氷帝は炎の翼に愛を知る

hyoutei ha honoo no tubasa ni ai wo shiru

氷帝は炎の翼に愛を知る
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×21
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
4
得点
30
評価数
8
平均
3.9 / 5
神率
50%
著者
中原一也 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
石田惠美 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
価格
ISBN
9784576250939

あらすじ

暴君の帝の前で踊ることを拒否した燁怜は後宮に留め置かれてしまう。以来、帝は燁怜のところにばかり通って!?

表題作氷帝は炎の翼に愛を知る

賑国の皇帝
芸能集団「南の朱雀」の人気芸人、19歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数4

麗しの不死鳥を手に入れるために

今回は新皇帝と人気芸人のお話です。

新皇帝となった攻様の召還で芸を披露した受様が
後宮か壊れて政権争いに巻き込まれる顛末を収録。

半年前、先帝が崩御します。

正妃腹の第4皇子が皇太子でしたが
1年前に皇帝暗殺の咎で廃位されていた為
新帝即位はかなり揉めながらも
第5皇子の攻様が新皇帝となります。

この国では隣国との戦が続き
民の様々な不満回避のために娯楽に対して寛容で
賭け事や芸事が盛んですが

東西南北の地方都市に座を構え
四神を模した呼び名をもつ4つの芸能集団が
人気を博しています。

受様は「南の朱雀」と評され
不死鳥の再生譚を演じる南遊山の人気芸人で
不死鳥を演じています。

新帝は実権を握っていた宰相の口出しを許さず
様々な改革を初め、その一環として
娯楽に関しても見直すと4つの芸能集団は
宮廷に呼びだされます。

冷酷な暴君と噂される皇帝の呼び出しに
一座は論密な準備と稽古を重ねて皇宮に赴きます。

皇帝の目の前で披露とはいえ
舞台からは随分と距離が場所に現れた攻様は
漂わせる存在感と独特の雰囲気をもつ美丈夫でした。

受様は全ての力を不死鳥の演舞に注ぎ込み
その場にいる全ての者達を魅了していきますが

その結果賜った言葉は
「今後一切宮廷を出る事は許さん、陳のために演じろ」
というもので!?

兄の死で皇帝位に就いた攻様と旅芸人である受様の
中華風宮廷を舞台とした恋物語になります♪

攻様は一座の全ての演目を見せろと迫り
3日後には別の演目を命じますが
十全な準備もできずに次の舞台を演じるなど
無謀すぎます。

しかも一座は
宮廷内の限られた場所での生活を余儀なくされ
受様が再びまみえた攻様を睨み上げながら
死すら覚悟して「踊りません」と宣言します。

そんな受様に攻様は
皇帝の前で踊らぬ者を大衆の前でも躍らせないと
受様を後宮に囲ってしまうのです Σ( ̄。 ̄ノ)ノ

人々を魅力する不死鳥を演じたいと願う受様にとって
攻様の言葉は嫌がらせ以外の何物でもありません。

そもそも至高の存在である攻様が
本来なら目にかける存在ですらないはずの受様に
興味を持つ理由が全く見えないので

踊る事を禁じて後宮に閉じ込めた攻様の
悪すぎる印象がどう変えていくのかなと思っていたら

物語が進んでいく中で攻視点となり
兄皇子のみ溺愛した攻様母との過去と
受様に向ける真摯な想い
正妃の父とし政権を狙う太尉の画策が見えてきて

緻密な世界設計が巧みな伏線となっていて
ドキドキ&ワクワクです♪

健気には見えませんが(笑)
皇帝として生きようとする攻様に
攻様を慕う正妃がまさかの行動をした事で
攻様が先帝毒殺疑惑をかけられハラハラMAX!!

受様が攻様とともに生きる道を掴み取るまで
とても楽しく読ませて頂きました (^-^)/

1

朱雀

先生買い。カプの片方が火の鳥のように踊る方で、その描写は凄かったのですが、攻め受けにあまりシンクロしなかったので、萌にしました。個人的に一番印象に残ったのは、攻めの妃かも。本編250P弱+あとがき。

4つある人気の芸能集団のうちの一つ、「朱雀」が皇帝に呼ばれ踊りを披露したのですが、気に入られたのか、そのまま解放してもらえず、人気躍り手の燁怜は後宮にとどめられることになり・・・と続います。

攻め受け以外の登場人物は
攻め母、攻め側近、攻めの妃、悪党、朱雀のメンバーぐらい。私は攻めの妃に一番シンクロした気がする。

++攻め受けについて

攻めは皇帝。兄がいたんだけど、兄はとある理由により自死し、皇帝の座が転がり込んできてます。攻め母は兄を皇帝にするのに一生懸命で、攻めを顧みることはなかったため、人らしい愛情をあまり理解していないタイプ。めちゃんこ強いとか、腹黒政治家とかいう描写はあまり感じられず、不器用そうやなあという印象。

受けは踊り手。踊る演目で火を使い、鳥のように舞うので大人気。その描写を読んでいると、ベジャールのボレロを脳内に思い出しました。乗り移られ系とでも言えばよいのか。すごい踊り手だけど、裏表を使い分けられず、こっちもあまり策を講じないタイプ。

そんな二人がじりじりっと気持ちを通わせ合うお話でした。お名前は漢字2文字で中華系ですが、読んでいてそんなにしんどくなかったです。先生の筆力かなあ。キャラがちゃんとたっているからかな。

攻め受けにはあんまり萌えなかったんですけど、顧みられない攻めの妃が一番ぐっときました。そう、妃を顧みないんで、攻めが腹立たしかったんですよね。BLだし、受け以外に手を出すのはNGっていう人もいるとは思うのですが、私は政略結婚する時にちゃんと最初に宣言しておいた方が良かったと思うけど?!と怒ってしまった一冊でした。そんな攻めほったらかして、とっととええ男みつけなはれ、妃さん!

2

これまでの皇帝像とは違う面白さを知って欲しい

即位の背景に隠された陰謀。
権力の裏側に蔓延る欲深い謀略。
報われぬ想いが嫉妬と憎悪の感情に転化していく後宮事情。
手段のために利用される愛情なき親と子の関わり。

暗い背景に、きな臭い展開がずっしりと響くエモーショナルな世界観でした。
切なさや悲しさ、罪着せに暗殺…などなど、皇宮を取り巻くシリアスな重苦しさが物語のベースになっているのも、中華系のバッググラウンドとよく合っています。
皇宮が舞台となっているだけあって、政治情勢やら複雑な人間関係やらが濃厚に描かれており、敵か味方か…?みたいな探り合いに始まり、燁怜と蒼龍を含む男女の三角関係や、蒼龍と母親の親子確執からも目が離せない。つまり、全方位に全集中を強いられるストーリーとなっています。

新皇帝に代替わりしたことによる不安定な治世の中、一人の踊り手の存在が国を大きく動かしていく壮大なストーリーと、不器用な皇帝の恋心がやがて愛する者への執着や独占欲へと昇華していく愛情のうねりにグッときた逸品作でした。
ストーリーが激しく上下していくこともあり、全シーン、全ページが見せ場のようなものだと言って良いでしょう。
事件ターンのハラハラ感と、BLターンのドキドキ感は別のベクトルで存在しているのに、2つが混ざり合ってより物語が右肩上がりに盛り上がりを見せていくところは読み応え抜群でした。

皇帝と踊り手という圧倒的身分差のある2人の対立的な出会いから、惹かれ合いを経て、次第に想いを通わせ合っていく激動のストーリー展開は、BLとしての萌えどころが満載です!
孤高の皇帝・蒼龍が発する陰りのあるオーラと、人気の踊り手・燁怜の快活な性格の相性感も非常によろしくて、真逆だからこそ高まり合っていく恋心の存在感にしっとりと酔いしれました。
蒼龍は何を考えてるか分かりにくいクール皇帝だけど、頭より行動で身体が反応するのか、蒼龍が燁怜に対してどういった感情を抱いているのかモロ分かりなのが良いですね。執着攻めには違いないですが、皇帝の攻めキャラにはよくある"ザ・エンペラー!"みたいな威風堂々な雰囲気とはまた違うタイプの攻め像は、彼の魅力だと思います。

真意を明らかにしないまま燁怜を囲い込み執着するムッツリなところは、蒼龍の燁怜への本気度が伝わりますし、正妃が一応いるにも関わらず、燁怜にゾッコンな一途さは不穏な皇宮背景においてのオアシスでした。
身分差がある2人が共にいるために蒼龍がした決断はかなりの驚きです。受け側が攻め側の立場に合わせるのが主流な中(特例で正妃にするとか)、まさかの逆とは。意外性にもほどがある…((((;゚Д゚)))))))

冷たい蒼龍の感情を溶かすのは、燃え盛るような情熱的な燁怜の舞に他なりません。
蒼龍の生き生きとした姿には色んな憑き物が落ちたようなサッパリとした感情が乗っていて、とても素晴らしいエンディングでした。
愛を知り、愛に向き合い、愛に応えていく皇帝の生き方に感動を覚えた胸アツの物語でした。

3

恋に無自覚、不器用な攻めが愛おしい...「翼」を求める二人の、中華×身分差ファンタジー

中原先生の新刊は、皇帝×踊り子の中華×身分差ファンタジー!
不器用な攻めと勝気受けとの交流・近づく距離に胸高鳴らせ、
渦巻く宮廷内の陰謀にドキドキハラハラしながら...の一気読みでした。

先生の、ちょっと抑えた硬質な文章がとても好きです。
シリアスに展開する物語の雰囲気にもとてもよく合っており、
躍動感溢れる踊りの描写も印象的でした(動きが目の前に見えるよう...すごい...)。

そしてまず、石田惠美先生による表紙、燃える炎の中の二人が美しすぎて・:*+.
長髪×長髪の美形同士、炎をイメージさせる化粧を施した
燁怜(ようれん・受け)の流し目...ただただ、麗しいです。


賑国(しんこく)で絶大な人気を誇る芸能集団・通称「南の朱雀」の
人気芸人(踊り子)である燁怜(ようれん)。

先帝崩御後、新皇帝となった蒼龍(そうりゅう)の
「娯楽を見直す」という方針により、宮中に呼び出され、舞を披露します。

自分の舞に強く手応えを感じる燁怜。
これで帰れるーとホッとしたのも束の間、
自由を制限された中で準備をし、自分のために全ての演目を踊れとの命令を受け
これを拒否、その結果後宮へ囚われることとなってしまいー

と続きます。


”先帝殺し”との噂もあり、最初のシーンで”いかにも”な暴君ぶりを見せていた蒼龍。
そんな彼が、内にあんなに純粋で一途で、情熱的な想いを秘めていたなんて...!!
ここが、個人的な「大!!・イチオシポイント」です。

燁怜は気付いていないけれど、実は初対面ではなかった二人。
舞う燁怜にほぼほぼ”一目惚れ”、連日彼を見に通い詰め、
想いを募らせていく蒼龍の様子が熱を持って描かれているのです。

”攻めの一途な片想い”大好きな自分はもう、萌え悶え。

「娯楽を見直す」というのも単なる名目、
恋心を抑えきれずに(しかも自分では無自覚なのがまた、激しく良い...)
宮廷へ呼び寄せ、後宮へ留め置いてしまう。

不器用すぎ・強引すぎなやり方も、カラクリを知れば
ただただ愛おしい・いじらしいと感じるばかりでした。


で!
そんな蒼龍の心の内など知らず、突然自由を奪われた燁怜は
当然帝に反発し、怒りとストレスを滾らせることに。

そんな二人の距離が少しずつ近づき、心が繋がっていく様子が
また、最高にときめきます。

夜、舞の練習をする燁怜のことをこっそり物陰から見つめる蒼龍。(萌え)
初めて知った”花火”の仕組みに興味津々の燁怜のため、
その作り方と仕組みを学びんで燁怜に伝えたり、
今夜こそ正妻のもとを夜伽に訪れようと思いながらも
なぜか毎回燁怜のところへ足を向けてしまい、途方に暮れる蒼龍。(萌え!)

とにかく、恋をしていることに無自覚な一途皇帝・蒼龍が
健気で可愛らしすぎて、「くううっ!!」と萌えツボを刺激されまくりでした。

こんな、不器用だけれど誠実・一途な様子を間近に見せられたら、
強気で勝ち気な燁怜だって絆されてゆくというもの...

現代で言うなら、怖そうなヤンキーが子猫をそっと拾い、
めためたに優しく接していたー
という場面を見た時のような「ギャップ萌え」でしょうか。
なんか違うような...でも、そんな感じのような...!

毒見後の冷めた料理しか口にしてこなかった蒼龍が、
燁怜と一緒にこっそり焼き芋を頬張るシーンが好きです。
(その後うっかり口を滑らせた燁怜が圭俊(蒼龍の側仕えの宦官)に
叱られるまで、がワンセット)

そんな二人の”身分差恋”、障害は大きく、波乱の予感...!と思っていたらやはり。
その後大きな事件が続きます。

足に怪我を負い、踊り子としての羽をもがれた燁怜を見て
自分を責める蒼龍の姿が、痛々しかった。。( ; ; )
燁怜には気付かれぬよう、眠っている間にこっそり彼のもとを
訪れたり、差し入れをする姿もいじらしくて。

愛しい人を守るために離れる決意をした蒼龍、
為す術なく受け入れる燁怜ですが、そこに更なる大事件がー

で。
この後のラストへ続く展開、ちょっと好みが分かれるところなのでは...と
思っています。

後半は、囚われた蒼龍を燁怜が芸人仲間と共に華麗に救い出す展開が
メイン。
シリアスでハラハラして、見応えたっぷりのシーンの連続です。
前半部分に出てきた花火が、ここでこう絡んでくるのかー!という興奮も。

...そんな中、ちょっと思ったより割とスムーズに、いろんな物事が進むな?と
若干の引っ掛かりを感じるところもありました;
(でも全く目の離せないスリル感があるし、間違いなく面白い)

思いがけずあっさり・すんなりと仲間たちが
燁怜の求めに応じて蒼龍を助けに向かってくれたり、
二人の最大の障害である”身分差”という問題が
(個人的に)びっくりするような方向性にまとまっていったり。

自分を嵌めた人物まで「自分のせいで不幸にした」と救いに駆けつける
蒼龍はどこまでも”誠”を貫いていてカッコ良いのですが、
”先帝殺し&逃亡”の罪で追われる身となっている元・帝が
そんな簡単に(いや、決して簡単とは言えないのですが;)
忍び込めるものかな?とも思ったり。

二人の身分差恋の結末、蒼龍の選択も、
「いやいやいや!そんな生活が蒼龍にできる!?」と思わないでもないけれど。
(皆に傅かれ、世話を焼かれ、恐れられる存在だった高貴な人が
愛する者と共にいるとはいえ、質素な生活ができるかな...?と)

なんやかんやと言いつつも!

身分差恋の過程とその成就に、最高にときめく。
不器用でどこか天然な蒼龍のキャラも最高◎
負けん気が強く、行動力ある燁怜の活躍にも心躍る・:*+
勝ち気な燁怜が翻弄され蕩ける、甘くて甘い濡れ場シーンも
心震えます。

不死鳥として舞う燁怜に憧れ、恋と愛を知り、
運命に抗い「翼」を得る物語。
ページをめくる手の止まらない、最高にたぎる”攻め救済”中華ファンタジーでした✨

中華×身分差、長髪同士、勝ち気受け、攻めの片想い...

こんなワードに萌えセンサーが反応する方、
ぜひぜひ!(*´◒`*)

4

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