乱菊
稲荷家房之介のハガレン・ヒューロイ本にゃんこver.再録集。
05/12/29発行の「ひみつきち通信秋冬号」に05/12/29発行のコピー本「つきのうた」と06/01/08発行のペーパー「ひみつきち通信4」をあわせて収録したものとなる。
全てペーパーだったものなので鉛筆描きのラフなものばかりだが、巧い方が描くとそれすらも味があって見惚れてしまう。
「百日の薔薇」の肉球編もそうだけども、稲荷家さんのにゃんこ擬人化はもう公式のようなもので、どちらかと言えばこちらの方が好きなんじゃあないのかな・・・と思ってしまうほどのプリティぶり(*´Д`*)
内容は「ヒューロイ3分間(2分とか4分になったりも)クッキング」と、シリアスな「つきのうた」の2部構成となり、トーンは全く違うものの、どちらも甲乙つけがたい出来映え。
可愛くて、笑えて、ちょっとエロくて、切なくて、あたたかい。
クッキング編は「小魚サンドのつくりかた」がお気に入りで、にゃんこ2匹が氷上をきれいに滑ってゆくシーンで吹いた(笑)
二次らしく肉球編よりは自由度の高い世界観なので、ところどころに見られる俗物的な表現がイイ!
さすがに肉球編でも歩く時に『にんにきにきにき』は無しだろうと思うので、そういった部分も含めて稲荷家さんのギャグセンスにはクスリとさせられる。
また後半の「つきのうた」も雰囲気はガラリと変わるものの、秀逸な作品。
設定とキャラクターを借りた二次作品であるとは言え、このレベルまで来ると、半分オリジナル的な要素も帯びてくると言うか、その中に作者の持つテーマがきちんと含まれているので、逆に本家よりも深みが出てくる場合もあるなあと。
もちろんそれでいて本家からも乖離し過ぎることもないので、読んでいても安心できる。
そしてそんなシリアストーンなお話の中でもヒューズにゃんこが「にゃすにゃすにゃす・・・」と寝息を立てるのには、可愛らしすぎてニヤけてしまう。
原作を知らなくても楽しめるかとは思うが、熟知している方ならばその巧さに唸るであろう1冊。
「百日の薔薇」と酷使していると思われがちだが、関係性も含めて実は結構違う部分も多い(もちろん多大に影響は受けただろうけども)。
それを考えながら読み比べするのも、非常に楽しい。