。
(こういう関係のとき、女はとびきりいい女になるのよねぇ。)
ところがシャルルが現れた途端、自分が愛されてないことに気づいてしまいます。
(だってディーンの特別は、シャルルだけだから☆)
それでもなんとか彼に愛されようとする姿は…もはや健気を越えて痛々しい!
デカダンスな美貌も魅力も、根こそぎにするくらいに痛々しくて…正直、残念なくらいです。
こういう女のトコロに、男は二度と戻らないという予感を…なんとなく周囲に知らしめてしまいます。
…で、実際に男はソデにしたまま戻ってこないという、絵に描いたような不幸です。
シャルルが現れた時点で、素直に負けを認めたら…少なくとも、いい女の矜持は保てたのにねぇ。
ソデにされたときに強がろうとする女はダメダメになる…という、
同じ女としては、ビターな教訓ですよっ、これは。
まあ、こうやってBLのカップルは試練を乗り越えるんですからねぇ、複雑www
1巻は短編集でしたが読者からの熱い支持を得て、その後ツーリングは長編エピソードを展開していきます。2巻では香港、3巻ではロシア、それにスペインが舞台のサンタマリアエクスプレスです。私がレビューしたいのはサンタマリアの後日談になるカルメンで、それは4巻に収録されてるのですが諸事情(なぜか4巻は1ポイントだからという私のこすい事情)により、この巻で書かせていただきます。
サンタマリアはツーリングの中ではかなりシリアスでした。ディーンとシャルル以外の、物語を担ったキャラほぼ全員が不幸な結末を迎えました。ディーンに弄ばれたのにも関わらず、ディーンが愛している唯一の人だからとシャルルをかばったマリア。かわいそうにマリアは死んでしまいました。シャルルは彼女に責任と罪悪感を感じているのに、当のディーンの野郎は屁とも思ってないのです。読み返すとディーンにはアタマにきますが、このカルメンが私の中ではベストエピソードですね。
傷心のスペインにて、純朴なマタドールと淫売カルメンのドラマがあり、ディーンとシャルルの仲はグッと前進します。マリアへの罪悪感に悩むシャルル、不幸の元凶のディーンは彼女はキレイに忘れてるけどシャルルのことだけは心配。この萌えは神、でしたね。マタドールとカルメンも説得力があり、非常に完成されたストーリーでした。
このままつかず離れずで進み、ラストはやっぱり甘くはならないのかな、と思いましたよ。一気に読んだ私がそうですから、リアルタイムで物語を追っていた読者はほぼ確信していたことでしょう。オトナの雰囲気で走り抜け、ほろ苦く切ないラストにたどり着くと期待してたと思います。それが、まさかああなるとは・・・
私としては、サンタマリアから双子のエピソードまでが神萌えです。河惣先生、どうしてなの?ということで、次回は迷走編のレビューを致します。