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private guardian
極私的に「レビューのない作品にレビューしてみよう」週間実施中です。
というわけで12年前の作品ですが、作画も内容もそこまで古さは感じません。
台詞に当時の流行り言葉っぽい表現がないのがポイントかも。
大きな建設会社の社長を父に持つ木田橋真は、大学入学を機に上京して憧れの一人暮らしをスタート。
しかし父が用意した家は高級マンションの最上階角部屋3LDKとふつうの大学生には似つかわしくないもので、さらに家具もすべて揃った家の中にはひとりの男が待っていて…。
という始まりで、真の大学生活が始まります。
バイト先は決まらないものの、「ライフコーディネーター」を名乗る豊川と友人付き合いをしつつ、隣人で同性同士の同棲カップル風の2人とも仲良くなって、充実した一人暮らしを送る真ですが、父親絡みの事件に巻き込まれたり、アイドルのストーカー事件を調査したりしつつ、豊川の過剰なスキンシップに戸惑いながらも気持ちがだんだん変化していきます。
正直、豊川と真はいいんです。
この2人には順調に溺愛され、敬愛しながら愛を育んでほしいのに、豊川の元相棒である稲葉の存在が気になり過ぎる!
中学からの腐れ縁で、相棒解消の理由はお菓子作りが趣味の稲葉に対して豊川は甘いもの嫌いだったからと言っているのですが、本当に怪しい。
「綺麗な人や可愛い人なら男女問わず好き」と公言して憚らず、「恋愛にはいい加減」とも言っていた豊川にとって、誰が見ても美しい稲葉は対象外だったはずはないよなあ…。
しかも寝言で稲葉の下の名前を呼ぶ辺りもとても怪しい。
そんなわけで真が稲葉の存在を気にして仕方ないのに、豊川がはぐらかすのもますます怪しい。
結局、描き下ろしまで読んでも2人の本当の関係ははっきりしないままです。
晴れて稲葉のパートナーになった桐谷はおそらく「関係があった」という風に思っている感じ。
よく分かりません。
ただここをそこまではぐらかされると、読む側も引っかかって仕方ないのです。
真に余計な心配をさせないようにはぐらかしているのか、何なのか。
豊川に真といういい加減ではない相手が出来たから、稲葉もそれまで軽くいなしてきた桐谷の気持ちを受け入れたのか。
長かった髪の毛を切ったのは、豊川への未練を断ち切ったから?とか、もうごちゃごちゃ考えまくってしまいました。
気になる、引っかかる!
豊川も稲葉もいい年だろうし、2人とも見目麗しいから過去に恋人の10人や20人いてもおかしくないのに、そこを有耶無耶にするのは2人の秘密♡的な、恋人以上に特別♡とか、ひとに話すともったいないくらい大切な思い出だから♡とか、いろいろ考えてしまうではないですか。
ふう…、すごい引っかかる。
ここ、そんなに引っかからなくていいところですよね、本来であれば。
なのにすごく引っかかる描き方なんですよ、終始。
ちなみに描き下ろしで真に稲葉がケーキを投げつけた理由も気になります。
髪を切った稲葉に「(飲食業なのに長いのはまずいと言うなら)もっと早くに切れば良かったのに」と真が言った次の瞬間、ケーキを投げつける。
なぜ!?
たとえ無神経なことを言ったとしても、ケーキを投げつけるほど?
しかもここの流れで真が言った台詞って、本当に豊川と稲葉の間に何もなければ別に無神経でもないふつうの発言なんです。
この嫉妬に狂った女性的な行動で、稲葉→豊川は確実だったな、と思うわけで。
最後の一コマも深読みするには十分なので、もう「関係があった」とはっきり言ってくれ、せめて読者のわたしたちにはモノローグでいいから教えておくれよ、と思った次第です。
余計なところで引っかかってしまって、やきもきし過ぎました。
大変こころが疲れてしまったので、評価は「中立」に留まってしまいました。
せめて(パターン1)「稲葉とはたしかに昔そういう関係だったときもあった。でも今まで出会った誰よりも真のことが好きだ!」とか、(パターン2:稲葉の片思いで、ついに思いを告げたときに豊川が受け入れられず、稲葉は傷心フランス留学へ)「稲葉の気持ちに応えられなかったけど大事な存在であることは変わりない。ただ、真はそれ以上の存在なんだ!」とかいう台詞を読者サービスで入れてくれてたらなあ。
全体的に妄想癖のひどいレビューですみません。