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maihime ha akatsuki ni ougon no ai wo tsumugu
つい先日、尾上与一先生の別作品を読んだばかりの身としては、作風の振り幅の広さに驚いているところです。
あちらは第二次世界大戦中の時代背景でどっちかというと現代歴史もの。こちらはガッツリファンタジーもので、時代も場所も設定も世界観も何から何まで真逆でした。
しかしながら、物語の端々に映る緻密で詳細な描写と、次第に惹かれ合っていく想いの所在、スッキリとした着地点はやはり共通するところがありますね。そこに聞き心地の良い作者さんの文章が加わって、実に見応えのある婚姻譚となっています。
本作品は、世界史的にいうところのペルシャ系の王国と、黄金の国と呼ばれたジパングのイメージを基にした日本の秘境の里をミックスしたような世界観で、豪奢的かつ幻想的な描きが美しいなと思いました。
この物語は、舞姫に恋した王子と伝説の舞姫が、国や故郷のしがらみを乗り越えていかに婚姻にこぎつけるかの結婚大作戦なストーリーです^ ^
妃となるか、妻となるか。大国に嫁ぐか、里の嫁になるか……両者が共に男なために生まれてしまった勘違いから、婚姻の危機が訪れてしまうことを主軸に物語が動いていきます。
婚姻が成立するに当たっての里の掟や、父親である王の裁可といったものが、何とまぁ面倒くてですね(笑)、あっちを立てれば、こっちが立たぬ…こっちを立てればあっちが立たぬと、結婚の話が一向に帰着しません。
一応どちらもファミリーも結婚にはOKなのに、どちらの籍に入るかで大モメです。しかもこの2人、元々は偽装の恋人同士で好き合ってたわけでもなんでもなく、ラジャンがレネリアにうっかりキスしちゃったことからこんな大騒動へと発展してるんですよね。
キスしたら番になるというレネリアの里のルール。じゃあ結婚しましょう、とはなったとしても、レネリアが里にラジャンを迎えたところで、ラジャンの父親である王がそれを許さない。じゃあ、王子の妃になるかといっても、よそに嫁ぐのは里的にNGで里を追放されるとのこと。追放されるならラジャンに嫁げば良いじゃんって感じですが、真面目なレネリアはそうしたくないんだって……。
こんな結婚騒動見たことないってくらい、や…厄介だ…(・・;)
さてさて。この結婚は成就するか否か。
ラジャンが里に嫁ぐか、レネリアが妃となるか…それとも第3案があるのかないのか?
2人の意思をちゃんと反映した納得のいくカタチの結婚がどんなものか非常に気になるところですが、フッフッフ……( ̄▽ ̄)この収め方は想像すらしてなかったので、素晴らしいラストに歓喜の嵐でした。
その功労者である両者のお兄ちゃんズがめちゃくちゃ良い存在感。さすがは国と里のトップにいるだけあって、合理的かつ実利的で、また兄弟愛を重んじた和解策がすんばらしかったです。
体液が金になる特殊な民族性のファンタジック要素はパンチがあり、非常に面白かったですし、敵国を欺くために皆で一致団結するシーンも読み応え抜群でした。
ラストを迎えたとて、この先もずっと幸せが続いていくであろう余韻を感じるストーリー性には未来への期待と希望が溢れていて、満足感や多幸感をたっぷりと味わえる読後感が最高でした^ ^
尾上与一先生、つい先日1945シリーズの新刊を拝読したばかりなのに、
日を置かず新刊が読めるなんて、嬉しい限りです☺︎
もちゃろ先生の挿絵、表紙がそれはもう美しくて見惚れてしまう...(*´∀`*)
受け・レネの顔の文様や服装、装飾品、攻め・ラジャンの髪飾りなど、
本文から想像した要素がそのまま見事に再現されていて、
感嘆のため息が。
と同時に、読み始める前は「受け君が女の子にしか見えないなあ…」
なんて思っていたのですが、その謎も本編を読んでスッキリ。
あえて、の女装姿だったのですね…!
こちらの新刊、胸熱のオリエンタルファンタジーです。
中盤一部、攻めの行動で不可解だった点があり、
ちょっと最後までその部分は引き摺ってしまったのですが;
でも、それでも、予想もつかない展開にドキドキハラハラし、
耽美な世界観に酔いしれた一冊でした◎
陽気でやんちゃ、けれど実はどこまでも誠実一途な王国第二王子・ラジャン×
隠された里出身、金を生み出す能力を持つ一族の舞姫・レネというカプ。
両視点で進む物語です。
正妻を娶るよう国王に迫られたラジャンは、
偶然街に来ていた踊り子・レネに一目惚れ。
一時的に恋人のふりをして欲しいとレネに頼み、レネは交換条件をつけて承諾します。
そして二人一緒にいざ国王のもとへ赴くのですが、国王は激怒。
そんな国王の前で、「伴侶はこの者しかありえない」とラジャンが
レネに口づけたことから、思わぬ事態へと発展しー!?
と始まります。
この、ラジャンとしては全く悪気のなかった口づけ。
レネにとっては辛い決断を迫られる結果になります。
唇を奪われたことで、禁忌を犯した身となってしまったレネ。
唇を交わした相手と番えなければ”穢れた者”として
里を追われ、二度と舞うこともできなくなってしまう...
ならば!と”番”となり、結婚しようと決意し二人揃って里へ赴いたところで、
さらにさらに衝撃のすれ違いが!!
なんと、互いに相手は自らの里/国へ輿入れしてきてくれるものだと
思い込んでいたー
一国の王子と、他に狙われる危う苦魅力的な能力を持つ、里の舞姫。
”恋に落ちるべきではなかった二人”の決断はいかに!?
という部分が、恋愛面での最大の見どころでしょうか。
恋をして里を出た者のことを、「故郷を捨てるほどの愛とは
いかほどのものか」、それほどの思いを持てるとは羨ましい、と
語っていたレネ。
そんな彼が次第にラジャンに惹かれていき、
里には戻れない身となったことで苦しみながらも、
愛を知れた喜びを噛み締める。
覚悟を決めたレネの心の強さに強く惹かれ、グッときました。
一方の攻めのラジャンも、レネへ真摯に愛を乞う姿が、
萌えツボを刺激してくれます。
民衆の姿で飲み屋へ行ってやんや、やんやと騒いだりしてる
陽気なちゃらんぽらん男前兄ちゃん(すみません)かと思いきや!!
レネを求める気持ちの強さ、その愛の深さにレネと共に私も陥落。。
(長髪攻め大好きなので、甘くなっている自覚はアリ(。-∀-;))
自分のキスが禁忌破りの行いだったと知り、
まさに”平謝り”しながら「おまえさえ嫌じゃなかったら、本当に結婚してくれ」
「一目惚れは本当で、結婚できるなら願ったり叶ったりだ」と訴える姿に
きゅんとドキドキが止まらず…でした//
そうしていつしか互いに想い合うようになった二人ですが、
・里に帰る途中でレネを急襲してきた集団の正体と、その目的は!?
・もう前のように里に戻って暮らすことはできなくなり、大切な帰属場所を
失ってしまうレネの運命は!?二人の選択は!?
そして、ついに隠されたその場所が暴かれてしまい、
攻撃を受けた里と、レネの兄たち&仲間達の運命はー?
と、後半にかけて怒涛の展開が。
ラブ要素そっちのけで、里は一体どうなっちゃうの?裏切り者は誰なの?と
気になって気になって、ページをめくる手が止まりませんでした。
で!
ラジャンの考えた起死回生の作戦というのが、もう自分の思ってもみなかった内容で
「そんな手があったの!?」と読んで興奮しきりでした。
二人の旅路の途中に出て来たエピソード、その物語要素が
この終盤でこう生きてくるのか!とビックリ。
里を守り、誰の目からも隠し続けると同時に、
自分たち二人が共に生きていける道。
やーーーもうこれ、単純脳の自分には思いつかない方法で、
なるほど!やられた!と膝を打ちたい気分でした。
で、もうこの終盤は個人的に200点!!という感じなのですが、
一点だけ、どーーーしてもモヤってしまったところがあって...
集団に襲われた際、そこに落ちていた指輪を拾ったことで
襲撃者の正体を薄々察したであろうラジャン。
まさかそんな…と信じられない/信じたくない気持ちがきっと
あっただろうとはいえ、どうしてその時、
レネに注意喚起したり情報共有したりしなかったの。。?
もしこの時レネにもきちんと話しておけば、あとを尾けられて
里が襲われるーという事態も避けられただろうに。。
と思ってしまって;
(里が襲われた後、ラジャン自身も謝罪してはいるのですが、
遅すぎるタイミングでした;)
聡いラジャンなだけに、この時はなぜ判断を誤ってしまったのだろう?と
もやもやっとした思いが残りました;
とはいえ!
急襲された際に自ら先陣を切って戦うレネの強さとカッコ良さ、
そしてどうにも解けそうにない…と思われた、絡まり拗れまくった
恋の行方、その結末。
二人の魅力的なキャラクターの動きと、怒涛の展開から一瞬たりとも
目が離せず、興奮のままに一気に読み切ってしまう270Pでした。
手のひらから金を生み出し、その汗や血が金に変わるー
という設定もなんとも幻想的でロマンチックで、
危険な香りを醸し出していて。
ラジャンとレネの濡れ場はラストに1回…と少なめですが
そこに辿り着くまでの過程があまりにも過酷で濃厚で、
満足感はMAXです。
読み応えのある、骨太なオリエンタル・ファンタジーの世界を
堪能しました・:*+.