揺れながらもそこにある
恋と色欲と理想の三すくみと言うのは
創作の中だから上手く成立している
部分があって、現実では中々そう上手くは
行かないと拝察します。
殊に同性間に於いては。
自分と同じ部分があるが故に相手と
自分の境をどこで設定したら良いのか
判らない、そう言うもどかしさが多分
あるのでしょう。
そう言う中でこの掌編集は淡々と心の揺れと
その戸惑いを綴り続けています。
この中に居るのは愛する愛される権利を
声高に主張する人々ではありません。
ただ恋とそのバランスに揺れ惑っている
心が幾つか。