抱きしめてなぐさめるって、友達としてアリだろうか? 秘める大人の恋、短編集。

泣かないで、大久保くん。

nakanaide ookubokun

泣かないで、大久保くん。
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神9
  • 萌×25
  • 萌17
  • 中立2
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
19
得点
118
評価数
33
平均
3.6 / 5
神率
27.3%
著者
北別府ニカ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
東京漫画社
レーベル
MARBLE COMICS
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784904101469

あらすじ

毎週金曜日、大阪発の最終便で一緒になる大久保くんは
大人になってできた友達。
同級生というほかはお互いのことをあまり知らないが
帰りの時間をゲーム対戦しながら楽しく過ごす仲良しだ。
週1がわくわくの1ヶ月目くらい、道で迷って入り込んだホテル街で
男と一緒の大久保くんを偶然みかけてしまった…。

センチメンタルな大人の恋でまとめたnicaワールド全開。
描き下ろし有りの最新短編集☆
出版社より

表題作泣かないで、大久保くん。

樋口(攻め受け無し)、飲料関係勤務、27才
大久保くん、不動産関係勤務、27才

同時収録作品あかねいろ

坂上晴美、27才、作家
宮下、攻から逃げた恋人

同時収録作品下り電車の恋人

剛 小説家
半澤ひろお 攻の2コ上/担当編集者

同時収録作品2LDK

隆ちゃん(リーマン) / 市村(リーマン)
わかば(攻の幼馴染) / 佐伯(バー店長・30歳)

同時収録作品空腹エレジー

板橋 受の隣人/リーマン/23歳
大崎明義 バンドマン/25歳

その他の収録作品

  • あとがき
  • カバー下漫画

レビュー投稿数19

不器用すぎて哀し過ぎるゲイ恋愛の現実

ファンタジーお断り。
これはこの本を読む度に感じること。

「泣かないで、大久保くん」の大久保はバイの上司に寂しさをつけこまれ、毎週大阪に呼ばれかりそめに抱かれる。
「あかねいろ」の叔父は世間体を慮った相手に逃げられ、永遠の愛を呟きつづけながら死んで行く。
「下り電車の恋」の半澤は男とつきあってるのがばれ、絶縁される。
「2LDK」のわかばは幼なじみの隆に告白され、ホモを自覚し、引きこもる。
そして「空腹エレジー」の大崎は飯のためにセックスに身を委ねる。

この本における「ゲイであること」の意味は恐ろしく重く、現実的。
好きだからやっちゃえ、それでAllOK♪的なBLのファンタジーはここには影も見せない。
おそらくこれだけでは恐ろしく救われない本だったはず。

そこを北別府さんらしいメリハリの効いた表情とそれでもなんとか生きて行けるという明るさ演出でなんとか耐えている本。
普段ほのぼのをベースとした方なのに、シリアス書くとこうも映えるとは。

「あかね色の空にあなたを想うのです」

いつか作詞/作曲してみたいテーマが増えた。

7

「あかねいろ」という作品

表題作含め5つの作品が収録されています。どのお話も遜色なく好きなのですが、特に思い入れの強い「あかねいろ」という作品についてだけレビューさせて下さい。

何度読み返しても、胸が苦しくなります。
二十数ページの短い作品ですが、半分を過ぎた辺りから毎回視界がぼやけてくるのです。結末はわかっているのに。
同級生同士(27歳)の悲恋が第三者(片方の甥)の視点で語られています。
周囲の理解(主に身内からの)をあまり得られなかった、けれど十年という歳月を共に歩んできた二人の恋の結末です。
語り口は淡々としており、だからこそ物語の余白部分に思いを馳せることが出来、徐々に胸が締めつけられていきます。

彼がいつも訪ねてきていた あかねいろの夕刻になると、一秒が永遠にも感じられるであろう、待つ身の長さ。この次の瞬間には、あの扉を開けて彼がやって来るのでは…という高揚感。
そんな気持ちの浮き沈みを気が遠くなるほど繰り返して、繰り返して・・・

全ての恋が成就して 愛に昇華するわけではないんだよ。と、登場人物が寂しく微笑んだような気がしました。
この神評価は「あかねいろ」に捧げたい。


6

【あかねいろ】に神を捧げます

何よりも圧倒的に【あかねいろ】という作品が好きです。

街はずれの一軒家に住んでいる作家と、夕暮れ時になるとやってくる恋人との関係を作家の甥っ子の視点で語られたお話です。
高校時代、両家の親にバレたときも散々大変な思いをして、それでも別れずに続けてきた二人だけど、増えるしがらみ、世間の目…今後の事を考えて別れを切り出す恋人に対し、「街はずれに家を買ったのも、作家なんて仕事を選んだのもお前とずっと一緒にいたかったから…」と縋り付く作家。

そして…5年後の夕暮れ時。
あかね色の空を背景に、かつての人が再びやってきます。
かつて「こんな関係」、「こんな事」、「俺の事」は忘れろと言い残して、去っていった恋人が見たものは…。
お互いの立場と幸せを願っての別離だったはずがこのような結末になるとは、なんともやるせない。悲しすぎます。

作家が残した本にある「あかね色の空にあなたを想うのです」というフレーズが印象的なこの作品は、夕暮れ時という刻々と変わりゆく美しいひとときを背景に描いた悲恋で、何度読んでも胸に迫るものがあり涙が滲みます。
しかし鬱々としてしまうようなどんよりとした暗さを感じないのは、第三者視点で語られているおかげで感情に溺れる過ぎることなく描かれているため、読み手もどこか俯瞰したような位置から読む事が出来るからじゃないかなと思います。

このほかには引きこもりの幼馴染と同居を始めた二人組、そしてそのお隣さんには長年付き合っているゲイカップルが住んでいて…という二組が登場した【2LDK】が好きでした。

答姐の「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」で教えていただいたのが、こちらの作品です。
【あかねいろ】を知る事ができて良かったです。この作品に神を捧げます。教えてくださり本当にありがとうございました。

3

男子はいつになっても「おとこのこ」

ニカさんの本を読むたびに、「ああ、男子っていつまでも子供だよねー」とか、「そういう一言に救われるんだよね」など心が温まるような思いがします。

 新幹線の中で「しっぺ」をして騒いでしまうあたりや、大声で叫んでしまったり、大人になって自立しても「好き」といえないままもどかしい関係を続けてしまったり、うーんやっぱりいつまでも子供、少年なんですかね(笑)

 私は、「あかねいろ」の中に出てくる少年が好きです。当時15歳だった彼が、おじさんが男しか愛せないことを知ってしまうあたりや、20歳になって、おじさんの死を彼と回顧するシーンは私結構萌えました。こういうところに、男子が少年ではなく、男性の顔を見せてくれると思うからです。(この手の見せ方をされると本当に弱い…)

いずれにしても、短編作品なので読みやすいです。

2

ちょっと意外な1作が含まれていました

ニカさん作品=可愛らしいイメージなのですが、今回ちょっとハッピーエンドとは言い難い切ないお話が1つありました。
こういうのも描かれるのだなぁ…と吃驚。
因みに、表題作のことではありませんw


■泣かないで、大久保くん。/泣かないで、樋口くん。■
樋口(会社員)×大久保(会社員) ※27歳同士

毎週金曜日、新大阪発の最終新幹線で一緒になる大久保くんは大人になってから出来た友達。
同い年という他はお互いのことを余り知らないが、帰りの時間をゲーム対戦しながら楽しく過ごす仲良し。
1ヶ月目くらいのある日、道で迷って入り込んだホテル街で男と一緒の大久保くんを偶然見かけてしまい…。

あんな上司は捨てるがいいさ。
ゲーム対戦している2人が楽しそうで可愛い。
しょうもない罰ゲーム(例:全力しっぺ)とかムキになっていたりw

カバーひっぺがすと2ページ漫画。
酔いつぶれた大久保くんにキュンキュンする樋口くん。
据え膳状態www

初回特典ペーパーの2人が…なんか…とっても可愛かった(((o(*゚▽゚*)o)))
お花ぽわわ~みたいな?

■あかねいろ■
坂上(小説家)×宮下(会社員) ※甥っ子視点

15歳の俺は町はずれのボロ屋に住む小説家の叔父をこっそり訪ねている。(※父&叔父は不仲)
ある日、叔父の友人である宮下がやってきた。
帰ろうとしたが、以前見たとき喧嘩をしていたのが気になり戻ってみると2人は別れ話をしていて…。

何か暗い暗いと言われた作品らしいですが、そのようには感じませんでした。
いやまー…確かに5年後にはおじさん死んでいるんですけどね。
バッドエンド的な感じではあるんですけどね…。
どうしてかな…綺麗だって感じてしまったのですよ。
哀しいし切ないんですけどね。
夕暮れの中で静かに泣く宮下さんが印象的でした。
甥っ子が言うように2人とも馬鹿ですよね…。
両思いだったのに…坂上が小説家として売れ始めたから世間の目を気にして、坂上のこと思って別れを切り出した宮下。
でも思いは消せなくて囚われてしまって…最期までそれは変わらなくて…。

※「あかねいろ」=坂上の著書のタイトル。ある男が美しい恋人に宛てたラブレターのような内容だった。

■下り電車の恋人。■
剛(小説家)×半澤 ひろお(担当編集者)

仕事の打ち合わせ中に電話で半澤の母が亡くなった知らせが入る。
だが実家とは絶縁中で帰れないという半澤を見て支えになりたいと感じた剛は口説きまくって恋人関係に。
そして付き合い始めて訳1年のある日、実家から3回忌の線香をあげに来い、と連絡が入り…。

いまいち乗り切れずー。
受けが余り好きくなかったのですよね。。。
でも最期の方でムーッとした顔から「ちゅ」して笑顔で名前呼びしたのは可愛かったなー。(←受け)

■2LDK■
尾久 たかゆき(会社員)×わかば(引きこもり中)/市村 太一(会社員)×佐伯(ゲイバー店長)

小学校から大学までずっと一緒だった幼なじみのわかばが2ヶ月前、突然部屋から出てこなくなってしまった。
卒業式の打ち上げで女の子達にセーラー服を無理矢理着せられたあげくに男女ともに絡まれまくっていたのを救出しなかったのが原因だろうか…( ̄へ ̄|||) ウーム
可愛かったんだもん…とはいえ責任を感じて、外に出るきっかけになれば良いと思い2人暮らしを提案。
やっとこさ顔を見せてくれた日、隣室の獣のような夜の営みをする同棲カップルが実はゲイカップルだと知り思わず帰宅後に告げたら…こもられてしまったil||li _| ̄|○ il||li

この話が物凄く気に入りました。
ニカさん作品で1番好きだ。
わかば可愛すぎる(/ω\*)
たかちゃんも「うちのわかば」「俺のわかば」って…本音だだもれwww
もーどのページもキュンキュンきた。
この気持ちを言い表すのは無理。
ってことで、是非読んでくれと叫びたい。

■空腹エレジー■
板橋(大手企業勤務)×大崎 明義(バンドマン)

いつも金穴の明義は自宅で行き倒れているところを隣室の板橋に助けられる。
親切への対価に要求されたのは自分のカラダ?!

支払い設定が笑えましたwww
ビール1本=キス1回、おつまみ=×××追加…etc
おバカな受けと意地悪で計算高い攻めの話。
でも実は攻め様ってば一生懸命www

2

どの作品もそれぞれいい!

これはー
表題作はとても短いですね……
むしろ、同時収録作の『2LDK』がメインのような一冊でした。
ただ、どの作品もとてもいい!!
それだけは間違いありません。

表題作『泣かないで、大久保くん。』も可愛くてよかったです。
ただ、いかんせん短かった……
読み足りないです(涙)

そして、本作で一番評価の高いであろう作品『あかねいろ』
とても切なく、短編としては秀逸だったと思います。
ただ、そこまでなる前になんとかならなかったの〜?
と、思ってしまう部分もあったり……


でも、とても満足の一冊でした!

0

大久保くんv

友情?な紙一重なお話でしたね。
でも、これ気持ち的にはすごく良くわかる~と、思わず共感してしまいました。
寂しんぼなのですつД`)・゚・。・゚゚・*:.。

他短編いくつか。
死エンドはもぅそれだけで切ない。
かなりセンチメンタルなわけですが、後半に行くにつれてハッピーが増えて心救われたかな。
わかばちゃんの話が好きです。
痛んだ心のオアシス。
セーラー服とかめちゃくちゃエro・・・(ジュルリ
ちょっと短めに切られた前髪も乙。

6

NOT ヘタレ攻!

ヘタレ攻、しかも泣きながら攻めるという究極のヘタレ攻で有名な北別府ニカさんの最新作。
「泣かないで、大久保くん。」ということで表紙から泣いておられますよ。
しかし!今回泣いておられるのは攻ではなく受です。
このコミックスではほぼヘタレ攻はいません。泣いちゃうのは受ちゃん。
「空腹エレジー」にいたっては俺様(らしき)攻ですからね!!
それでも攻がヘタレに見えちゃうの絵柄のせいなのか、それともニカパワーによるものか。

「泣かないで、大久保くん」
会社員の樋口×大人になってできた友達・大久保くん。
大久保くんは上司と肉体関係を持っており…
「あかねいろ」
主人公の叔父とその恋人。かなり切ない。
「下り電車の恋人」
作家×担当者。この担当者が静か~に放っている色気がスゴイ。
「2LDK」
とあるマンションで同棲する二組のカップルの話。
「空腹エレジー」
食べ物と身体を引き換えにする攻と受。

個人的には2LDKの真面目メガネ×女王様バー店長の10年愛が好き。
女王様だから真面目メガネくんを振り回してくれるかと思いきや、
クソ真面目メガネくんは天然タラシなのか、女王様を振り回してくれました。
バカップルすぎて超可愛かったーー

ニカさんの代名詞・ヘタレ攻はなかった(多少はあったのかもだけど、今までと比べると、ねぇ)けれど、可愛さは顕在!!
なんなんでしょね、この魅力。

3

大人のお話、多め

表題作は、仕事帰りの新幹線でいつも一緒になる樋口くんと大久保くんの、恋愛未満のちょっといい話。
この際恋愛に発展しなくても、親友でいてほしい二人です。
樋口くん生殺し状態ですが、カバー裏のようなお付き合いが一番しっくりくるかなと思いました。

表題作も含め、4つの短編と1つの中編が入っています。
大人だったばっかりに大人でいようとして辛い恋になってしまった大人の悲恋「あかねいろ」と、
お互いが遠慮がちで慎重で、あと一歩隔たりを感じている二人が優しさでその壁を越えていくお話「下り電車の恋人。」は大人の雰囲気漂うお話でけっこう好きです。

お隣の男×男カップルのおかげで?めでたくまとまったグルグルタイプの幼馴染のお話「2LDK」は、主人公カップルよりお隣の二人のほうが好みだったりして。

3

短編じゃ物足りない

表題作、これから二人は、ってところで終わってしまって、なんだかもったいない&物足りない。
大人だけど子供、な、キャラクターの設定とかかわいいんで、ストーリーもうちょっと練り込んで、この先ガッツリ読みたい。
せめて、この倍ぐらいの長さがあったらなぁ。
「あかねいろ」とか「下り電車~」「空腹~」は、短編として、これはこれできれいにまとまってるからまあいいけど、表題作は、この二人がどうなるか、もうちょっと読みたかったな。

「2LDK」は3連作。
メインカプの他に、お隣の大人カプのお話も挟んでる。
やっぱり、せめて、この位の長さと、広がりがあった方が、読みがいがある。


3

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