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まだBLが「耽美」というジャンルであった頃、漫画好きの早熟な同級生が何故か突然私にこのシリーズを貸してくれたのが全ての始まりでした。
私は初めて知る世界に引き込まれ、一気に本橋作品のファンになってしまったんです。そして、「耽美」な世界観にも魅かれるようになりました。
とはいっても、当時はもちろん今ほどは「耽美」物を読む事も手に取る機会も少なく、いつしかその熱も落ち着き、長いことブランクもあったのですが、やはり一度知ってしまった世界・・・まさかその後、今度はすっかりBLの世界にどっぷりはまり込む日がこようとは・・・
とにかく私にとっては、この作品がこの世界を知るきっかけであり、一生忘れられない作品なのです。
同級生に渡された時、正直、「うわ・・・苦手な絵・・・しかも昔っぽい・・・」と思ったのですが、読み始めたら不思議な事にこの絵が世界観にとてもぴったりで、とても美しく感じました。
BLとは呼べない、やっぱり「耽美」というジャンルで呼びたい作品の1つです。
24年組と言われる少女漫画の(とその周辺の)作家様たちが発表した作品の中には、数々の少年愛、同性愛を扱った作品がありました。そして「JUNE」などを中心に発表された【耽美】な同性愛もの。
…そういうムーブメントから現在のようなBLが成立していく途中の過程にある作品の代表的なものが、本橋馨子さんの【兼次おじさまシリーズ】をはじめとする作品群のような気がしています。
兼次おじさまって、今風に言うならスーパー攻め様!? 恋はなかなかうまくいきませんけどね。
絵柄が独特で、濃くて、ちょっとそこで引いてしまう人もいるかもしれませんが、現在のBLにつながる要素を色々発見できたりもすると思いますよ。できれば引かずに読んでみていただきたいシリーズです。
初めて本橋さんの作品を読んだときは、あまりの濃さに吃驚しました。
瞬きをすると風が起こりそうな、宝塚歌劇団ばりの長い睫毛!
お城のような豪邸に、画面狭しと薔薇が飛びまくる。
超お耽美です。
かなり好き嫌いの分かれる画風だと思います。私も当初は苦手でした。
しかし『花とゆめ』に掲載された「兼次おじさまシリーズ」を読み、
ギャグで笑わせて気を抜かせていると、切なさでぐっと乙女のハートを掴む
本橋ワールドにハマッてしまいました。シリアスとギャグの配分が絶妙。
この作品は兼次おじさまシリーズの記念すべき第一弾。
今は亡き従兄弟(太郎)をしつこく執念深く思い続けている兼次おじさまは、
太郎の忘れ形見・茂を溺愛。太郎にそっくりの茂の恋路を邪魔して迫る兼次ですが、
どこまでが冗談でどこまでが本気なのか?あやふやで判らないのが魅力。
表題作は高級会員制クラブで働く影のある美少年・信夫と、兼次おじさまのお話。
心の傷を抱えた信夫を、兼次が優包みます。
ド変態だけど包容力があって、優しいんですよ~おじさまは!
そんな超かっとんだ兼次の周囲に集まるのも、個性的な面々ばかり。
私は特に兼次の両親がお気に入りです。
ドタバタ笑いの渦の中に、一握りの切なさ。このテンポは癖になります。
絵柄に引かずぜひ、多くの人に読んで欲しい作品です。