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作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
レビューを書いていくにあたり、このシリーズにいつかは手をつけなければと思っていた作品でした。
吉田珠姫先生の初期の代表作で勢いがあり、一人称で語られていくのですがなんともいえない独特の雰囲気があり、その世界に引きずり込まれていきます。
【天にとどく樹】シリーズは【魔術師】の前に一冊このシリーズ名のものでこの主人公の善臣の弟の直樹と従兄弟の忍の話があります。
物語を読み進める上で前作を読んどくといいのですが、このシリーズの心髄はこの本から始まっていると感じます。
表題作【魔術師】なんとも切ないのですよ。
主人公の善臣視点で進められていくのですが、バンドの新メンバーで入った幸彦の覚悟や長年の思い、いじらしさが胸を突きます。
幸彦はGNOSISのドラムオーディションに受かるため、ドラムの練習だけでなくもう一つ、印象に残るように善臣の初恋の相手、前作で失恋した従兄弟の忍に顔を似せて整形をしてオーディションを受け受かります。
なぜそんなことをしたかというと、幸彦は親から必要とされず、おとなしい性格のため職場でもいじめられたり、ずっと底辺を生きてきたのですが善臣のバンドと出会って人生に光を見出します。
そこからずっと追っかけをするのですが、ファンに男女問わず手を出していた善臣に存在さえ気付かれず時が流れていきます。
そして忍に似せて姿をあらわした途端、善臣の態度が変わり戸惑うのです。
好きだという思いと、この忍に似せた見た目が好きなんだという気持ち、今まで気付かれもしなかったのにという気持ち、に揺れる幸彦。
善臣の精神的に幼く脆い内面が、見事に二人の関係を綴っていきます。
なんともいじらしい、それがいい。
それにつきます。