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nemureru taishi ha enka koutei ni sennen aisareru
釘宮つかさ先生の新刊。読みながら泣いて、泣いて、泣いて…
読後の今も、心は物語の世界に入ったまま。作品の余韻がいつまでも消えません。
★5つじゃ足りない、と思うぐらい没入し、心が震える物語でした。
師弟関係、別離と再会、15年に渡る一途な攻めの想い…
そして美麗な長髪の攻め受け!!!と、刺さって刺さってしかたない要素設定ばかり。
一番印象的だったのは、先述した15年という長きに渡る
攻めの想いの長さ…だけでなく、その愛の重さ、質量でした。
とある事情により9年間も眠った状態になっていた受け・天莉(てんり)のために、
星辰(せいしん・攻め)が文字どおり、自らの体を痛めて成してきたことの数々。
ただただ、頭の下がる思いです。
物語は中華風ファンタジー。
とあることから師弟関係になった二人(受けが師匠)ですが別離が訪れ、
再会してからは「守り、守られ」関係が逆転、
攻めの9歳の頃からの一途な愛が実を結ぶー
ざっくりと、そんなお話です。
主人公は、不思議な力を持つ者が生まれる天陵国の太子・天莉(受け)。
その姉を伴侶にーと望んだのが隣国・焔伽国なのですが、
病弱な姉の体は隣国への旅にはとても耐えられず、求めに応えることはできないー
と、その謝罪のため覚悟を決めて焔伽国を訪れます。
しかし焔伽国の皇太子は激高し、天莉に今すぐ命か身体を差し出せと迫ってきます。そこへ「この人を、僕にください!!」と飛び出し守ろうとしたのは、
まだ幼い第三皇子・星辰(攻め)。
星辰のおかげで天莉は命や身体を差し出さずに済み、
星辰の師匠として共に過ごすように。
命を狙われる星辰を守り、また自分の身を守る術を教えていきます。
そして3年の月日が流れ、いよいよ15歳の星辰の成人の儀直前、となった時に
皇帝が第一皇子に殺され、その犯人として仕立て上げられた星辰と天莉は
共に逃亡しようとするのですがー
と続きます。
心震えるポイントは多々あるのですが、
二人の出会いの場面から、もう、胸熱です。
母を暗殺され、兄やその家臣たちから
肉体的にも精神的にも虐げられている星辰が、今まさに傷付けられようとしている
天莉を震えながら守ろうとする。( ; ; )
そして自分の身を守る術を天莉に厳しく教えられ、
泣き言ひとつ言うことなく必死に食らいつく星辰。
のちに星辰が「どんなに修行が辛くとも、あなたと共にいられることが幸せでした」
と語るシーンが、また泣けてしまって。
皇帝殺害事件による別離と、9年の時を経ての再会、
その間に起こっていた大陸全土を巻き込む大きな争いの様子が、
星辰の口から語られる形で丁寧に綴られています。
で、何が一番泣けてしまったかって、目覚めた天莉が1ヶ月後、
自分の祖国が滅亡し、父も姉も既に亡くなっていたことを知るシーンです。
祖国に帰ること、父や姉との再会を夢見て懸命に元の体力を取り戻そうと
努力していた天莉ですが、夢打ち砕かれて…
呆然と立ちすくむ天莉の描写に、涙が止まらなくなってしまった、、
そして更に泣けてしまう&胸震えるのが、そんな天莉を想い支える星辰の姿です。
「独りになってしまった」と滂沱の涙を流す天莉をそっと抱きしめながら、
「私がいます」と告げる星辰。
これ、ずっとずっと幼い頃から孤独だったのは、実は星辰の方なんですよね。
母を殺され、兄たちにも疎まれ裏切られ、天莉が来るまで、
味方と呼べる人は周囲に誰もいなくて。
そんな星辰が、初恋相手であり自分を導いてくれた天莉のために
ついた優しい嘘。
実は兄・藍祐の手から天莉の祖国を守るために力を尽くし、
派兵しようとしていたこと。
そして天莉を守る力を得るために、四肢を釘で打たれながら行われる
修行に耐え、”丹力”と呼ばれる膨大な力を身につけたこと。
その丹力を、眠り続ける天莉に朝も晩もと与え続け、
ひたすら天莉が目を覚ますのを待っていたということー
もう、もう、これ以上ないほどの献身と愛です。
星辰の両肩と両脚に残る傷跡に、涙。。
一度は「そこまでしてもらうほどのことを、私はしていない」と
怯む天莉ですが…
長く、どこまでも深い深い星辰の愛、彼が成し遂げてきたことを知ったら、
もう、心は逃れられないよね、と。
こんな相手、愛さずにはいられない。。
で!
目覚めたら、祖国が滅亡していたー
という絶望を抱えながらも、星辰の伴侶となって生きていく…
ということなのか、、と思っていたら、また最後に驚きの展開がありました。
祖国は滅び、”独りきり”になってしまったと思われた天莉のもとに
現れたのは…!
その一筋の希望の存在に、また胸が締め付けられ、熱くなって。
読みながら何度も切なさに胸が張り裂けそうになりましたが、
どこまでも一途で一途で一途な!攻めの愛、
そして最後の最後に現れた”家族”という希望に、夜明けの光を見ることができました。
忘れてはいけないのは、切なくシリアスな展開の中に
ほのぼのとした瞬間を与えてくれる琳琳(リンリン)!救われたよー…!
表紙でケモミミを生やし、ニコニコしている子です。
幼い頃の星辰の首元にくるん!と巻きつくところ、
目覚めた天莉にせっせと食事を運び、くるくる変わる愛らしい表情を見せてくれるところ。
「小さくて可愛いもの好き」な自分は、琳琳の存在にとんでもなく
癒されました・:*+.
最後まで天莉を守り抜いた永瑢とその弟、
また天莉の師でありお付きの者だった申寧(シェンニン)など、
二人の脇を固めるキャラ達の熱い思い、行動も胸熱。
また作中、不老不死に近い存在となって目覚めた天莉と、
星辰との寿命の違いについてもきちんと触れられており、
二人の覚悟にまた涙、です。
今日はまだしばらく、この作品のことを考えながら呆けてしまうだろうな
という予感。
思いが滾りすぎて上手くまとまらず、
長いレビューになってしまいましたが。。
最高に胸震える、中華×師弟×再会ファンタジーを届けてくださった釘宮先生に、
ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。
釘宮つかさ先生の中華ファンタジーは、本当に絶品です!
読む前から、あ。これ絶対面白いヤツだってあらすじが既に主張してました。
文庫本にしては少々お値段お高めですが、買って良かったと思える面白さ!読み応え!読後感!そして満足度!素晴らしかったです。
皇帝の椅子を巡る後継者争いをも巻き込んだ、一途な愛を描いたこの作品の世界観にどっぷり。深く長く眠りにつく愛する人を想いながら、ただひたすらにその目覚めを待ち焦がれる年下執着攻めの健気な愛情にうっとりと溺れました。
シリアスとラブの部分からアプローチする物語は非常に壮大なスケールで、国や周辺国をも巻き込む世界の動乱を背景に展開していきます。そこには愛する人を助ける思いを孕んでおり、とんでもないスピードで成長を遂げた執着イケメン攻めの存在にドキドキさせられました。
世界の縮図が大きく変わる節目には、実は主人公である天莉は直接的には関わっていません。あるとき9年もの長い時を経て目覚めると、見える世界がガラリと変わっていたからです。
弟子として可愛がっていた第三皇子の星辰が見違えるほどの美丈夫となり、大国である焔伽国の皇帝になっていたというまさかの真実に驚く天莉。眠りについていた彼は、世界が大きく変わる瞬間には立ち会っておらず、事後報告的に知っていくことは衝撃の事実や状況ばかりです。
しかし、天莉の眠る間に世界が混乱の情勢にあっても、星辰の行動や天莉を慕う気持ちはブレることなく、むしろ想いを強くさせていくキッカケにしか過ぎませんでした。つまりは世界を良くするとかじゃなく、天莉のために頑張っていたら今の皇帝の地位にいた…というわけです。
皇帝ポジションは棚ぼた的にゲットしただけ、一番は天莉だから。みたいなスタンスを決め込んでいるところが、ホンットにもう最高にカッコ良すぎてヤバい(笑)
かつては天莉の力に全く及ばなかった非力な男の子が、こんなにまー見事に成長しちゃって。今や天莉を超えてますからね、この成長たるや…親戚のオバチャンみたいな気持ちで嬉しくなりました(笑)
実は黒幕はアイツだったのかや、そのやり口の汚さを含め、シリアスさに満ちた前半部の…まだ天莉が眠りに入るまでのストーリーは、おぞましすぎて焔伽国の不安定さを表すに十分なシーン描写でした。
でも、意地悪な皇太子は実はそこまで悪い人じゃなかったし、皇帝の側妃への愛の深さといった、前半では分からなかった部分があとから分かると、あれだけ異常に見えていた兄弟関係や親子関係の見える景色が違ってみえてくると思います。黒幕のアイツの表向きは良い人で、でも内面はドス黒い感情まみれなギャップ性には、ハラハラもしたけどワクワクもしてめっちゃ面白かったです!
眠り姫のようなおとぎ話のエッセンスもドラマチックで2人のBL展開をより盛り上げていましたし、子どもと思っていた星辰がハイスペ皇帝となって現れて、そのカッコ良さに意識せざるを得なくなっていく天莉のドギマギ感もニヤニヤ楽しみました^ ^
2人の出会いが、この国を、この世界を、そして2人の関係を、抱く感情に大きな変化を生み出していく物語は圧巻でした。
中華ファンタジーが好きな方や、年下執着スパダリイケメン攻めが大好きな方に、ぜひにとオススメしたい一冊です♪( ´▽`)