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作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
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このシリーズは「リストランテ・パラディーソ」の外伝で、
今巻の時系列は本編後にあたります。
本編での主人公、クラウディオに恋するニコレッタが
久々に登場し華やかになりました。
素直で努力家の彼女は、見習いシェフとして
すっかり店に馴染んでいる様子。
そして、クラウディオは相変わらず曖昧な態度のまま
優しいときます。
2人にこれっぽちも進展がないので、同僚たちからは非難ごうごう。
たじたじになってるクラウディオがまたかわいいのですよ。
そして、今までほとんど語られることのなかった
レストランのオーナー、ロレンツォと
異父兄弟ジジのエピソードが入ります。
ジジはいい歳した食いしん坊、もぐほっぺがキュートなソムリエです。
まかないでは、上等なワインを惜しげもなく開け、
更には食べすぎでいつも怒られる天然キャラ。
無口で表情の変化には乏しいのですが、
誰よりも皆を見ていて気配りのある紳士です。
お互いの父親が兄弟であるという特異な境遇で、
ジジとロレンツォが初め会ったのも大人になってからでした。
親同士の確執は解けぬまま、それでも息子で兄弟である彼らが
長くお互いを大切にし合ってきたのは
今も一緒に居ることが何よりの証拠です。
ジジは家族の絆に対して、今も後悔と孤独を抱えていますが、
レストランの皆を近しく想い、自分の帰る場所としていることに
家族にも近い確かな絆を感じるのです。
人々が集うレストランは、さながらロレンツォの小さな家のよう。
彼の大らかで懐の深い人柄に惹かれて集まった人たちが、
また大切な誰かを引き寄せます。
ゆるやかに広がる人の輪と流れていく時間を飾りなく描いた
素敵な物語でした。
厳密に言えば、これはBL作品の範疇には入らないのかもしれません。
でも私のレーダーは何かをキャッチしています。もうBLとかそういうカテゴリーの話じゃなくて、人生とか人間としての魅力とか生き方を考えさせられてしまう、でもいつも幸せな気持になれてしまう、そんな物語です。「珠玉」という言葉は、この作品にこそ使いたい。
<簡単なあらすじ>
イタリア、ローマにある小さなレストラン「カゼッタ・デッロルソ」はいつも多くの女性客で賑わっている。美味しい料理と老紳士達のサービスを楽しむために・・・オーナー婦人の「紳士趣味」により、給仕はすべて老眼鏡を必要とする年齢の紳士達が務め、シェフやソムリエも殆どが初老の男達。繊細で優しいクラウディオ、小言は多いけどクールなルチアーノ、気さくで明るいヴィート、初老なのに少年のようなジジ、ワイルド系で老眼になったばかり・男盛りのテオ、超一流料理人で愛妻家のフリオ、そしてオーナーのロレンツォ。そこに個性あふれる客達や従業員の家族達が関わって、さらに「カゼッタ・デッロルソ」の日常の物語を魅力的に紡いで行く・・・
実は、このレビューを書くにあたり、前作「リストランテ・パラディーゾ」とその外伝であるこの「GENTE」シリーズを読み返してみたら、「萌え」にするつもりだったのが「神」になってしまいました。いい映画を観た後のような静かな感動!私はこの世界に住みたい!!この物語の人物達は、別に絵に描いたような善人ばかりというのじゃないです。人間臭さがあって、けれども誰もが魅力的。作者の人を見る視線の暖かさが感じられる気がします。歳を取るのが楽しみになる・・・。舞台設定がイタリアのレストランというのも成功要因の一つかもしれません。イタリアやフランスに共通する独特の匂いがこの作品にはあって、それが人間ドラマをドロドロしたものではなく、どこか乾いたものにさせていると思います。まぁ、物語全体の感想はこんな感じとして。
まさか初老のキャラクターにこんなにドキドキするとは思いませんでした!!ちょっとショタ傾向のある私は、執事萌えなんて全くしないし、眼鏡萌えもありません。敬語は萌えるどころか萎え要素なのに・・・物腰柔らかなカメリエーレ長、クラウディオに心を奪われてしまった!実は、前作「リストランテ・パラディーゾ」の方で、彼が、娘程の女の子に押し倒されるシーンがあって・・・眼鏡なのに、顔にシワもあるのに、何故そんなに色っぽいんだー?!とゴクリと喉を鳴らしてしまいました。不思議と彼には何かソソられるものがある・・・私もついに、オジサンを通り越して初老受けに開眼かもしれません。初老の紳士に興味を覚えた方には、一度お手に取ってみて戴き、是非私の同士になって戴きたい!あ、でもHはおろか、キスシーンさえもありませんので、それで良ければ・・・