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不破慎理先生の初期作品が収録された短編集です。
4つの短編プラス、内1編の番外編で構成されています。
「恋愛証明ーProof of Loveー」
日本の自動車メーカーの提携先・アメリカ企業側の経営担当者のクリスと、彼の専属通訳の小笠原敦史のCP。
敦史は以前アメリカ人の彼に浮気された過去があって…。クリスとの関係にも影が差し、という展開です。ちょっと陰気?な敦史の恋は切ない系ですが、クリスの包容力でやっと敦史も幸せになれそう。
「Kiss & Cry」
注目株の新人俳優x彼をスカウトしたマネージャーのCP。
売れるための枷になってしまう、とマネージャーは身を引こうとするが…の鉄板展開。年下のイケメン俳優くんが頑張りますよ。
「極上のキス」
百貨店外商マンx大企業総務リーマン。
この2人、実は高校2年の夏、熱く抱き合った仲だった…!偶然外商とクライアントとして再会し…という物語。
感情を顔に出さない菅埜(すがの)に、今も昔も心をかき乱される宇多嘉(うたか)。高校時代の別れとずっと続いていた誤解も解けて無事ハッピーエンディング。
高校時代の菅埜は超絶美少年です。
「エスケープ」
本書の中で、この作品だけ少し毛色が違う。
舞台は高校(男子校)で、生徒会長x新任教師(ゲイ)のCP。
教師の小山内は生徒とどうにかなる気は全くないのに、クールメガネの高2・生徒会長松山は欲望を視線に絡めて距離を縮めてくる…
結局絡め取られて、さあこれからは秘密の関係に。ダークな読後感です。
「Without You」
医学部のあと院に進み、未だ経済的に自立できない医師・黒石寒河(そうご)。
2才年上の高校教師・桐島日生(ひなせ)と7年間同居中で、待たせているという引け目を強く感じて何も責めない日生とついケンカしてしまい…
優しい日生が歩み寄ってくれて寒河も落ち着く、という展開です。
「Kiss & Cry番外編 100万回のキス」
マネージャー・大塚との関係を知っている社長に啖呵を切った彼方(かなた)。仕事に邁進し遂に新人俳優賞を受賞する。大塚、良かったね。
短編だから仕方ないのかもしれないけれど、どの話ももう少し長ければ…という印象。
短いので背景付けというのが少し足りないのかサッとハピエンになってしまうし、本当はもっと色々あるでしょ、という気持ちになってしまう。
絵柄はきれいで、描き分けのバリエーションもありとても良いです。
表題作が男前な外国人×健気な日本人という好き設定だったため購読。
けれどなんていうか、一昔前のBLという雰囲気で何となく作り物っぽさが拭えなかったです。
お互い男同士でもだからこそのいい所があるものですが、これは女の人なら分かるんだけど男同士で会っていきなりこんな事になるのか…という違和感を読み手に与えてしまう感じがしました。攻めであるクリスの会っていきなりの誘い文句もちょっと今時…というような古い感じが…。
それでもすっごく昔の作品、というわけではないんですよねぇ…。
エスケープという生徒×先生の短編が、ストーリー性は深くないんですが、鬼畜年下攻めがなかなか好みでした。
短編集です。表題作以外に、芸能界や再会物、生徒×教師などがありバラエティーに富んでいます。
しかし、殆どの作品において受けが弱い!これなら女の子に置き換えてもいいんじゃない?っていう感じ。
思慮深いとか、優しいとか、グルグル悩むとかそういった関係の受けがお好きな方にはお勧めかと思いますが、私のようにどこかに“漢”を感じたい者としましては、物足りなさが・・・
そういえば、攻めもどちらかといえば優しい人ばっかり出てきます。
カップルとして出来上がっているお話なので、どこかにスパイスが欲しかった。
全部で5組のカップルのお話が収録されています。
う~ん、今まで読んだ不破さんの作品でもそうだったのですが、受け様が私にはちょっと乙女すぎる傾向があるんですよねぇ…(汗)。
泣いているシーンも多いですし、似たようなプロットもありました。
歯が浮くような台詞を言う優しい攻め様、乙女チックな受け様お話が好きな方なら大丈夫かもしれません。
私も多少受け様が乙女でも男らしさが見られれば大丈夫なのですが、それが見られず残念。
それが不破さんらしさかもしれないのですが…。
この単行本に収録されているお話はどれも萌を感じるまではいかなかったので、評価は中立です。