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無意識に引き寄せた手を、振り払うことができずに――
yasashii sonoyubi de hidoku
水戸泉さんの本はえろ目的で読むことが多いですが、この本は珍しく(と書くと失礼かもですが)お話にひきつけられました。
カップルの組み合わせが好みだったからかもしれません。
表紙だけ見るとヤクザ×学生のようですが、刑事×刑事のお話です。
主人公の錫代は家族を惨殺した犯人に復讐するため捜査一課に入り、指名手配犯などと裏で繋がりながらコツコツ情報集めをしています。
錫代と新しくコンビを組むことになった葉蔓は、外見は10代のようで、腕力もなく要領も悪く、ただし瞬間記憶能力を持っています。
刑事に向いていない体の葉蔓は、錫代の復習の力になってくれている警視に「錫代役に立つだろう」と考慮されて配属されてくるのですが・・・
最初は小動物のようだった葉蔓が、次第に錫代に懐くようになり、そうすると世話焼きで明るくて前向きで意外と強い一面を見せます。
錫代は次第に葉蔓を可愛く思うようになりますが、家族への復讐という暗い思いから、心の深いところまでは受け入れないように防御します。
ですが、ある出来事から葉蔓に手を出してしまい、流石に嫌われたかと思っても、葉蔓は次の日にはまた錫代のもとへ戻ってくる。
展開は、陵辱→葉蔓は逃げるけどまた戻ってくる→陵辱→戻ってくる、の繰り返し。合意は最後の1回だけです。
お話が面白いと思ったのは、錫代の復讐劇にきちんと終わりが設けられていたこと、それも二転・三転した真相が用意されていたことです。
ネタバレをしてしまうと面白くないお話なので全部は書きませんが、葉蔓が錫代の事件に関わっているのでは?と錫代は推測し、そこから犯人や真相を推理していきます。
いつもと違って、えろを期待でなく、最後がどうなるか気になって一気読みしてしまいました。
錫代の目的は犯人を殺すことで、その後の社会的なことは考えていません。
殺すことだけを目的に今まで生きてきました。なので、ラストがアンハッピーだったらやだなぁと思いつつ、最後が近づいても展開はドン底のままで
本当に収集がつくのか?と思いましたが上手くまとまっていました。
もう1つ、薬を使ったプレイが多いので苦手な方もいそうですが、私はこれが非常に楽しめました。薬で酩酊した葉蔓に命じて思いのままに抱く、ハメ撮りをする、わざと幼稚な口調で喋らせる・・などなど。
これが学生ならそんなに萌えなかったかもしれませんが、葉蔓が童顔ながら曲がりなりにも大人ですので、このシチュエーションが非常に卑猥に思えてよかった・・・。
1つ気になるのは葉蔓が錫代に対して盲目的に尽くすことなのですが・・・
「犯人のかわりに自分を殺していい」とまで彼は言いますが、単純に愛している以上に「殺してもいい」という盲目度は単に「好きだから」じゃ語れない気がします。
「警察学校時代から憧れていたから」という理由しか書かれていない気がするのですが、これは事件に対する負い目などでなくどこからくるものなのか?それがちょっと理由不足な気がしました。
俺様系の錫代とひ弱な葉蔓…という印象でしたが、最終的に「自分がやしなう」「俺がいるから大丈夫」という葉蔓の台詞を聞いて、案外錫代のほうがヘタレなんじゃないかなーと思ってしまいました。
すごくBLっぽいというか、まるでお手本(?)のようなBLなんですが、少々暗い設定でも大丈夫!な方には(最終的にはハッピーエンドですので)ストーリー・エロ・キャラクターともに私は人にオススメしたいなぁと思いました。
ハードボイルドです。どうにも暗い、痛い。
あらすじ読めばわかると思うので内容は割愛。
主人公の錫代は復讐に取りつかれています。なかなかな長身で男前。
桜城センセのイラストでは冷たい雰囲気が出ています。
そこに新人刑事の葉蔓くんがやってきます。
可愛いです。スーツを着ててもせいぜい成人式のようだと思われるくらい。
イラストでも、お約束のお目目クリクリでちょっと引く。
最初は邪険にしてたんですがね。
どう意地悪しても錫代のお世話をするんですよ。
なんつーか、健気っつかー。
んで、手を出しちゃう。しかしそれは拒否られる。当たり前だっちゅーの。
そこが妙なひっかかりになっちゃって、どんどん絆されてって。
しまいにゃ執着して。
読んでいくと、どんどん気が滅入ります。
なにか救いがないから。
しかも大どんでんがあって錫代ホンキで自暴自棄になります。
そのやり方もなんかいまいち。
このお話、むりやり最後に救いがあるようになってます。
いっそ最後はアンハッピーで終わっても良かったのにって思います。
生きてハッピーではなく、消えて昇華ってパターンもありだと思いますんで。
どうにもこうにも消化不良。
ゆえに、趣味じゃない。