snowblack
「西洋骨董洋菓子店」同人誌その12。
つきあっていると言っても、
どうもあんなことやあんなことwばかりしているらしい二人に
それではいかん!とお節介を焼く橘。
彼のお勧めに従って小野と千影は一緒に食事に出かけるが……
小野にとって恥ずかしいことが、千影にとっては恥ずかしくない。
その感覚の描き方が、個人的にはすごく分かる。
でも、そこを越えてまぁいいや、と一緒にいることを選びたくなる
千影という存在。
そして、誰の目もない家の中、
小野は千影に朝食のフレンチトーストの作り方を教える。
根気強く丁寧に丁寧に。
余談だが、このフレンチトースト作りにレシピが登場しているあたり、
のちのよしなが氏の作品「きのう何食べた?」を彷彿とさせる。
あ!なーるほど、オレンジジュースを入れるっていいなぁ!と参考になりましたw
さて、それはともかくとして。
そんなほのぼのとしたエピソードの底に流れているのは、
やはりやり場のない切ない小野の心。
いつもとても鋭い(実は)エイジの、
「先生って、今まで誰かを本気で好きになった事ってがあんのかな」という問い。
「さあな」とそっけなく答える橘。
彼は、震えて泣き出しそうだった本気で人を好きになった小野の顔を知ってる。
そして自分が傷つけた小野が、その後どんな風に生きてきたかも。
時間は巻き戻せず、人生はやり直せない。
迷って、もがいて、そして理想とは違う現実を受け入れていく。
それはある種の諦めなのかもしれないけれど、
でも生きて行く幸せや希望って、そういうことかもしれない、と
少しずつ小野にも分かってきているのかもしれない。
そして、かくも平穏な日々が訪れる。
先生と自分だけの秘密、を喜ぶエイジの可愛さ、を最後に付け足したい。
「七夕の夜」の次の日のお話。
昨晩かなり恥ずかしい場面をエイジに見られてしまった小野は、店に向かう足取りもやや重い。
しかしあっけらかんと小野との2人だけの秘密に喜ぶエイジに、小野はやや拍子抜けしてしまう。
やはり前半はほのぼの・・・前半は。
一方、橘は千影が小野と外で食事すらした事がないことを知り、怒り心頭の面持ちでご出勤。
小野と千影は結局、橘の見繕ったお店で夕食をとる羽目になるのだが・・・橘よ、キミは世話焼きばあさんかい(;´∀`)
そしてそんな2人を見ながら、小野が千影を本当に好きなのかと疑問を抱くエイジはさすがだ、鋭すぎる。
その温度差は人前で顕著に現れるもので、好きを隠さない千影に小野はだんだん逃げ場を失っているような、そんな感じもしたりして。
今回の濡れ場はオマケ的な印象はなかった。
だからか翌朝のエピソードへの入り方も自然だった。
フレンチトーストの作り方を優しく千影に教える小野が、なんとも言えず柔らかくイイ感じ。
しかし店に入れば、橘に対しては言えない気持ちを抱えつつ接する小野。
本当を飲み込みながら笑う小野が、またいつか崩れてしまわないだろうか・・・と、またもやしんみりしてしまったお話だった。
ちなみにこの本の小野がビジュアル的には一番好きだ。
何故ならあまりゲイゲイしくないから(笑)
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