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6作収録の短編集。
全て『肉体派』という筋肉系アンソロジー誌の、その時々のテーマ・お題に沿った作品となっております。
「日曜日はストレンジャー」
お題は「制服・ユニフォーム」。
戦隊モノのスーツアクターさんのアレコレで、プラス横恋慕モノ。
モテモテなのは一度はアクターさんを引退したオヤジ。年下男2人がオジさんを獲りあうお話。
「Papa Don't Preach」
お題は「格差・ギャップ」。
この「格差」っていうテーマでこの展開?と驚愕の……………ガチ父子!
のけぞっちゃいました。私はガチ肉親は苦手で、特に父子はヤバイと思っていますが、本作は余りにもビックリ展開で笑っちゃった。
「measure」
お題は「性感帯」。
そしてアノ「bespoke」シリーズの1作となっております。主人公は、仕立屋の田中。
彼のテーラーにちょっとお下品な格闘家が、どうしてもスーツを作ってくれとやってくる。余りにもうるさいのでちょっとイタズラしてやったら、とっても感度の良い格闘家君。鬼畜田中にかかればイチコロ……。
「午後3時のエレベーター」
お題は「チカン」。
子供の時は可愛くて、男からよく痴漢されていた北島(ホテル勤務)。
せっかく目覚めたのに、今はガタイが良くなりすぎてそんな機会もありません。
ところが、株主総会で混み混みのエレベーター内で、エレベーターボーイをしている自分の尻をエロく触ってくる手が…!
相手は総会屋のコワいオヤジ。2人はこれからどうなる⁈
「experience」
表題作。
お題は「ゴウカン」。
内容は、「午後3時のエレベーター」の続編で、総会屋の金丸と北島はまだ続いていた、という話。
休憩中に金丸の取った客室でHしていた北島。金丸に問われるままに学生時代友人に強姦された過去を話しだす。
「時の過ぎゆくままに」
お題は「制服」。
内容は、お題と微妙にリンクしつつも意外と切な・いい話。
「制服」からこの話。普通思いつかない。上手いなあと唸る。
大学生と付き合っている大学の准教授。うまくいっているのにある日高校の同級生が大学にやってきて…。
腐れ縁の業を感じますねえ。深い。
各話ごとに作者様の解説・コメントがあってそれもとっても面白いんです。作者様の人の良さが伝わってきますね。
全体的に主題を無難にこなしましたよと言う感じで、
今一つ切れが鈍い感じを否めません。
それも道理で後書きを視ると収録作を描いた期間が
どうも作者さんにとって厄年に当たっていたらしく…
筆のノリが悪いとはこういう事なのか、としみじみ感じ
ました。
それでも恥らうおっさんを描く手腕が一切落ちて
いないのは流石でございますが。
ガチムチのオッサン系はそれ程積極的に読まないんですが、松崎氏のは長年読んでますなぁ。今回の作品も全体的に年齢層が高くて(オッサンなんだから当たり前ですが)落ち着いた感じが漂っております。
表題作は「午後3時のエレベーター」の過去編になります。エレベーターの方は「痴漢」がテーマ、表題作は「ゴウカン」がテーマなので、それなりに後ろめたい感じがありますが、主人公の北島(受)がそもそもそういった性癖なので、犯罪感はあまり感じません。
私の好みとしては、「measure」の優男の仕立て屋が、ノンケでガチムチのボクサーを手玉にとって攻めちゃうという楽しいお話が、なかなか良かったです。
スーツアクター、息子×父、三角関係などのお話もあり、全て“濃密な肉体遊戯”です。