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グイドとバサラの半ば脅しも含めた強引な誘いに寄って、司令官を奪還する作戦に協力せざるをえなくなったカイと三四郎。
しかし、相手の基地に乗り込んだはいいものの、待ち受けていた敵の罠に寄って作戦は失敗に終わってしまう。
カイは精神に重大な傷を受けて意識を失ったまま戦場を後にせざるをえなくなってしまう。カイの精神に受けた傷は、死に向かう人間の感情を集めてしまう、というエムパスの人間ならではのもので、カイはその感情に引きずられまいと自らの意識を封じ込めてしまう。
一方、カイは拘束されてしまったグイドを助けるために、グイドの副官であったサーシャとともに、基地に残り密かに作戦を進めようとしていた。
カイが戦闘を離脱した後に引き起こされたことは、私が思ってたよりも重要なことだったようです。個人的には、ただ単にカイが三四郎と引き離されてしまったことにショックを受けていたのですが。
実は、カイはそれどころではなかった……という。
カイは死へと向かう人の想いに引きずられて、生死を彷徨っていました。
三四郎が「お前は兵士にはなれない」と繰り返し言っていたのは、このことだったようで、まんまと三四郎の勘はあたってしまった訳です。
だったら、もっと早く、口で説明してやれよ……と、思わないこともないんですが。
それを説明したら終わりだし、説明した所でカイが納得したかはきっと別問題なんですよね。
この二人はどっちもどっちで意地っ張りなのでなかなかに難しい。
けど、カイはこの苦境をちゃんとバネにして立ち上がってくれました。
そして、一回り大きくなった新しいカイが誕生する……。まぁ、ちょっとオーバーに書きすぎかもしれませんが。
結局、この二人がハッピーエンドになるためには、今のままじゃいけなくて。
三四郎が変われないなら、カイが変わるしかないんですよね。
なんだか、最後の方とか、ラブくて! 思わず、泣いてしまいました。
嬉しくて泣いてしまう小説なんて、実はそんなにないので、ちょっと個人的にはびっくりしたんですが、それくらいこの本でのカイの成長が嬉しくて。
少し、カイの肩の力が抜けたことがよかったなーって思います。やっぱりすごくすごくいい話です。
次の巻が最後だっていうのが、悲しすぎるくらいですが、早くハッピーエンドを迎えさせてあげたい気持ちもあって。
ちょっぴり複雑です。
でも、感動間違いなしなので、ぜひぜひ、このシリーズの最初から読んでほしいと思います。
最終章第4節。
死への恐怖の感情を大量に浴び倒れたカイ。
その恐怖の中から生還するためにガーネシャは手を貸して。
一方、サーシャと共に残った三四郎は作業員として潜入し調査を続けるのだが…。
今回のスタートはカイと三四郎バラバラのところから。
カイの能力がゆえにカイは倒れ。
今まで望んできたものの真の正体を見ることとなる。
それは思い描いていたような甘美なものではなく、初めて恐怖することになるのだが。
ガネーシャの手を借りて、未来を選ぶ。
選ぶのはカイ自身。
カイの中で「彼」が呼びかけてきたことはそれだけ、彼がカイの中で大きな位置を占めているということでもあるんだろうな。
三四郎はそれを単なる理由づけにすぎないというように言ったけれど。
それがどうであれ、カイの方向性が変わって来たのは確か。
三四郎は相変わらず三四郎節全開というか。
わからないことはわからないでいいし、カイの周りくどい言い方も三四郎にかかると事もあっさり端的になって。
明快なそれは、それはそれで三四郎らしいと納得してしまうのですが。
かわってゆくカイをどう捉えていくのか、この後が気になります。
そして、サーシャ。
相変わらずの空気感は未だ抜けず。
閨房術を使って入り込もうとしたり。
後半、カイが戻って来てカイと話すことで少し前向きになれた部分はあるようですが。
彼の中の問題はグイドとちゃんと向き合わない限りは解決しないだろうし、ほかの誰に「もしも、あなたが○○だったら~」と尋ねたところで仕方のないことなんだろうな。
早く彼が幸せになれることを祈ってやみません。
シリーズ第7作、その4
まず表紙のカイに驚かされる。
バイザーを取り、まっすぐ正面を見て微笑むカイ。
まるで吹っ切れたようなカイの表情の意味は、本編を読めば分かる。
Stage3の最後、死にゆく者の感情に感応して倒れたカイは撤退し、三四郎は戦場に残った。
離ればなれの場所で、それぞれが生き抜く為に戦っている二人。
カイはガネーシャに支えられながら、精神的な死からの帰還を果たすが
彼を死の淵から救い上げるエネルギーになったのは、他ならぬ三四郎のエネルギーだった。
月人である自分を厭い、生きる事に執着できなかったカイは
死からの生還を経て、自身の生きたいという望みを認め受け入れることが出来る。
それが、表紙の生き生きとした笑顔だ。
生き延びた、否生まれ直したカイは、再び戦場へ向かって三四郎達と合流する。
「なぜ戻ってきた?!」と、激怒する三四郎。
睨み合う二人、そして敵陣の真ん中であることなど忘れたかのように濃厚な抱擁へ!
そこから後は、息つく間もなく今度こそ人質を奪還すべく走り回る男達。
果たして今度こそ彼らは作戦成功できるのか?!
カイにとって月人の能力はこの話の中で幾度となく邪魔になってるようで、そこにカイの苦悩があって話が進むからメインテーマに近いのかも知れないけれど。
今度のカイも大変。
三四郎と物理的に引き離された仕方ない経緯はあるものの、このカイの苦難に三四郎が側にいないというのはどうなんだろう?
死に接したカイを助けるのが三四郎ではないなんて、萌え的には原点だよね~~
確かに精神的には三四郎に縋って助かったのかも知れないけれど、それは久能さんのこじつけのような気がして、ここまで来て肝心なときにカイの側にいないなんて失点では?と思ったのですが。
思えば三四郎は貴重な攻めのような気がします。
普通攻めというのは最初がどうであれ、受けをどこまでも守ったり、甘やかしたり、デレデレになったり……とにかく受け中心に行動するのがBLの攻めではないでしょうか?
けれど三四郎、テンプレにはまりそうなのはカイの尻に敷かれてることくらい(笑)
時々、そもそも三四郎はカイのこと愛してるかわからないんだよね~~と基本的なことに悶えてしまう。
エロの部分は濃いんでしょうが、ベッドから降りるとそもそも……みたいな。
なにしろここへ来るまではバディですらなかったんですものね
いまになってそもそも愛し合ってるのか?なんてどうなのよ、と思いつつクライマックスにつれてカイの方は間違いなく三四郎に傾いているのに(でもなかなか認めないんだよね)
最初に始まったときにまさかカイの方から三四郎に縋る日が来るとは思わなかった。
少なくともそうなる前に三四郎が堕ちると思ったけど、その辺はヤキモキしてラストまで期待!