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日常から切り離された世界へ連れていってくれる(でもちゃんと戻ってこれる絶妙な距離)、ヤマシタ先生が描く物語。
お気に入りの服を着ている日にアンラッキーな事が起こったり、大好きな曲が 必ずしも幸せな思い出と結び付いているわけではなかったり、人生って割と多くの「こんなはずじゃなかった…」が散りばめられている。それを「なんのこれしき!」と力強く踏み越えていける日もあれば、足踏み尻込みしてしまう時もある。
かと思えば、後が怖くなるような幸福が舞い込んできたり。
読みながらそんな事をぐるぐる考えていた。
十和子(16才)と 彼女を取り巻く少々難アリな大人たちの疾走感溢れるストーリー。
清らかな人間関係やスマートに生き抜く術なんかとは無縁に思える彼女や彼らが発する言葉が しばらく頭から離れてくれない。
恋愛色は薄いのだけれど ふいに挟まれる「そういう雰囲気」のセリフが効果的で、登場人物の心の動きを追うのが楽しい。
好き のベクトルの全くかみ合わない彼らだが、少しずつ見えてくる ラブみたいなもの。
あぁ、ラブの意味って人を好きになることだけじゃなかった。「生」への執着もラブだし 死ぬのにしがみついているのも、ある意味ラブと言えるのか。
十和子の 脆さを抱えていつつ、あくまで潔いソウルフルな人物像に対しては好感と共感しかない。
「いちばん大事なもの」が分かっている人って、とても強い。
読んでいると「これでいいんだ!」と、凄く救われた気分になる瞬間がある。その心地好さを味わいたくて、また最初に戻ってページを捲る。
そして、口絵のカッコよさが強く印象に残る作品でもある。
いつも無力感の漂う田貫は、小さな法律相談所を経営しています。といってもこの相談所は、ヤクザがらみの相談所で、おおよそノーマルではありません。
浅黄の親戚筋にあたる十和子がかばんに詰められてやってくるのも、冒頭から訳ありな感じが漂います。
結局は十和子は命を狙われているのですが、実はこのお話のどこにBLがあるのかよく分からなかったのです。
もちろん、田貫と浅黄の間には恋心があったりもするのですが、生きることと死ぬこと、命がけで逃げることというテーマの方が前面に出ていた様に思います。
最後に、心だけは暴力に屈しないという十和子の言葉が印象に残りました
どいつもこいつも、相手を想っては一方通行で、絶望的に交わる事がない。
しかし生きることとは、とどのつまり愛である、と説かれた気持ちだけが残る。
BLジャンルだけれど、あらかさまに体を重ねるシーンは1つもない。
ホモです、バイです、ホリました、ハメ撮りしました。言葉だけで説明したり、そんな1カットがある位。
私は単純に、出てくる人間の苗字にアソビがあるのが好きだ。
今作は正にそうで、
【ヤクザでホモ・浅黄(サギ)】
【マゾの自殺志願者・田貫(タヌキ)】
【何にも無関心な保険屋・射立(イタチ)】
【オタクでバイでヤクザの息子の中国人・狐文(フーウェン)】
【全うに真面目に生きる女子高生・久末(クマ)十和子】。
主要人物だけかと思いきや、少しだけ出てくる、狐文のお付の名は【縮見(シジミ)】、女性弁護士の名は【久白(クジラ)】等々、隅っこの方まで徹底されていた。
何が好きって、サギが40超えたクタビレ風親父ヤクザでしかもホモ、メス嫌いなのに姪っ子は溺愛、という所。これは単なる私の好み(笑)
全体を通して、何が生なのか、それにどんな意味があるのか。
生きる先には何があるのか、今の思いは何なのか。
そんな事が万遍なくちりばめられている気がする。
暴力あり、流血あり、1コマでの台詞の長文が半端なかったり、割と殺伐とした雰囲気で空気が締まってる感じはあるけれど、どこかで必ず誰かのネジが外れている。
紅一点の十和子が一番強かったりもする。
狐文が、一番十和子の影響を受けた気がする。
冷血無関心な射立は十和子に惚れるし、彼女の伯父の浅黄は射立に「太もも見んな」と不快感を露わにする。
一番何も考えて居なさそうで一番十和子に興味があるのは田貫のような気もする。
生きる意味とは、とどのつまり愛なのだけれど、ここでは誰の愛も交わらない。
交わらないけれど、相手を思って心がクッと上がる感覚。それが少しでも続けばと願って前を向くのがいい。
ささやかな願いが、生きる活力になればいい。
――と、ここまで顔真っ赤っ赤なクサイ言葉を羅列しつつ、私の感想と言う名の愛を語らせて貰ったのだけれど、最後に。
「死にたがるお前は醜い」
「何もかも虚しくても生きるのが人間」
「ドキドキするのは生きている証拠」
ペシミストが結果主役に感じる。
私は、自ら経つ命が悪いとは思いません。
否定も肯定もしません。
神評価ですが、時折目が点になる事もあります。
深いとかそういうんじゃなく、こう、重たくなる。
浮上するきっかけを与えられたのも、生きている証を与える為だったりして。
きっともう1度読んでも、最後はずんと重たい感覚を味わうんでしょう。
「ーー久間さん 教えて きみは知ってるの
ーーー生きる意味ってなに?」
「・・・ひたすら・・・・・真面目に・・・
ずるをしないで全うした最後にとうとうわかるんだと思ってる・・・・・」
死にたがりには少し苦しい話です。
漫画読んでこんな何とも言えない感情になったのは初めてでした。
王狐文がすごく素敵でした。
人を支配しながらも、父親という絶対的恐怖に支配されている。
サギが好きで好きで仕方なくて
手に入れるためなら全てを利用してやるって。
自分のくだらん人生に光を見つけるために。
私にはすごく人間らしくて美しくみえました。
みんながみんなに惹かれあっている関係性もいいなと。是非。
どいつもこいつも一癖ある登場人物を各章でメインとしつつ、
この中で一番まっとうなヒーローにしてヒロインの女子高生、
十和子を中心に一同が入り乱れる群像劇でもあります。
裏社会で生きる男達の、暴力と諦めと
ままならない想いにもがく姿と息をもつかせぬ展開に引き込まれました。
ヤクザでホモの浅黄は死にたがりの田貫が好きで
歪んだ執着心を持つ王は浅黄が好きで、
平凡な保険屋の射立は田貫が嫌い。
誰一人として互いの気持ちが噛み合わなくて振り回される中、
身一つで理不尽に立ち向かう十和子の肝っ玉には惚れ惚れします。
死にたくないのに命を狙われる彼女が言い放つ言葉は、
ともすると青臭くて赤面モノなのに、
ハイテンションな展開と変人どものお陰で、
そのストレートさが光ります。
そしてホモでヤクザだけど、至って正常、
女嫌いでも大切な肉親である十和子を、
体を張って守ろうとする浅黄がすごく好きです。
どうしようもなく田貫が好きなのに、全く見込みのない
その想いを少しでも長く抱えていたいなんて、なんて・・・(落涙)
もう変わることなんて無いようだった男達が、
彼らの半分も生きていない十和子に関わった事で、
確実に何かが変わっていきます。
この世界、もっと読みたいと思わせて、あっさり切り上げるも、
ちょっと笑いを残していくセンスに毎度参ってしまうのでした。
表紙、裏表紙を見て、ペシミストの33歳髭のおっさん「田貫」が某ミュージシャンにしか見えずに購入しました。
キャラクターは彼から作られたのかなと思うような節が多々ありましたが、作品全体を通して読んでるコッチが恥ずかしくなるくらいに熱く「生きる意味」を説いていて正直微妙でした。
裏表紙のあおりっぷりからもっと変態的で飛びぬけた作品なのかと思ってしまったのがいけないのですが…
個人的にどのキャラクターもツボにははまりませんでした。
ストーリーも途中から詰め込みすぎな感じがあって、急展開に。。。
もう1話くらいページ数があったら、ちょっとはわかりやすかったんじゃないかなぁとか思ってしましました。
うーむ。
なんか、ここまでドSとドMばかりで、ぶっとんでて、暴力が苦手な私はついて行けなかった感じです。
なんだろう。他の作品は好きなのに。
世の中、こんな人ばっかりじゃあ嫌だ!!!!!
厳しい評価をつけてしまいました。
裏が読めないというか、深読みできないというか、おバカな私には???
わかりづらい部分が多々あったためこうなりました。
ゲイの浅黄さんが可愛い姪っ子を守りたいので奔走しているのもわかるし、なぜかマゾでストレートの田貫を好きなのもいいとして、そもそも彼らがそこにそのように存在している根本が知りたかった。
さらに、射立って結局どういう存在なのかいまひとつはっきりわからなかったし、狐文がここまで執着するのもわからない。
だって、一番のキーパーソンだと思われる十和子の父親が、いったいどんなことをしでかしちゃったどんな人なのかがわからないんだもん。
そういえば、久白さんもよくわからないし・・・
田貫がマゾだったり、狐文がキレちゃってたり、十和子がまっとうな女の子だったりっていう個々の部分は面白いし魅力的なんですが、わかりづらい舞台劇を見ているようなもどかしさを感じました。
勢いと感性で一気に読むのがいいのか、少しずつ噛みしめて納得しながら読むのがいいのか・・・
先日読んだ非BL作品「Love,Hate,Love」の方がはるかにわかりやすくて面白かったのでこんな評価になりました。
BLっての抜きでも面白かったです。
なんだろう。人物作りがうまいのかしら。
死にたがりで生きる意味を探してる。性癖ドM。痛みで生きてることを確認する。
そんな田貫。
田貫がすき。好きなゲイ・浅黄。
酷くされたがる田貫に必要とされるたえにサドめいたセリフをはくものの、好きな相手には優しくしたいじゃん。この『優しくしたい』な場面が好きでした。なんかすごく愛を感じる。
主題としては、少女の護衛なわけなんですけども、それを取り巻く男達の恋愛ふくめ~なお話。あえてサブにしたから面白かったというのもあるのかな。
個人的には恋愛主体で今度は見てみたいきもします。
浅黄さんのハメ撮りシーンを是非(´ω`*) クフフ
田貫。この人のラスト「生きてる意味ってなに?」ここの顔が大人なのに子供っぽくてよかった。でもたしかに生きてる意味ってなんなんだろ。
私もそうおもいます。やっぱりラブかな。縁遠いな~・・
最後に「王」ちゃん。
メールの文章意外でしたwwwいや・いや・・セリフに反して内容がおそろしく怖いぉ。
大きなテーマは「生きること」。
帯に「死にたがりに捧ぐ」とあり、帯のコピー通り非常にガツンとくる刺さる内容でした。
色々な人の生き方、人の愛し方が描かれています。
男女間の恋愛もあれば男性同士の恋愛もあるのでBLという括りは男性同士の恋愛も描かかれているから、という印象をうけました。
連載媒体が違っていたらBL漫画のカテゴライズにはしないかも。
生きる意味・価値は一つではないと思いますが、
「人を愛すること・愛されること」で生きる意味を見出そうとしている、けど報われない。でも一生懸命生きたい!愛したい!愛されたいんだ!という強い想いのぶつかり合いが一番よく表れているのが孤文。
「おまえを見てるとむかつく
おれがこんなになって手に入れようとしてるものを
おまえは味見もせずに捨てるような真似を・・・」
結果的にここまで歪みはしてませんが、できるのにやらない、という甘えに対しての怒りと同じだと思いました。
先生から死にたがりな人に捧げられた言葉は十和子の台詞にあると思います。
自分が本気でしんどい、と思った時に立ち直るきっかけをくれたのは
こういうガツンとくる言葉だったな・・・と思い出しました。
人の言葉に左右されすぎて悩んでいた昔の自分と
今の自分は自分で何にも気にしなさすぎているような気がして
もっと一生懸命生きなきゃダメだな!と反省させられました。
いつも一生懸命生きている十和子の姿に凄く励まされるマンガです。
射立のその後がハッピーエンドであることを願ってます。
いや、むしろ全員最後は笑っていてほしいです。