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愛を乞う男たちの物語
Illuminations
爱照亮了爱
新装版が2018年8月に発表されています。今から読む方はそちらをどうぞ。
本作は2008年発表。
ヤマシタ作品らしく(?)、BLと非BLの狭間のような空気感、恋愛の当事者ではない脇の人物からの視点、また当て馬・ライバルの立ち位置ではない女の子。
冒頭の表題作は、痛々しい片道通行の想いが行き交う。
愛されたい、ではなく、愛する人をください、という祈りのような。
次の「ラブとかいうらしい」でもノンケの友達に片想いしてる子が出てきます。表題作の隆氏も、この子も、恋愛よりも友情が大事なんだね。友情の方が続くから。それはデビュー作の「神の名は夜」でも繰り返されます。
オリジナリティを感じるのは、何と言っても「あの人のこと」。
ある男の死によって、周辺の証言から少しづつその男の辿ってきた日々、気持ちが浮かび上がる…
エロはごくごく薄い、もっと感情の繊細さを感じられる作品集で、なんか純文学系の短編小説を読んだような気分になります。
あ、ヤマシタ女子も1人いますよ。イキのいい子で、読んでて気持ちいい。
自己啓発度★5 おちゃめ度★3 BL度★1 心の闇と光度★5
男:女=8:2 光:影=8:2
ちょっとだけ悩みを抱える人達が、ちょっとだけ成長する短編集。神推ししたい気持ちでいっぱいですが、表紙の隆氏が「BLではない。たまたま主人公が男だっただけだ」という表情なので萌×2にとどめました。
その表紙の隆氏が暗いせいで作品も暗いかと思われがちですが、影を見せて光を感じさせるような明るさと救いがあります。ヤマシタキャラ的な表現をするなら、文学的な分かりにくい表現で曖昧さを残した心情が、複雑な形のすき間に染み込んで心が悦ぶ感覚。です。
◆幹田隆氏29歳公務員
幼馴染の小矢に寄せる想いを長年隠していたが、居酒屋で出会った洲戸に抱かれ、隠せなくなり。「心も体も誰ともつながりたくない。神様おれをひとりにしてください」この台詞に世界が大号泣しますが、次の瞬間にはみんな普通に生きていくという話。
◆洲戸清寿24歳バーテンダー
要領良く生きているようで一番要領が悪い洲戸。「世界はおれを置いて進む。世界が俺を拒む」この台詞に世界に激震が走りますが、やっぱり何事もなく進んでいくという話。
◆小矢直巳29歳八百屋家事手伝い
趣味合コンのアホな男。突然現れた洲戸の存在に焦り、幹田との心地良い関係が壊れたことにダダをこねるアホな男。「神様。もしも世界にふたりきりなら」…アホな男。
◆ラブとかいうらしい
大事にしたい気持ちがある。おもしろいとか悲しいとかじゃない、大事な気持ち。
◆ばらといばらとばらばらのばらん
2つの片想い。いじめ。どうしたら良いか分からない気持ちをどうにかしたい気持ち。
◆あの人のこと
大人になって途切れていたものが突然繋がる話。強くないけれど確かにある糸。
◆神の名は夜
唯一BL全開な話。台詞は極道なのにやってることはラブラブというとても萌える話。
◆「イルミナシオン」「ばら」「神の名は夜」の後日談。
それぞれの光の面をチラ見せ。純粋に明るく幸せな気持ちになれる後日談。
ヤマシタさん好きです
好きなのですが、好きになれない作品も多い
でも、かならず買う
この作品も発売してすぐ購入したものの好きになれずに
手離しましたが、何年後に又購入するという
ことを引っ越しの度に繰り返した記憶があります
表題の作品はわりと好きです
部屋の中に入らずに
マンション通路面に向いている
小窓から話しかける習慣のアングルとか
ごちゃごちゃありながらも、これからも続けていく
関係であるだろうことも
すっきりしない終わり方だってある
これが好きです
そんな簡単に皆がくっつくわけないですから
表題の作品だけだったら萌え×2です
他の作品が全く受け入れられませんでした
苦手な作品とはなりましたが
ヤマシタさんの作品らしいといえば作品らしいのかもしれません
突飛ないっちゃっているほうではなく
重くて暗い、終わりがない
それも、一面です
ヤマシタトモコさんの作品は全部読んでいないけれど、
自分が読んだ作品のほとんどに、作品が中途半端に終わっている印象を感じました。
内容が中途半端という意味ではなく、作品の内容がこれからも続いていきそうな場面で終了してしまっているように感じるという意味です。
続きがありそうな終わり方と言うのかな。それとも、どこが終わりか分からない場面で終わっているのか。とにかくそんな印象です。この作品も同じことを感じました。
かといってヤマシタトモコさんの作品は、内容を途中でやめて読者にその後を丸投げするタイプとも違う。何かしら作品の中で言いたいことは描かれた上で、途中で終わっているというか。
表題作もまさにそれでした。登場人物の三人の想いがそれぞれに決着を見せず、三人の関係はこの先どうなるのだろうという所で終わっているけれど、決して中途半端というわけではないのです。
高度なテクニックだとは思うけれど、完結しない作品には勢いがそのまま残るという効果を狙っているならすごいと思います。たいがいこういうやり方すると読者はちゃんと最後まで描いて欲しいと思って不満が残ることが多いですし。
でも何かしら読者に効果を与える終わりかたをしていると思います。
「…おっとよく分からんな。あと何回か読もう」と、ヤマシタトモコさんファンの私は時折こういう感覚に陥ります。
ヤマシタトモコさんの世界観に入れず、縁に立たされている感じで読み終わってしまうのです。
こちらの作品も例外ではありませんでしたので、あぁ読もうと思いついては手を付けて読んでいました。
やっぱり、昔の画風が好きだ。
発表年を見ると、デビュー作(と思われる)の【神の名は夜】が2005年と一番古い。
コマ割りも今よりゴチャゴチャしているし(「少女漫画ではなく青年漫画の感覚で描いていた」と本人談)、褒められるような美は一切感じないのだけれど、ヤクザという設定も手伝ってか暗い雰囲気が漂っているのが何とも好きなのです。
表題作の他、【ラブとかいうらしい】【ばらといばらとばらばらのばらん】【あの人のこと】【神の名は夜】。
描き下ろしとして、【separation?】【きみはばらよりうつくしい。】【NOBODY BUT GOLD KNOWS】。
その中でもダントツで好きな作品を1つ。
――【神の名は夜】【NOBODY BUT GOLD KNOWS】――
実質、作者のデビュー作らしい。
何でしょうか、この後ろ暗い雰囲気。決して世の中の日なたには住んでいないような表情。
何も信じて居ないような、でも1つだけは信じたいような、諦めたような希望を信じる表情。
ヤクザ、中学からの同級生。
組織の中でも幹部候補でエリートヤクザのミカと、フラッと自由に現れたり消えたりして組織の邪魔者扱い・須賀のお話。
須賀が居ないとうまく眠る事も出来ないミカは、上司から須賀と切れた方がお前の為だと言う話をされる。
会えばいつも体を重ね、「これで最後だ」「次はない」と繰り返し須賀に伝えてきた。
けれど、何事もなく自分の元へと戻ってくる須賀に、ミカは結局強く出る事が出来ない。
抱かれた次の日、いつものように行方をくらませ――と進んでいきます。
いやー、本当にいいですね。
ヤマシタトモコさんは割と詩的だと言われたり、何を言いたいのか分からないと言うお声を聞いたりしますけれど、この作品は違います。
ミカの弱さ、須賀のダメっぷりとミカへの思い、ヤクザという組織から足を洗う為の出来事等々、ヤマシタ作品の中ではとっても分かり易い描かれ方をしていると思います。
安らかな眠りを連れてくる。それが須賀でありミカであるという、なくてはならない存在の二人。
「二度と来るな」は「ずっと傍にいてくれ」と同義語。そういう二人。
素直さで言うと須賀の方がそうで、ミカへの思いもしっかり言葉に出すんだけれど、それを真っ向から受け止めず、それでも自分の中の須賀への思いが膨らむ事に苦しんでいるのがミカでした。
自分の小指1つで二人とも足を洗えるなら――と、潔い姿を見せてくれた須賀。
本当に彼はミカに捨てられたくないんだろうな、と思うのと同時に、ミカはヤクザを辞めたかったのかな、という思いも生まれました。
というより、須賀が辞めさせたかったのかな。好きな人を危険な目に遭わせたくないとか。
最初から最後まで「暗く他を寄せ付けない薄幸感」満載のお話。
なのにあのあとがき!
やっぱりあぁいうオチ、好きですねぇヤマシタさんはさすが(笑)
そして「須賀は素直な男なのだなぁ」と改めて実感しました♪
自分の事を「淫乱」とか「M」とか看護師さんに話されているのも目の当りにしたら、そりゃ生真面目ミカも、THE・お見舞い品を廊下に置いて帰りますよ(笑)
アクの強さは、上記作品がダントツでした。
今より好きです。
ヤマシタさんらしいお話ですー
詩的なモノローグが光っててきゅんとします。
終わりたくないから始めない。
だってずっと一緒にいたいから。
すきだと思った。けど。
きみを失うことは手にすることより怖い。
3人の思いの交差が、見どころ?です。好みあるかもですが。是非。
表題作は3話で3人それぞれの視点でかかれてて、
なんだかいろいろ考えさせられてしまった。
州戸の気持がなんだかとてもせつなかった。後日談があってよかったです。
<ラブとかいうらしい>
ヤマシタトモコさんはこういう場面変化もないただの会話が雰囲気出てて、面白いと思う。寒そうな二人がかわいかったw
<ばらといばらと~>
この後日談は笑えましたwwそんなキャラだったの彼!?w
女の子のツッコミも最もだと思うw
いやがらせしてた方の彼の気持ちもちょっとあったら…と思ってしまった
が少女マンガ的な文体では全く訪れない、作品ばかりの作品集。
ヤマシタさんって、後書きでご自身がチラッと書いているように、作品が少女マンガの文体じゃなかったりする。
大抵のBLマンガは「最終的に恋愛の成就を目指す」少女マンガの文体でお話が展開されるわけだけれど、この本の中では、だれ一人、何一つとして、少女マンガ的な恋愛の成就は訪れない。
「誰かが誰かを恋している」のだけは確かだけれど、描かれているのは「恋の苦しさ」だ。
作品内では「この恋が成就される事はあるのだろうか?」という点しか描かれず、その関係の結末は、全く何も、示唆もされないまま。
少女マンガとしてはあるまじき不親切さだ。
でも、こんな作品を許容する世界は、やはりBLならではなんだろうし、
この少女マンガの文体をはずしている所が、ヤマシタさんの魅力であり、わかりづらさでもあり、人気の所以なんだろうなと思う。
公務員の幹田隆氏(ゲイかも)
幼なじみの小矢直巳(ノンケ)
バーテンダー州戸清寿(ゲイ)
幹田隆氏は小矢直巳を想っててゲイかもしれないって悩んでるところ
州戸清寿にナンパされて抱かれてしまう。
誰が主人公で、誰がお相手で、誰が当て馬でっていうキャラ分けで
物語がすすまないんですよ。
三者三様で世界は回っているというか・・・
そうやって、誰かが笑ったり泣いたりの繰り返しで世界はつくられてきたという
一文があるのだけども・・・
初恋が成就して幸せになる人もいたり
何度も何度も失恋する人もいたり
その違いは何なんだろう?
「イルミナシオン」は
世界中の小さな恋のひとつひとつが“灯り”という意味なのだろうか?
今もなお、誰かの恋が
チカチカと灯ったり消えたりしてるんだ・・・
幹田隆氏も小矢直巳も州戸清寿あと何回繰り返したら
幸せになれるのだろう・・・なんだか泣けた。むちゃくちゃ泣けた。
でもさ、灯ったり消えたりするから美しいのかもね。せつねーっ。
【ラブとかいうらしい】
ベランダでゲイがノンケの友達に
ビクビクと自分の片思いを話して泣いちゃうの。
恋をすることは、悲しいことじゃないんだけど
うまく言えなくてみんな泣いちゃうんだ><
【ばらといばらとばらばらのばらん】
BLなのに女子が主人公なんだよ。
中久さんは、恋をしてるの。
そして恋敵は十亀っていう男子なんだよ。
同じ男子が好きなんだよ。
中久さんも十亀も、ただ見つめているだけなの・・・
でも先に勇気を出して告白したのは十亀
んでも十亀の恋は“ホモ”だから拒絶される
中久さんは、どんな気持ちだったんだろう?
恋敵に先を越された思いとか、恋敵が拒絶される様を自分に重ねてみたり
ただ見ていただけの自分より十亀のほうが、かっこよく見えたんじゃないだろうか?
見ているだけの恋じゃ胸張れないんだぞっ!
駆け出して手を差し伸べた中久さんがめちゃくちゃ男前で
ラスト1ページで、ズキュン!何かが突き刺さったよ。
【あの人のこと】
あの人というのは七辺洋平と、七辺洋平に関わった5人の男女のこと。
男女5人の目線でオムニバスで語られる七辺洋平のこと。
全部すげぇ些細な出来事じゃない?
リストに名前を書かれた5人がいいか
リストに5人も名前を書ける七辺洋平がいいか
どっちが幸せなのかそんなんわかんないけど
誰かにとって一生わすれられない出来事、一生忘れられない人間でいれるだろうか?
【神の名は夜】
これ、オヤジ×オヤジ893モノ。
不眠症の三ヶ島ことミカは
狂犬・須賀に抱かれないとよく眠れないの。
眠りをもたらす須賀が神なのかっていうより
ミカが須賀にとって“カミ”なんじゃないかと思ったよ。
BLのような違うような…
ヤマシタトモコさんらしい作品だと思いました。
あえて結末を出さない、友人止まり、みたいな感じが考えさせられて好きです
なかでも、
ばらといばらとばらばらのばらん
好きです
題名も好きなのですが、十亀がかっこいいのと、(ライバルの)女の子目線で書いている作品で、新鮮さが良い
あの人のこともBLらしくないが、話としてすごく好きっ
神の名は夜は、この中でもっともBLらしい作品でなお、素晴い設定で話っ
書き下ろしも全部良いっ