詩雪
同人誌『HYDRA』の番外編。
表紙は竜です、電話の相手は平良ですね。
ここでは、ハイドラ最終話エピローグ直前のある日が描かれています。このとき、竜とヒトミが最後に会ったあの日から6年が経っているようです。本編では、今までのヒトミの気持ちを把握している平良が、大阪にいる竜の電話番号を調べ連絡を取って「そろそろリセットしてもいいんじゃねえ?」とふたり(竜とヒトミ)の再会をセッティングしており、こちらはその直後。
@大阪。内海工房の2階で事務をしている竜。
明日から東京へ行くことになった竜は、お父さんにパソコン操作やらを教えているようです(竜父:PC全然ダメ)。そこへ「トモ」という竜の従弟(高3)が遊びに来ます。ちなみに竜は最近彼女にフラれ別れたらしい。さて、同級生の男子が好きで悩んでいるこのトモは、長年慕っている竜にアドバイスを求め相談にやって来たのですが…。
一見サラッと出た竜の言葉たちが、お味噌汁のように沁みこんできます。
「うん。何せもう十年以上好きなんやからな」
「もし恋愛関係になられへんかったらそいつと友達もやめるんか?」
「そんなら慎重に行動せえ。その子のためにもな」
ひたすら「竜の思考」というのがずいぶんレアなものだと思います。本編では想像はできたものの、最終章クライマックスともいえる場面での告白を除けば、竜の口から語られる部分は少なかったように思うので。10年以上もの間、たとえほかの誰かと付き合っていても、竜にとって一番大事なのはヒトミだった。誰にどう思われようと、自分さえわかっていれば…という想いだったのでしょうね。それでも、きっかけを作るのは"いつでも平良"だというのが泣ける(これが本当に涙)。竜のなかに存在していたブレない気持ちを聞けたことがうれしくて、番外編だけど評価をするなら神を付けたいです。
恋人であるまえに友達...彼らに友情と愛情は切り離せない。それが当然として貫かれているのも『HYDRA』の魅力のひとつではないでしょうか。まだ少しハイドラの番外編を残していますが、それは平良光が主役になっていく『RULES』のレビューができた時にしようと思います。
HYDRAの番外
竜と人見、平良達が久しぶりに再会する、「エピローグ」の前日の話。
竜に懐いている従弟の高校生が、男友達に恋愛感情を持ってしまったと、相談してきます。
自分たちの苦い日々を懐かしく思い出しながら、早まるなと、優しく諭す竜。
と、いうわけで、
10年の歳月が流れ、高校生の頃から大人びていた竜は、よりオッサンくさく、、、
このシリーズ、終わったようでいて、まだまだポロポロ番外編が出続けるのだろうか?
それは、それで嬉しいけど、このまま生涯付き合うのかなぁ、、、