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これは…ハッピーエンドなのかアンハッピーエンドなのか、分からない。結末を見れば、ハッピーエンドなんだろうと思う。
でも、あまりにも切なくて切なくて、鬱になって、読み終えたあと自殺したくなった。
なぜ会えないのか。水城せとなさんは、なぜ二人を再会させてあげなかったのだろう。
でも、そういう安易な結末を用意しなかったことで、この物語がより美しくなったのは間違いないと思う。
同じ音大に通う高畑極と井澤円慈。
何でもそつなく器用にこなせるので、自分を特別な人間だと思っていたかりそめの天才極。
彼はずっと自分の影を演じてきた円慈に本物の才能を見せつけられ、打ちのめされます。
才能のある相手への嫉妬。好きなのに傷つけあうような関係。
光と影の逆転劇がドラマティックに描かれていて、最後に泣かせます。
二人の恋と葛藤を側でずっと見てきた女性キャラるりも素敵で、好きです。
『わたしがつなぐから 二人のことをちゃんとつないでいるから』と、
泣きながら言った彼女の言葉が、切なくて泣けました。
ラブラブハッピーエンドなお話ではありませんが、納得できるラストだと思います。
二巻まとめての感想です。
初めて読んで読んだ時の衝撃と言ったら…!あまりの展開にショックを受けてそれから数ヶ月。
レビューのために再読したけど、やっぱり痛いとしか言いようがないです。
「あいつの心の中で一番に深い傷になるしかないでしょう」という井澤。
自分の子を宿したルリに対して「あれ(井澤)より大切に思うものなんて もう二度とないと思う」と告げながらの高畑のプロポーズ。
もうコレには鬱になりそうでした。生まれてくる子供よりも井澤の方が存在が遥かに大きいのかと。子供絡みはほんと凹む。
この誰も幸せになっていない最後ときたら読んでてとにかく凹みます。
この作品を読んだ後では、同じ水城さんの「遡上の鯉は二度跳ねる」の最後は激甘に感じるし、私の中ではこれまた衝撃だった「スリィピングビューティ」の最後すら甘美そのものに感じます。
答姐の「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」で教えていただいたのが、こちらの作品です。
「俺の心なんてもうカケラしか残っていないんだ」という井澤のくだりが突き刺さりました。
教えてくださりどうもありがとうございました。