邪神の踊り子は熱砂に舞う

yokoshimakaminoodorikohanessanimau

邪神の踊り子は熱砂に舞う
  • 電子単行本
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
2
得点
20
評価数
4
平均
5 / 5
神率
100%
著者
あかつき雨垂 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
みよしあやと 
媒体
小説
出版社
MUGENUP
レーベル
エクレアノベルス
電子発売日
ISBN

あらすじ

自然の化身である精霊の力を借りて人々を魅了する踊り子・エルヴァンは、その見事な舞でオリマール帝国皇帝の御前で踊る名誉を手に入れる。
だがその直後、乗っていた船が海賊に襲われてしまう。
難を逃れ、用心棒のアスランとともに砂漠の端に流れ着いたが、エルヴァンにはどうしても皇帝の前で舞わなければならない理由があった。
王都へ向かうため、色仕掛けでアスランを手玉に取ろうとするが、彼は少しも靡かず、挙げ句に揶揄ってくる始末。
それなのに、そっけないながらも砂漠の旅路で面倒をみてくれるアスランに、エルヴァンは心をかき乱され……。

金で雇われた用心棒と一族の復讐を誓う踊り子の、魔法と異国情緒あふれるオリエンタル・ラブロマンス!

レビュー投稿数2

復讐の旅が愛の旅へとカタチを変えていく壮大な冒険愛をご賞味あれ

はーー……時が経つのも忘れて読み入りました。

あかつき雨垂先生の作品を読むといつもこうなる(笑)
極力邪魔もされずに一気に読み切ってしまいたいのですが、ボリュームがそこそこにあるので必ず何かしら邪魔が入るのが難点ですね。結局ぶつ切り読みになっちゃいましたが、それでもやっぱり面白かったです!
ありきたりのストーリーではないワクワク感はこの作品の推しポイント。魔法が絡み合うファンタジックなシーン描写や冒険のスケール感も非常に素晴らしかったです。

用心棒アスランと踊り子エルヴァン(エル)とのアラビアン風ラブロマンスは、煌びやかで幻想的、そして蠱惑的かつ魅惑の世界でした。
王都を目指す2人ですが、砂漠を越えて進む旅路ということもあり、煌びやかさというよりは砂まみれ垢まみれといった方がしっくりくるでしょうか(笑)
身綺麗にしたいエルと動きやすさ重視のアスランとの間でやーやー言い合いながらの道中は、何だかんだありながらも楽しそうで、そんな時間を過ごしながら恋心を芽生えさせていく恋愛模様から目が離せませんでした。

エルを後宮に送り届けるための使命感から付き従うアスランと、一族の復讐のために皇帝に直接会うことを願うエル。
後宮に向かう目的が違う2人が、不思議な縁と不思議な絆でどんどん距離を縮めていく様は嬉しい側面もあり、切ない側面もあったりで、複雑な心境で2人の恋心を見届けなきゃいけない状態がやるせなかったです。

過去に多くの者に身体を開け渡し、彼らから多くのモノを奪ってきたエルですが、街中でならず者たちに襲われてすぐにヤらせようとしたときもそうなんだけど、あまり貞操観念がないビッチ系のキャラクターなのかしらと思っていました。
最初は、すぐに身体を使ってアスランに色仕掛けをしようとするエルのことが好きじゃなかったんですが、でもそれもホント最初だけ。彼が身体を使うのは目的のための手段であり、そうしなきゃならない理由の大きさを知ると、彼の背負うものはあまりにも大きく残酷だなと。エルのアスランへの恋心を思うと復讐の重責はあまりにも無慈悲でした。

身体を差し出すことはエルにとって大したことではないんですよ、悲しいことに…。エルはそうすることで復讐の道を切り開いてきたと言っても過言ではなく、彼の復讐心は、自身の身体を武器にしてまでも復讐遂行を果たすことだけに照準を当てています。
こうしてずっと生きてきたエルに変化を与えたのはアスランで、彼に出会い恋をしたことで揺らぐ復讐心とのせめぎ合いが辛くて見ちゃいられなかったです。

一族の仇討ちか、アスランとの未来か…
どちらも大事でどちらも捨てたくないなか、エルはどの道を選択するのか。
皇帝への復讐は、この国を変えようとする勢力の思惑とも結びつき、クライマックスはなんともしがたい混沌とした状況で、ハラハラドキドキの感情をずっと手放せずにいて困りました。


最初から最後まで飽きさせないストーリーと、ボリューミーな読み応えがすごい作品でした。
復讐の旅が、いつしか愛の旅へとカタチを変えていくアスランとエルの壮大な愛をぜひご堪能下さい^ ^

1

復讐心に燃える踊り子が掴んだものは…傷を負った者同士、オリエント情緒溢れる相互救済ファンタジー

電子(Kindle)で377ページ、大ボリュームの1冊ですが、
期待に十二分に応えてくれる内容、読み応え!
文字どおり時間を忘れ、夜を徹して読み耽りました。

度々出てくるトルコ語のワード、振られたルビ、景色や衣装の描写が
オリエンタルな情緒を醸し出してくれていて、世界観に引き込まれます。

みよしあやと先生による美麗な表紙・イラストも作品の雰囲気にぴったり!
テンションをぐいぐいっと爆上げしてくれます⤴︎

金で雇われた無骨な用心棒×復讐に燃える勝ち気な踊り子。
神や精霊、魔法の力の出てくるファンタジー世界でのお話です。
(以下ネタバレありますので未読の方、ご注意下さい)


主人公は精霊の力を借りて舞い、人々を魅了する踊り子・17歳のエルヴァン(エル・受)。
(※彼のフルネームである”エルヴァン・バイラム”という名前は、
トルコ語で「色とりどりの」「祝福」という意味だそう。素敵です)

彼にはどうしても帝国皇帝の前で踊らなければならないー
という事情・使命感がありるのですが、
自身の見事な舞によって皇帝の御前で踊る名誉を手に入れかけます。

しかしその時、乗っていた船が海賊に襲われ、
用心棒・アスラン(攻)と共に海へと投げ出されてしまいー

と続きます。


まず、攻め受け双方の抱える大きな傷、「喪失」のやり切れなさに胸打たれる…!

実はエルは、邪神を信仰する”毒使い”の邪悪な一族として
皇帝に討伐されたレヴィ族唯一の生き残りなのです。

母が命を張って逃がしてくれたことで助かった命。
なぜ自分だけが助かったのか、自分も一緒に死にたかったー
無念の死を迎えた母や一族の皆のため、復讐心に燃えている。

一方の攻め・アスランもまた、たださすらいの用心棒というわけではなく…

海へ放り出され、共に王都を目指し旅する中で
二人の交流が徐々に深まり、アスランの負った”傷”についても
明らかにされていきます。

仲間を犠牲にし、ひとり生き残ってしまったー
という共通する後悔と罪悪感とを抱えた二人が惹かれ合い、
相互に救済されゆく様、見える光にグッときます。

二人のキャラややり取りもまた、とても魅力的で。
勝ち気なエルのことを「生意気な黒猫(カラ・ケディ)」と呼ぶアスラン。
その呼び名が終盤、抱き合いながらの中で変化するのですが、
ここにとんでもない萌えを感じて震えました。

「俺の黒猫(カラ・ケディム)」
「俺の美しい人(ギュゼリム)、俺の黒髪の人(カラム)…」

トルコ語の響きが完璧に美しくて、ときめく...

共に弱さも傷も抱えながら、固い信念と精神的な強さがある。
意地っ張りなエルを揶揄いながらも、エルを見つめる視線、言葉に
優しさが滲み出るアスランにエルがどんどん心惹かれてゆくのも大納得です。

ただただ復讐心に燃えていたエルが、アスランへの想いと、
幻想だと思いつつ夢見る”自由”への狭間で心揺れ動くー
そんな描写が心に迫ってきて、切なさに胸が締め付けられました。

迷いの中、いよいよ辿り着いた王都の地。
そこで二人を待ち受けていたのはー

と続く大ピンチと、”えっまさか!”の二人の人物との再会。
この展開は想像していなかった…!とびっくり、大興奮でした。

7、8年ぶり?の再会となった”あの人”がどう生き延びたのか、
ということについては特に説明がなく、
そこのところもうちょっと詳しくー!という気持ちもちょっとあるのですが;

そう来たか!という驚きの再会と、もう一人の人物から明かされる
”(皇帝の御前に出るのは)エルでないといけない理由”に
はー…そういうことだったのか!とアドレナリンどくどく、
夜中でしたが意識覚醒で興奮しきりでした。

使命感に囚われ、心も体も傷だらけになった二人が行き着き、
掴み取った未来に歓喜・:*+

情熱的に愛を囁くアスランと、「もっと言って」と素直に甘えるエルとの
睦み合いにも、心蕩けました。

エルの舞や神の怒り、荒れる海など臨場感ある描写にも
ページをめくりながらワクワク、読後しばらく経った今も興奮冷めやりません。

この週末、またじっくりと読み返し世界観に浸りたい…
と心から思う、贅沢な読書時間でした。
最高に心たぎる素敵な物語を、ありがとうございます。

その名の通り、エルに色とりどりの祝福あれ…!✨

1

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