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ergo
木原作品において、性格の悪いお医者さんといえば「裸ん坊3部作」の谷脇、若宮コンビが最もメジャーでしょうか。あの2人は倫理観のぶっ壊れ方が医師としてやばいレベルでしたが、この「12hours」に登場する小木はそういう踏み外し方ではない。でも上司だろうが患者だろうが容赦ない毒舌でぶったぎる、向かうところ敵なしのイヤな奴です。
「12hours」は、ergo vol.1~5に連載された総合病院が舞台の短編集で、医療関係者、患者らが織りなす重層的なお話。vol.1で登場した医師同士カプの攻め阿佐多は、若手では群を抜いて優秀、私生活でも年上の京谷をいいように翻弄する切れ者ですが、小木にかかるとまるで小僧扱い。その小木に、何の因果か見込まれてしまった研修医高瀬が、vol.4では主役です。
高瀬は世渡り上手で人生なめてかかってる、これまたちょっとヤな奴。軽い気持ちで診た患者に、とんでもない重病が潜んでいたことで、大ピンチに陥ります。フルニエ壊疽。性器が腐るというBL的には破滅的な奇病。(こんな病気を発掘してくるところがまた木原さん)。初見で診断は難しいが病態はすさまじく、一刻も早く処置しなければ毒素が全身に回って死に至る。
ひと目で病名を見抜き、たちまち迎え撃つ態勢を整える小木。あいにく患者は男が売りのヤクザで、男性機能を喪うことに激しく抵抗する。ここでの小木の殺し文句にやられました。強面の患者を一発で黙らせ、研修医や看護師ならずとも「この人についていけば間違いない」と思わせる格好よさ。その強烈な自負は、医師としての確かな実力に裏打ちされたもの。今ではやや入手困難かもしれませんが、是非とも本編で味わって頂きたいです。(術後のシャワー室でのよもやの襲い受けも併せて)