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表題作シリーズ(「10年越しのほんとはね」から
「ふたりに一番大切なこと」まで、番外編として
「この気持ちは秘密」)は無理強いの肉体関係から
始まりました。
これは、ボーイズラブと言う言葉と雰囲気が今よりも
未発達だった頃、まだやおいと言われていた頃には
割に良くあった展開です。
ここから♂同士の関係が始まりますよ、と言う合図の
様なものです。
そう言う場面転換を久し振りに目にした様な気がします。
表題作を含めこの一冊に納められているのは良い意味で
ホーイズラブ以前にあった作品の空気を再現した物語
ではないかと愚考します。
恐らくは絵柄もそう思わせるのに作用しているのでしょうね。
この絵柄は作品の初出媒体が携帯電話配信マガジンで
あったという影響もあって定まったものなのでしょうけど。
家族のように思っていた10年ぶりに再会した幼馴染に強姦される受け。
いきなり、ありえる展開とはいえ、かなり強引、保体の授業で支給されたコンドームを
そのまま有効活用しちゃうなんて!
なんというか、突然だけど、妙なリアル感があります。
何も考える間もなく、押し倒されてしまう受けには同情を禁じえません、うぅぅぅ。
しかし、このあとはBLの王道を行くストーリーに軌道が徐々にあっていきます。
ところかまわず、キス、セックスをする二人に、おまえらサルかぁとつっこみも入れたくなるラブラブぶるには、なんだか妬けてきます。
さっきも書きましたが、牧本さんの書く、高校生二人は、別に深刻な作風でもないですが、何か身に迫ってくるというか、高校生独特の舞いあがった気持ちがうまく伝わってきました。
荒削りなところがまだありますが、そこがかえってプラスに作用したと思いますよ。
トーンとかエッチ度とか色々迷ったので、読む人によって全然違った評価になるような気がしますが一応こうしときました。
お話は、再会もので、昔のお隣さんが引越してきて10年ぶりにまたお隣同士になるところから始まります。主人公たちは高校生でそれはもう爽やかです。
でも……、これは帯にもあるのでネタバレには当たらないと思うので書きますが、
幼馴染同士の高校生二人、途中までは普通に再会を懐かしみながら勉強してたのに、
突然、まじで突然、攻めが受けに襲いかかるんです!
私はこの展開がショックでした……。
その後二人は恋人になりますが、いつまでも私の心にはモヤッとしたものが残りました。
でも、嫌いではないですね。
むしろ、あ~ボーイズラブ読んだぁって感じがして好きなんですけど、
見てはいけないものを見てしまったような、そんな感覚がありました。
同時収録は、
「10年越しのほんとはね」
「それを言えたら」
「君を見てるよ」
「キケンな夏休み」
「ふたりに一番大切なこと」
以上5つが繋がった話で、
次にくる「この気持ちは秘密」は関連作。
あとは別のストーリーです。
好き嫌いはわかれそうだけど、結構ボリュームもあってお得感ありました。
葡萄瓜
>スリーパーホールドさん
そうですね。特に最近のボーイズラブには合意の上の
関係開始が多いので余計にこの展開に生々しさを感じるの
かも知れません。
容易に真似できそうで勢いがないと真似し難い作風ですけどね。
スリーパーホールド
葡萄瓜さんのレビューで、なんとなくこの作品の立ち位置というのがわかったような気がしました。
ちょっと展開がラフというか、今風なスマートさがないのはそういうわけなんですね!
だからかえって生生しくみえたんでしょうか。
こういう解説が入ると、後日談的な感じで楽しめますね。