藍より甘く

藍より甘く
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神56
  • 萌×235
  • 萌35
  • 中立5
  • しゅみじゃない12

--

レビュー数
28
得点
530
評価数
143
平均
3.8 / 5
神率
39.2%
著者
一穂ミチ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
雪広うたこ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
価格
¥552(税抜)  
ISBN
9784344817944

あらすじ

大学入学以来三年、友達として側にいた遙から、突然「好き」と告げられた暁行。受け入れることも突き放すこともできずにいるが……?
出版社より

表題作藍より甘く

大学生。
大学生。

その他の収録作品

  • 藍より青く
  • あとがき
  • 愛より甘く

レビュー投稿数28

藍より甘く

遥のいじらしさに泣いたー。
とはいえ、遥自身の心はとても強くて、人の心の機微もわかり、愛想はなくても人を傷つけることなく真っ直ぐに生きている子だなと感じた。
暁行は素直、初めて知った遥の想いに戸惑いながらも真摯に友達付き合いを続けて。
決して、簡単な恋愛ではないし、諦めから始まったような恋が、少しづつ暁行の心に染まっていく。
いや、気付いたのかも。
潜在的に暁行も恋をしていたのかな?気付いていなかっただけで。
遥の梯子は強かった、末長く幸せで。

1

大丈夫かちょっと心配になるけど

終始独特な雰囲気に包まれた作品で、とても惹き込まれました。

p.64の"時々、自分があの透明な〜"という台詞が胸にグサッと刺さりました。
他にも付箋を貼りたくなるような表現が沢山。

(これはどうでもいいんですが)表紙の手前のキャラの指が青く染まっていて、あらすじに"爪の先をいつも青く染めている遥"とあったので、てっきり手前の子が遥だと思って「ビジュアルが一般的な組み合わせと逆で珍しいな」と思いながら読んでいたんですが、違いました...笑

〜以下、私情〜
暁行のデリカシーの無さとフラフラしてる感じが何とも...
遥が健気受けすぎるくらい健気受けで、暁行のことでいくら傷ついても一途に想い続けていたからこそ、暁行の気持ちがそれに見合っていない気がして不安になりました。
本当に同情じゃないのかな?と。
ただ、最後の描き下ろしは二人ともラブラブで惚気ていたのでその調子で愛し合っていてほしいです!☺︎

1

健気受が尊い

内容がわからないまま作家買い。

最初読んだ時は攻を好きではありませんでした。
受と彼女の間で揺れすぎって思ってましたが、ノンケが男を好きになって付き合うなんて選択をすぐにできるわけないですよね。
もともと親友だし、異性愛者が同性に告白されたからって恋愛対象として見られるかと言われたら、絶対にできないし。

でも、自分の気持ちに気付いて、受の所にすぐに行った攻はとてもかっこ良かったです。

書き下ろしは本編とは真逆で甘々なのも良かった。
一穂さんの小説は言い回しが綺麗で読みやすいし、好き。

2

こんな受が好き

暁行は、夜の観覧車で遥から好きと言われた。
三年間友だちとして一緒にいた同性からの告白。気持ち悪さはないが、同性からの告白を受け入れることはできない。自分には彼女もいるし。。。でも遥との友人関係は心地よい。
その悩みをblogで綴るようになる。

暁行があまりにノンケすぎて、この話は悲しい終わり方をするのでは?!と思うくらいでした。
受け入れてもらえると思っていないから、今まで通りでいいと言う遥。それってかなり辛いよ。
表情や言葉で表さない分、遥は色々と諦めがちな性格。でも変に意志は固く、そんな遥には藍色という色がにぴったりでした。

全く受け入れられないと思っていたはずの暁行が、遥の身に何かあったのでは?!と、どしゃぶりの中走って訪ねたり、夏の1カ月近くを、遥の実家の手伝いに行くなど、少しずつ心惹かれていったのかなぁ。
何度か、このままくっつくの?と思う場面があるのですが、そんなにアッサリいかない所が、三年間も友人をしていた間柄を物語っていると言うか、そうそうすぐには、受け入れられないものだよなぁと、現実味帯びていて良かったです。
特に作中出てくる暁行の彼女。早々別れるかと思いきや、かなり後半まで付き合っていました。何度、別れちゃいなよ~と思ったか(笑)

遥サイドから見るお話もあり、最後はラブラブになった後のイチャイチャ話。
この先、二人はずっと遠距離なのかなぁ。二人で家業を継いじゃえばいいのに。とか読者としては、甘々な事ばかり考えてしまう、そんな終わり方もいいなぁと思いました。

2

受けの儚さが良い

攻めの入江視点なので、彼女と遥(受け)の間で揺れ動く様子がよく分かります。
遥が気になりつつも彼女が好きだと必死に思い込もうとしてる感じが、すでに両想いなんですよね。
攻め視点で感情が見えすぎるからこそあまり入江を好きになれなかったですが、等身大の男の子って感じでリアリティはありました。

受けの遥は健気で一途でいじらしくて儚い、受けの鏡です。
入江を想って泣く場面は思わず一緒に泣いてしまうほど。
入江に告白はしたものの全然押し付けがましくはなく、でも入江の思わせ振りな行動に振り回されてる様が切ない。

入江が遥に惹かれる気持ちはとても分かるんですが、遥がそこまで入江を想い続ける決定的な理由というかきっかけがいまいち弱くて、そこがもっと共感できたらもっと萌えられたと思います。

言葉のチョイスや表現の仕方がすごく綺麗で、そこはさすが一穂さん!と思わずにいられません。

2

藍ゆえに

ラスト数ページの甘い部分が凄く好き。
「だって自慢したいじゃん」お互いに惚気ける姿が非常にかわいらしく、
二人の仲の良さというか、距離感を感じられたのが良かった。
思わずクスっと笑ってしまうラストに乾杯((´∀`))

ただ本編に関しては正直気持ちのせきれず・・・というのが正直な感想かな。
こればっかりは文章と私の相性なのかしら。。

二人の近づくきっかけは、藍色の指をした受を見たところから。
インク漏れてるよ?そんな言葉からのスタート。
ゲイであること、攻のことが好きだということ。
打ち明けてしまった受とそれをどう受け止めればいいのか葛藤する攻を主体に描かれるお話し。
最後まで読めば、きれいにまとまっており、
楽しそうな二人を見ればよい話だとおもうんだがなー・・・

5

自己完結愛の成就

攻め:友人に告白されて動揺する大学生 暁行。
受け:弾みで片思いしていた友人に告白してしまった藍染の家業を手伝う大学生 遙。

遙は、うっかり告白してしまったとはいえ暁行に彼女がいることを知っているし恋の成就は期待していないのです。
そのせいか、遙がとても生きる気力が希薄で消えそうに儚い感じがしました。

暁行にとって遙は、友人として好きだし気心も知れて一番心を許している存在だけれど彼女もいるし恋愛感情は皆無。
だけどそばにいて欲しい。
受け入れられないのに中途半端に気を持たせるような接し方は相手にもいけないこととはわかっていても、友人付き合いをやめたくないと思う自分の感情に困惑する暁行です。
そんな感情をどこかで発散したくて『王様の耳はロバの耳』のように吐き出そうと思いついたのがツイッターで密かにつぶやくというのが面白い。
同性から向けられる恋愛感情を嫌悪したり忌避するのではな真面目に受け止め友人として普通に付き合おうとしている暁行に好感を持ちました。

暁行にとって告白された時がほのかな恋の初まりだったような気がします。
出会ってすぐ想いを自覚した遙に対して、スタートに時差があったことと同性との恋愛が想定外だったために遙の想いについていけずジタバタしているのがよくわかります。
時に切なく時に笑いを誘うような感情表現で想いの変化が読み取れて思わず背中を押したくなりました。
遙が危ない目にあっているかもと思った時の動揺や切迫感がもはや友人というより恋人の危機を救いに行くかのようでした。もちろんそんな自覚はありませんけど。

遙の側から見ると、恋を自覚した時に失恋しその後ずっと彼女との仲のいい姿を見続け惚気られるのですから切ないです。
初めから想いが報われることもましてや告白することなど思っていず、最後の最後に思い出をもらってそれがいいことなのかかえって悲しみを増すことになったのか自分でも答えがでず、一人で実家の部屋で泣き濡れる姿が不憫でした。

以前暁行が買いなよと軽く言っただけのアイスクリームのディッシャーを密かに買ってたことを引越し荷物の中に見つけた場面で、好きな相手のためにいつ来ても喜ばせるように用意するなんてところにきゅんとしました。

和名の色の名前がとても綺麗で詩的でした。

3

優等生すぎるのかなぁ。

このお話には、暗に変化球を望んでいたような気がします。もしかしたら、ハッピーエンディングでなければ読後感がより良い方に変わっていたかもしれないけれど、かくあるべく完成されているわけでして。BLはハピエンでなければならないというのは、なんというか…時に一読者にとって譲れない何かをスポイルしてしまうきらいもあるというか…。好みの問題なのでしかたありませんけど。

大学で出会った暁行と遙の物語。遙の実家は製藍農家。暁行は父親のコネで就職先がほぼ決まっているような苦労知らず。出会った時から遙は暁行に思いを寄せていた。半分程読み進めて「神」だと感じていましたが、途中からメイン二人の関係性に疑問を持ち始めて、読了後は残念ながら興奮が冷めてしまいました。先生の描く女性像にはリアリティを感じ、暁行の彼女の真希も嫌いではありませんでしたが…、彼氏のケータイに自分の着メロを「嵐」に設定させるようなイマドキの真希と、カラオケで「木綿のハンカチーフ」を選曲する古風な遙を同じ土俵に上げてしまった構図に、なんともいえない違和感を覚えました。

自分の中の女性性についてまだあやふやで、反撥していられた思春期くらいの頃だったら、「そんな女より男を選べ!」と単純に思えたけれど、歳を経てくると、あらためて「女性」と女性よりも好(望)ましい「男性」を無意識に比較してノンケの攻めにどちらかを選ばせるっていうのは、酷というか、身も蓋もないっていうか。。。個人的にBLでやられたら結構萎えるシチュエーションかなぁ。

遙がこれまた出来すぎな程良い子で。芯が強くてついでにこだわりも強くて「自分」を持っていて、繊細で賢くて堅実で機転がきいて。料理も上手くて、出しゃばらず相手を優先してくれて。自分の欲求に素直なくせに脆く危なっかしくて。そんで顔なんかもこぎれいで、自分のことを好きなんて言われた日にゃあ、男はよろめかないわけない。勿体無さ過ぎる嫁候補ですよ、ええ。もうなんていうの、BLの受けっていうより古典的なイイオンナじゃね?魔性じゃね?性別を超越しちゃうのも納得よ。…だけれど、一穂作品を読む時にわたしが毎度躓くのは正にその点なのです。男同士が一線を越えるっていうところの曖昧さが、なぜか先生の作品だと流せないの。

先生のリリカルな描写が大好きなので、心掴まれたシーンがたくさんあります。冒頭の印象的な観覧車のシーンを後半に被せてくるあたり。藍染めに使われる用語を使って、暁行と遙の関係になぞらえたり。(「甕覗き」には唸りました。)夏休み、遙の実家の手伝いに行った暁行が期間を終え、遙に車で電車の駅まで送ってもらうシーンとか。物語のハイライトで遙が出た度肝を抜く行動なんて、心揺さぶられずにはいられません。そんな先生の素晴らしい表現力にふるふる共鳴して、わーい♪って浮かれていたら、いきなり谷底に突き落とされるみたいな…、先生の描くBL観には何か自分とは決定的に相容れないツボがあるみたいです。

一穂作品は好きだけど苦手なところもある。でもなんか、めげずに食らいついていきたい魅力のある作家さまなんです。あー、BLを読む時は自分に近いダメ男キャラを読みたいのかもな、なんて気付かされたお話でした。評価は「中立」寄りかもしれません。

4

心は止められない

はじめに。ボタンが中立までしか押せません。実際は「萌x2」です!

この物語を読む方の多くが感じる事じゃないかな、なんでハルは暁行のことそんなに好きなの?って。どこが?って。
ハルは静かで芯は強くて、いい子で。なのにアキは無神経でハルを傷付けて。
でも、恋は良い子同士がするわけじゃない。人はみんなそれぞれ違う、良いところも悪いところも。それに、補う関係になるとも限らない。足りないから欲しくなる?余っているからあげたくなる?恋はそんな事じゃないよね。
心は止められない。なぜ恋になったかなんて……。

急に親友だったハルから告白されて「キョドった」アキは、ブログでやり場のない気持ち・言葉を吐き出し始める。「今っぽいね」と感じた私は、この本の発行日を見て軽く驚きました。2009年。もう6年も前だった。
ネット、ブログ、ライン、スマホ、独り言のつもりでもどこで誰が見てるか。段々感情的になってくるアキの独白、対してどこまでも今まで通りのハル。
一つのクライマックスがクリスマスの展望台のシーンだと思った。
俺の事が好きならなんで女に生まれなかった?と問うと「生まれ直すね」と鮮やかに笑い、「秘色(ひそく)」色のマフラーをなびかせて展望台屋上の手すりの向こう側に飛び降りる。
BL小説として後で出てくるであろうセックスシーン、そこよりも深く濃く二人の心情が交差してねじれて絡んで、どちらがどちらの心なのか分け難く溶けた瞬間だと、思った。

8

欲しいものは欲しい

欲しいものは欲しいと、言っちゃえばいいのに。地団太踏んで、泣き叫んで、暴れ回ればいい。そこまで欲しくなかったから、というのでは決してないでしょ? 最初で最後のつもりで暁行に抱かれたあと、あんなに泣いたくせに。

 諦めの良すぎる遙が不思議だった。でも護身のために昨日今日身につけた性癖なんかじゃなく、物心ついてからずうーっと、だったんだね。スーパーで「あれ買って」と盛大に愚図る子どもを「どうしてあんな疲れることをするんだろう」と同じ子どもながら醒めた目で見ていた遙。そのせいで周囲の大人からは、聞き分けのよい子だと認定されてたというけど、人は大抵、大声で泣いて駄々をこねる子の方を優先するんだよ。黙って我慢してる子は後回しで、結局忘れられちゃう。

 自分にだけしっぽが生えてる(=遙語でゲイのこと)と自覚してからは、その性分に余計拍車がかかったのかもしれない。「一生に一度くらい誰かを好きになってみたい」と思いつつ、その誰かから好きになってもらうことは初めから想定外で。
 ノンケの暁行に恋をして、ほぼ同時に失恋が確定し、友達の立ち位置から、暁行とその彼女真希の仲睦まじいさまを見つめ続けて3年。不慮のアクシデントのような観覧車の中での告白。テッパンだと思われた暁行と真希の関係が揺らぎ始める。それでも遙は自分を押し殺して彼女を「追え」と暁行に叫ぶ。
 「忘れて」「忘れないで」「セックスなんかしなきゃよかった。一度きりの記憶であんなに苦しむなら」「セックスしてよかった。一度きりの思い出で、一生生きてゆけるから」―
 矛盾しているようだけど遙にとってはどれもが本音。とてもいじらしい。でも藍作りなんて地味できつい家業を継ごうというだけあって、おとなしげな外見に似合わぬ強靭な精神も持ち合わせている。きっと泣くだけ泣いたら、黙々と立ち上がって畑に向かうんだろう。

 遙の背負ってる諸々の重さに引き較べると、どうしても「軽い」と感じてしまうのが攻めの暁行。何事にも恵まれたお育ちで、屈託がないのが取り得なんだろうけど、きっとこれまで、ほかのすべてを擲ってでも欲しい、みたいなものはなかったんだろうな。遙の手を取るに当たってどこまでの強い決意があったのやら。
 BLでは受けに酷いことをする攻めってあんま珍しくなくって、でも大抵そういう攻めは、後でものすご~く受けのことを好きになりすぎて苦しむことで帳尻が合う。でも暁行の場合、そこまで酷いこともしてない代わり(結構残酷な言動はあったけど、少なくとも殴る蹴るとかはないよね)遙のためにそこまで苦しんだわけでもない。「真希と別れたじゃん、代償は払ったじゃん、オレ」と言われればそれまでだけど、どこか情が薄いように感じられて。おろかで鬼畜だけど受けへの情熱だけはハンパない攻め君たちがすこし恋しくもある。(一穂作品で鬼畜攻めはあり得ないか、やっぱ)

 ひとくちに藍といっても趣はさまざま。甕覗き、百群、秘色、鉄御納戸・・・むかしの人たちの色彩感覚の豊かなこと!そして日本語ってなんて奥ぶかく芳醇な言語なんでしょう。私の想像の中の一穂さんは、遙のようにとても美しい文字を書く人で、もちろん原稿もワープロ打ちじゃなくて手書き。ブルーブラックのインクで端正な文字がひっそりと升目に納まっててほしい。

 

 
 



 

4

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