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シリーズ第7作、その5。
15年の長きにわたった(らしい)シリーズの完結編です。
冒頭、カイの色っぽい喘ぎ声の濃厚なシーンから始まっている。
この作品、娯楽SFとしての面白さが勝ってしまって、LOVEは時々忘れ去られているので
最終巻、忘れないうちに書いちゃったんだね?という感じw?
冗談はさておき。
戦いも最終局面、司令官奪還とグイド・リーの救出が、二手に分かれ進められていく。
作戦が進むにつれ次々に立ちはだかる困難。
最後までハラハラ・ドキドキが続く。
いや、二人の関係じゃなくて純粋にストーリーに。
最後の最後、絶体絶命の危機に「行ける奴が行く、出来る奴がやる。それだけのことさ」
と言って、自らの死を顧みずに飛び込んでいった三四郎!
起死回生のウルトラCは、カイのとった月人にしかできない行動だった。
そして、「月人で良かった」と涙するカイ!!
ところが、ここで終わらず読者は最後にもう一回振り回される。
うわー、ええ?あと何ページ?どうなるんだ~~~っ!!(絶叫)
BLですからハッピーエンドにはなるだろうと期待しましたし、多分なったんだろうけれど、
最後あまりに端折り過ぎでしょう?!
あの状況から三四郎はどうやって帰還できたのか?
ええ?気になるっ!!
…と疑問と不満が残りつつですが、結局Σ23には行かなかった二人は地球に向かうのでした。
この巻で、不覚にも涙してしまったのは(長いシリーズを通して、涙腺に来たのは二度目です)
主役二人の関係ではなくて、脇役グイドとサーシャの関係。
疑問の解決とともに、この二人の再会やその後も、是非読みたいと熱望しています。
とにかく、ひとまずエンディング。
BL的に比重は確かに少ないが、読んで損はない間違いなく面白い作品だったと思います。
番外編も出ているようなので、続けてGO!かな(笑)
※追記
どうでもいいのだが、衝撃的だったグイドの状況に関して思った事。
iPS細胞の実用化に向けて動き出しているご時世、10世紀も経ってとんでもなく科学が進歩しているのに
再生医療ってそんなレベルなのかなぁ~、とSFとしては結構そこらへんが疑問。
まぁ、この場合セックスができない、というのが大きなファクターだから
これじゃなければお話が成り立たないんですけれどねっ?
グイドを救うため、サマル中継基地に潜入していた三四郎は、「心の死」を自らの力で乗り越えたカイと再会し、改めて司令官奪還とグイド救出のための作戦を決行する。
しかしそれは、人も足りない、武器も足りない、時間も足りない……中での非常に危険な作戦だった。
カイの立てた作戦により、司令官を奪還する組とグイドを救出する組の二つに分かれ、全層警告とともに、それぞれが作戦を開始する。グイド救出組に入ったカイと三四郎は幾多の困難を乗り越え、グイドを救い出したものの、司令官を救出する方の組は困難を極めていた。
三四郎とカイは、すぐに司令官救出組へと応援に向かうが、そこで待ち受けていたのは残酷な決断を迫る状況だった。
「俺しか出来ないからやる」
自分の命を落とすであろう決断をあっさり下した三四郎を、カイは必死に名前を呼び、すがり、思いとどまらせようとするが、三四郎は行ってしまう。
そんな感じで、素直なカイさんにかなりびっくりさせられるこの巻。
でも、ようやく見つけた安定は、三四郎なしではきっと成り立たない安定だから、それで本当によかったのかどうかはよくわからない。そして、何よりも、この巻が「あれ」なシーンから始まってることにとってもびっくりしました。いや、本当に。
こんなラブラブな話じゃなかったと思うんだけど……? と、首をひねってしまいましたが、作戦は苛烈で、作戦が始まっちゃったらもう、こんなことする余裕なんてまったくないから、最初だったのか……と、今はちょっと納得してます。
これで、ついに長く長かった「青の軌跡」シリーズが完結してしまいました。
もう、今は呆然とするしかないのですが、いい本は、好きな本はずっと続いてほしいと願ってしまうものなんですよね。でも、どんなものにも終わりが必ずあって、こんなに長いこと、投げ出さずにピリオドをちゃんと打ってくださった作者さんにはちゃんと自信の手でピリオドを打ってくれたことを感謝しないといけない……とは、思うんですが。
最後に納得しないわけじゃないんです。とってもこの二人らしい終わり方で、いい終わり方だったと思います。
ただ、まだ続きを書ける余地がある気がして、どうしてもそこの二人を知りたくて、是非、続きが欲しい! と、思ってしまいます。
今までみたいに、レッドアラートも何にもなくてもいい、普通に幸せな二人が見たいです。
と、思わせてくれるような小説です。
最後まで成長過程であると思わせるような二人が、二人の関係を構築して行く話。不器用だけど、まっすぐ。ついでにSF要素もちゃんとハラハラドキドキ。しっかりした舞台構成の上に立っているので、そちらの面でも十分に楽しめると思います。
遂に最終章もフィナーレです。
今回の大筋はグイドの救出と司令官の奪還。
そのためにそれぞれの特性を活かした作戦が練られ、決行されるのだが…。
最後ということで物語も終幕へ向けていろいろと収拾をつけなくてはいけなくて。
アクションシーンやらバトルシーンやら。
更には暗号解析やらの頭脳班もいて。
そんな中でなんといっても今回はやっぱりグイドの真実はなんとも印象深かったです。
グイドのそれは、もし自分の上官だったならばそれを知ればそれこそ一生ついていこうと思えるほどの行為で。
そうまでしても、誰1人失わずにいたいと思ったグイドの意志は素晴らしいなと。
これでも不十分なら次の段階に進む覚悟もしていたし。
けれど、それを他人に見せられないのが彼のプライドで。
それゆえに、サーシャとの仲がこじれてるとも言えるのだけれども。
サーシャの状態についてもグイドの口から語られて。
淀んでしまった理由はわかって。
ちゃんと話し合えれば向き合えたかもしれないのに、サーシャは自分の中に閉じこもって聞く耳を持とうとはしなくて。
今回のことでカイと三四郎によって否応なしに現実を突きつけられることになるのだが。
肝心の再会シーンに関しては今回の物語では語られていないのでどんな話が繰り広げられたのか非常に気になるところ。
自分の目で初めてそれを目撃することになるサーシャにとっては非常に驚愕だろうし。
それでも、戻って来た2人が穏やかな空気になれたのだからこれからは大丈夫なんだろうな。
もう、なんかとにかくサーシャには幸せになって欲しい。
一方、メインのお2人さん。
最後の最後までハラハラドキドキの展開。
もう、司令官奪還のところなんか、なんというか推理小説のトリックのような。
究極の方法で。
それが出来るのはカイしかいなくて。
目覚めた時にカイが「月人でよかった」と泣けたのが非常によかったです。
これまで自分の人生を否定するようなところがあったので、プラスの方向に役立てることが出来て少しずつ変わって行けてるんだろうなと感じました。
そうして、みんなで逃げて平和に終わるのかと思ったのにー!
その先にもう一波乱ありました。
ちょっとびっくり。
そして、最後はかなり時期も飛んで。
チラリとしか絵に描かれていない三四郎の全容が見てみたいと思いました。
そういえば。
最初、グイドの挿絵見た時はかなりビックリしたなー。