天才画家になりそこなった友へ

tensaigaka ni narisokonatta tomo he

天才画家になりそこなった友へ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神6
  • 萌×22
  • 萌0
  • 中立4
  • しゅみじゃない6

246

レビュー数
8
得点
42
評価数
18
平均
2.9 / 5
神率
33.3%
著者
七緒夕日 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784199011481

あらすじ

画家になる夢を諦め、デザイナーとして働いて早十年──。鬱屈した思いを抱え、誰にも見せない絵を趣味で描いている直樹(なおき)。そんな時、美大の同窓会で、かつての友人・麻人(あさと)と再会!! NY(ニューヨーク)で活躍する天才画家は、十年も音信不通だったくせに、「おまえの絵は特別なんだ」となぜか二人展に誘ってきて…!? 燻(くすぶ)り続ける画家への未練が、渇いた情熱に火を灯す──才能に焦がれ求め合う、癒しと再生の恋!!

表題作天才画家になりそこなった友へ

ニューヨークで活動するアーティスト/天才画家、直樹の大学の同級生、32歳
Web/グラフィックデザイナー、32歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数8

好感が持ち辛い人となり

七緒夕日先生の作品は初めてなので、拝読させて頂くのが楽しみでした。

個人的、各項目5段階で
エロ 3
嫉妬 3
執着 3
な感じだと思います。

麻人さん×直樹さんのカプです。

あることが理由で画家になることを諦めた直樹さん。そんな時、美大の同窓会で10年振りに再会した、かつて友人だった麻人さん。ニューヨークで活躍する天才画家の麻人さんに、何故か二人展をしてほしいと誘われて…。

まず受けの直樹さんですが、性格や言動が厳しめで、仕事の部下には怖がられる、美大のメンバーには嫌われていたり、ある出来事で殴ったりしていたので、麻人さんとのやり取りで少しツンデレ言動もありましたが、いくらなんでも好感が持ち辛かったですね。

絡み描写に入った時も、麻人さんの絵を嫉妬がありながらも羨望したりしている為、求められた時に好意ではなく、優越感から身体を許してしまっていたので、物語り終盤まで恋愛要素は少ないだなと思いました。

そんな直樹さんに好意的な麻人さん。直樹さんに対して色々と献身的なことをしてくれますが、物語り終盤での執着や本心には、展開としては意外でしたが、やはりこちらも好感が持ち辛い言動でしたね。

恋愛要素もありますが、比較的には夢や羨望、嫉妬や執着などが書かれているので、人間模様や細かな心理描写が好きな人は、読んでみては如何ですか。

0

二人の熱いやりとりにページをめくる手が止まらない

324P一気読みでした。二人の関係性に最後まで目が離せず、また創作に携わる人間の心の機微まで繊細に描写されていてとても共感しました。これで良いのだろうか、こうすればウケるかもしれない…そんな余計なものを捨てて画面に向き合う。それが出来たのは、お互いの存在があってこそ。

強気で喧嘩っ早い受けというのも好みでしたし、完璧に見えて心の闇と執着を持っている攻めも魅力的でした。それぞれのバックボーンもしっかり描かれていて、説得力があります。

受けの視点が読者がまるで入り込むかのようにぴったりとシンクロしていて、感情移入して読みやすかったのも大きかったです。

読みながら浮かんでくる攻めの行動や思考の違和感が、最後明かされる場面ではここでそうきたか!と思わず唸りました。

BLの中で描かれる成長物語がとても好きなので、作品を通して、ふたりの成長
そして愛を育む関係性を楽しめるお気に入りの作品になりました。

1

無念

笠井先生なのでマストバイ。受けも攻めもなかなかシンクロできず、最後まで読み切るのがちとしんどかったでした。めんどくさい人たちの恋話が好きな方なら、もっと評価違うかも。本編320Pほど+あとがき。

美大を卒業、デザイン会社へ就職し配下の者もいるようになって、しんどい状態。彼女ともなかなか会う時間が取れずにいるのですが、大学の同窓会には行く予定にしています。というのも大学時代に親しくしていて、今は画家として成功している麻人が同窓会に来ると聞いたからで・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
受けの会社仲間、学生時代の友人、彼女、攻めのマネージャーぐらい?

++ 攻め受けについて

攻めは天才画家、大学時代に受けと知り合った後、大学を中退、ニューヨークへ拠点を移しています。大学時代、つんけんしていた受けに近づき親しくしていて、今回同窓会で再会、受けに再度絵をかいてほしいと言い出して・・。

受けの絵に執着しているのか、受けに執着しているのか ってところがもやっとしたかな。

受けが今一つ好きになれなかったでした。愛想が悪いー。怖いと思われるとマイナスになるんだから、努力しろー口角をいつも上げとくんだよっと思ってしまって。
まあアーティストはこれぐらい尖ってないと駄目なのかもなと思うところもありますけどねえ・・・どうしても好きになれなかったので、受けに執着する攻めにもシンクロできなかったでした。

エロいシーンは少々あれど、雰囲気として甘いなあという印象が少なかった一冊でした。辛口レビューすいません!好みの問題なのでご容赦を!

6

理解はできないけど納得はできる

話の入りも面白いし、画家志望だった直樹が苦悩しながらも納得のいく作品を描き上げていく様相は臨場感がある。その過程で湧き上がる2人のBLも、突発的でありながら起こるべくして起こっていく展開に引き込まれました。

かつての親友と再会し、再度呼び起こされる画家への憧憬をベースに関係を深め合っていく情景描写や心情描写、丁寧にじっくりストーリーを追うリアルなアプローチが秀逸。少し重めのテイストに見合った筆致もまた、この作品を盛り立てる一部となっており、作品全体のトータルプロデュース力が非常に上手い印象を受けました。
欲情の香り、昂りの存在感も大きな見せ場。明確な関係性を伴わずして、セックスする2人の間に漂う微妙な距離感を表現するのも見事です。

ストーリーにまとわりつく何かがありそうな違和感をずっと抱えながら読むのは、胸のあたりがモヤモヤしたけど、それもこの作品の味でしょう。麻人の謎の行動の理由、再会に隠された思惑…などなど、明らかになっていく真相から目が離せませんでした。

わたし個人としては、麻人が直樹に近づいた理由を聞いて、あまり理解できなかったクチです。
直樹のせい、直樹のせいと連呼することに違和感でした。だって、直樹を責めておきながら、全然責めてないんですもん。
直樹に積年の恨みをぶつける麻人の思いには共感するに至りませんでした。正直なところ、細かいことすごい気にするのねってただそれだけ。
本人に真意を確かめれば良かったのに、何年もすれ違っていたのは切ないですね。でもこういう部分、芸術家の思考っぽくて、そういう意味では納得しています。


BL小説というよりは一般小説っぽい趣きだなと思った作品でした。
初めての作者さんでしたが、今後も楽しみに注目していきたいと思います^ ^

4

作中登場する絵画の色や形が目に浮かぶ。主人公が燃えたたせる絵への情熱など、描写力がすごい

主人公・直樹は一度は画家の道を諦めますが、大学時代の友人で人気画家になった麻人から二人展に誘われて、再び闘志を燃え立たせます。

だからこそ、二人展のための絵を描く際には麻人の才能に嫉妬したり、自分の才能に疑問を抱きつつ苦しむなど、精神的にも戦いがあります。

まさに自分自身と正面衝突するようなひりひりした主人公・直樹の心理描写や、
作中登場する絵画の色や形が目に浮かぶような描写力が素晴らしいです。

肌は重ね、「直樹は特別」と何度も口にするものの、ラスト間際まで麻人の直樹への『本当の気持ち』は明かされません。そこに至るまで、不穏なバックグラウンド音が聞こえるような構成もお見事でした。

互いに唯一無二の存在である麻人と直樹の関係は、ただの恋人というには激しすぎて、火花が散りそうなライバルでもあり同時に親友でもあります。最後は、直樹は画家の道は向いていないと自覚し、現在の会社でデザイナーとしてやっていくこと、そのうえで麻人との関係を続けることを選びます。こういう関係性が読めるのはBLの醍醐味だなぁと、大変楽しく読ませていただきました。

4

芸術家のボーイズラブ

一読するとBL色以上に成長ヒューマンドラマのテイストが強い印象ですが、芸術家は作品と人柄でニコイチになっていて切っても切り離せないと改めて実感し、「やっぱり当作品はまごうことなくボーイズラブなんだなぁ」と深く感じ入りました。

多かれ少なかれ創作をしていると、プロにならない自分には価値がないんじゃないか、愛されないんじゃないかと落ち込んだり、今つながってくれている人も創作しなくなったら離れていくんじゃないかと思ったりすることもあるかと思うんですが、
直樹と麻人もそういう恐怖と切っても切り離せない二人だったのかな、と邪推してます。
二人は芸術以外の世界では生きられなくて、「愛される」という感情に対して自分の生み出す作品と無関係ではいられない。それこそ大学時代(この場合『青の時代』というべきか)の二人は、美大に通っているのに作品を生み出さない周囲の人間を嫌悪していて、お互い惹かれ合った後も、心の奥底では無意識に「作品を作らなくなればつるむ価値がなくなる相手」と思っていたかもしれません。
その点麻人が、直樹が画家の夢を諦めたときに「裏切り」だと感じてショックを受けたのは、本当に直樹のことが好き過ぎて、愛しさ余って憎さ百倍ゆえの感情だったように思いました。
話が進んでいくうちに、二人は絵を通してお互いの人柄を究極的に突き詰めていく。最終的には絵を通じて「誰のために作りたいか」、「作品に対してどういう姿勢でいるか」と相手へ向ける感情の正体を深く知っていく。
恋愛としても、その先のパートナーとしても、直樹にとって愛して愛されるべき相手は「作品を作らなくなっても直樹は直樹だよ」という相手ではなく、麻人でなければならなかった知っていく。そうやって、なぜ相手のことが好きなのかが確固になっていくのがとてもいいなと思いました。
絵を描かないと自分の感情をうまく整理できない。とても愛い。
お互いのことを深く知ったことで、直樹がプロにならなくても麻人と結ばれた結末は個人的に嬉しかったです。

二人の悩める芸術家が唯一無二の相手を見つけるまでのボーイズラブを楽しませていただきました。

4

途切れた友情を辿る、10年間の執着

良かった…!
と、思ってこちらを覗き、星(評価の)にびっくり。。そうかあ。。

芸術やスポーツものなど、努力や才能、運、人脈…そういったもの全てが
求められる厳しい世界に身を置く人々の物語が、とても好きです。

ライバル心、嫉妬、葛藤、挫折…青春ものの中に多く出てくる要素だけれど、
大人になってからだって、決してそういう感情とは無関係ではいられない。

絵画を軸に、いろんな感情が絡まりながら進み変わっていく二人の関係ーー
グッとくるお話でした✨

キャラ文庫大賞優秀賞を受賞されたこちらの作品。
七緒夕日先生、優秀賞受賞おめでとうございます・:*+.
ハラハラヒリヒリ、痺れる展開に分厚い一冊(あとがき入れずに324P)を一気読みでした。

主人公は画家になる夢を諦め、デザインには関わりながらも会社員として
忙しく働く32歳の直樹(受け)。
無愛想で口下手、社内では怖がられている存在で、画家の道を諦めることになった
経緯にはあるトラウマがありー
という人物です。

対する攻めは容姿端麗、天才画家としてニューヨークで活躍し名を馳せる
直樹の大学時代の同級生・麻人(攻)。

同窓会で10年ぶりに再会し、再会するまで音信不通だった麻人から
思わぬ「二人展」の開催を提案され、「お前の絵が好きだ」と言われて再び筆を取る
情熱を燃やす直樹ですがー

と続きます。

この「二人展」開催に向けて必死に絵を準備するうちに徐々に変わっていく
二人の関係性、そして話が進むにつれて読者が感じるようになる不穏な空気、
「二人展」への違和感ー

そういった部分がどこかミステリー要素もあり、”一体麻人の目的はなんなんだろう?”と
気になって気になって、夢中で読み進めました。

油画学科一の人気者×学科一の嫌われ者。

そんな二人が気の置けない友人として付き合い始めるようになるきっかけとなる
出来事が、印象深かった。

同級生に絵の具を踏み潰された直樹が、麻人の目の前で思わず殴りかかってしまう
場面。
そして、最優秀賞を受賞した麻人に対し、入選に終わった直樹がまっすぐに
言葉をぶつけ、負けん気の強さ、芯の強さを見せる場面。

そんなシーンがパッと頭の中に画像として思い浮かび(笠井あゆみ先生の美麗イラストが本当に最高です…)、
ここからそれぞれにとって互いが「特別な存在」になったのだなあ、と感じられました。

「二人展」騒動の動機のキーワードとなる直樹の「裏切り」については正直ちょっと、
”麻人の思い込み、誤解”という面が強いかなあとも思ったけれど。。

本音で語り合える唯一無二の存在を失ってしまった喪失感は、
麻人にとってそれほど大きかったのだな、、と。

手の届かないところに行ってしまったと感じる存在(麻人)から
絵を認められ、好きだ、欲しいと言われ求められる高揚感。
ノンケの直樹がその高揚感に溺れ、麻人に体を許す気持ちの変化も共感できるものでした。

遥か高く遠いところにいる相手が、自分を必死に求めてくるー
そんなのもう、優越感を感じずにはいられないよね、絆されるよね…!!

強い受け(大好き!)、そして完璧に見えるけれど脆さを抱え、
想いを拗らせた攻め(10年越し…!萌える)。
そんな二人のキャラと関係性にドキドキしながら読み進めた一冊でした。

そして、笠井あゆみ先生の美麗絵が本当に素敵!特に銀髪の攻め、最高です・:*+.
素敵な読書時間でした☺︎


5

恋よりも芸術家同士の繋がりに近い

麻人×直樹

キャラ文庫小説大賞の優秀賞受賞作。  

仕事に虚しさを感じる日々を送る直樹(32)、  
彼女にも愛する気持ちはなさそう。という
やるせない冒頭に引き込まれた。

そんな直樹が、美大の同窓会に出席するのは、
ただ同級生で有名画家となった麻人に会いたいという理由から。

未練なのは、恋なら良かったのに──そうではなく、
画家という諦めた夢だった。すごくすごく残念・・・。

11年ぶりの再会を果たし、
麻人の誘いで始まる二人展がきっかけで2人が急接近。
突然の麻人の執着とスパダリの勢いと、急なエッチに、
あっさりと絆されていく直樹。という流れに追いつかなかった。

直樹が見ているのは麻人の才能で、
麻人に認めたいのも自分の才能。
絵を描くことで大切な人たちを悲しませた傷が、麻人によって癒していく。
絵を描き続けたい気持ちが、麻人によって埋めていく様子が伝わるが、
麻人への恋心は最後まで私は見えない。

孤独なのは直樹だけではなく、麻人のほうも。
後半の展開が少し予想外で、
麻人の心理が過剰ネガティブで、
現実的ではあるが、無理があって納得しづらい。
結局、麻人が愛しているのは直樹ではなく、
直樹に受け入れられる自分ではないか?という疑問が残る。

大学時代のことがほとんど書かれていないから、
2人の元の関係性がわからなくて感情移入しにくい。

個人的には、
恋とは少し違い、芸術家同士の特別な繋がりに近いと感じた。

お互いへの劣等感から生まれるすれ違い、
直樹の精神的な葛藤と苦悩、
麻人の内面の繊細さとその行動、
2人とも周りとの微妙な間隔、
感情の揺れや才能への嫉妬、
芸術家特有の感情の機微が端々に表現されていて素晴らしい。

笠井あゆみ先生のイラストが空気感をしっかり支えて、

心が温まるラストに安心しました。

5

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