さらってよ

saratteyo

さらってよ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神5
  • 萌×28
  • 萌12
  • 中立6
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
14
得点
99
評価数
33
平均
3.2 / 5
神率
15.2%
著者
渡海奈穂 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
価格
¥560(税抜)  
ISBN
9784403521867

あらすじ

初めて好きになった先輩・平尾を相手に、ずるずると都合のいい恋人を演じていた三木。平気なふりをしながらも平尾の身勝手さにひっそりと傷ついている三木の心の慰めになっているのが、仕事先で知り合った年上で穏やかな有元だ。初めに自棄で有元に関係を迫って失敗して以来、有元は困った顔をしつつも三木を拒まない。そんな付き合いが心地よかったのに、突然有元に抱きしめられ…? ずるくて切ない大人の恋
出版社より

表題作さらってよ

有元拓馬,43歳,市の施設に務める地方公務員
三木育巳,25歳,市主催イベントの企画会社の担当社員

その他の収録作品

  • 大人の事情
  • あとがき

レビュー投稿数14

とてもせつない

先のレビュアーさんもおっしゃてっましたが、登場人物の感情-執着が中途半端で、
かえってそれがリアルに感じられてしまった。

三木君はいい子だよね、そして男の趣味がわるい。
こういう純粋でいい子なんだけど、なまじっか若い頃にセックスで癒されちゃったり、恋愛でごまかされちゃったりで、大人になっても側から見ると「悪い男(女)」「しょうもない男(女)」にとらわれちゃう、知人友人にもいるな…。

やはり10代に手を出してはいけない。

個人的には三木君以外は、現実社会で出会ってもみんな好きになれないだろうな。
平尾は、ざまあ展開を希望して読み進めたけど、あからさまなざまあはないものの、「大人の事情」になると、それまでの崇拝の入った三木視点でのイイ男から、客観視されたガラの悪い残念な男に変わってて、割とすっきりしました。
こんなもんなんだよ、しょせん。子供といってもイイ後輩に手を出しておいて浮気繰り返すような男はさ、的な。
そして、有元。基本おっさん攻めは好物ですが、あまりにも思考がおじいちゃんすぎるし、ヘタレすぎる。正直元妻の方が正解だよ。そして、さっさと家売って引っ越せよ、まじで。

終始せつな萌え〜と読み進めましたが、今後の2人の暮らしには不安要素が残るなあ。しかしそれも現実にはよくあることかと。

3

これでもかとやってくる

表題作と短めの続編の2作品が収録されています。
受けと他の男の事後描写がありますので、苦手な方はご注意下さい。

表題作は三木(受け)が主人公です。
三木は、男と浮気したり女と付き合う平尾と別れたいと思いつつも、「都合の良い男」のまま10年ずるずる付き合っています。仕事で知り合った有元を好きになりますが…という内容です。

三木は平尾に振り回されますが、一方で有元を振り回します。いきなり家に押しかけ、口説いて押し倒される。抱きはしなかったけれど、寂しいからと遊びに来られる。様子がおかしくて心配して電話をかけたら、恋人とエッチをしている。会いたい、同情でもいいからと泣かれて抱こうとすると、寂しいからと他の男に抱かれている。…書いていて気の毒になりました。それは三木を信用できないですわ。

ただ、三木の目線で進んでいくと、有元を好きになり、ようやく平尾を断ち切れそうになのに、有元には「同情だ」「(好きとかいうのは)他の人とやってくれ」と拒絶され、実家では見合いを迫られ、平尾にはやり直さないかと振り回されて、これでもかこれでもかと気の毒な展開で切なかったです。不運なだけでなく自業自得の面もありますけれど。

続編「大人の事情」は有元の目線で進みます。有元の娘の乱入が、二人にとって良い方向に進んでほっとしました。三木は性格的には一途だし、有元は真面目だし。甘くほのぼのと過ごしてくれると良いなと思うエンドでした。

作者様はあとがきで平尾にも幸せプランがあるそうなのですが、私的には平尾自身以上のドS男に抱くつもりが抱かれて執着されて束縛とか色々されてしまえば良いと思っています(なげやり)。

年の差カップル、優柔不断でグラつきがちな受け、真面目で気弱な年上攻め、当て馬は酷い男じゃなきゃね!という方にお勧めの作品です。

1

皆ずるいよなー

感想
有元さんも三木くんも平尾も…皆ズルくて臆病。
ずるずると関係を続けている平尾のことを不誠実だと嘆いている三木くんが有元さんにやっていることって…正直な話、程度の差はあれども同じことだと思うのだけど(´・ω・`)
ってか三木くん、平尾のどこが良かったのかしら?
全く魅力が分からんかったわ…。
三木くんと別れた後、平尾が三木くんと似た子を連れている描写があったけれど…実は平尾は三木くんのこと好きだったのかな?
いやでもどうなんだろ…いまいち心情が掴めない。
有元さんも書き下ろしが無かったら謎だったけど末永くお付き合いしそうな二人にほんわり~(*´Д`*)
「鷹の爪」を探し求めてペットショップにまで行っちゃう三木くん可愛いー(*´艸`*)
ただ…ぶっちゃけると3人とも好みじゃないのが難点。

それにしても中学生の時に父親から男の恋人を紹介されたら激しく動揺しそう…有元さんの娘さん凄いわーΣ(○д○ノ)ノ

4

受けが自分勝手かな

渡海さんの作品は良く手にとりますが、これはちょっと苦手な部類でした。
すみません(汗

受けの三木はゲイ。
先輩の平尾とズルズルと関係を続け都合の良い男と化している自分に嫌気がさしていますが、口ではカッコつけてしまうという…
この関係にさみしさを抱えています。

攻めは40代ノンケバツ1の有元。
公務員で性格も固め。
仕事で知り合った三木とは、困りながらもなんとも言えない距離感で友人のようなつきあいをはじめています。

この作品が嫌だなと感じるのは、三木が平尾に対して都合の良い男を演じそのさみしさを紛らわせるために、有元を自分がされているような都合の良い相手として使うという点です。
自分がされて嫌なことは、他人にもしちゃダメ!って感じで(苦笑
さみしいという感情を免罪符にしてるようで、苦手なんだろうなと自己分析してみました。

結果としてハッピーエンドなわけですが、あそこまで身持ちも固く家庭もあった有元が一線を越えることができるかなあと。
三木も学生ではなく立派な社会人。
そんな人間が仕事で関係のあった相手を、都合良く使ったりするかなあ…後々、再び仕事をともにすることだって絶対ないとは言えないわけで。
本自体も薄めなので、もう少しページ数を増やして丁寧に表現して欲しかったかな。

0

向き不向きがある

クオリティーが高く、良い作品です。
物語として入り込んで読むことができました。

ただ、2人とも好きなタイプではありません。
きっと、現実的に考えると、「ありえる性格」なのだとは思います。
しかし、私がBLを読むに求める2人ではなかったです。

三木は、10年間平尾と都合のいい男のふりをして付き合い続けています。
平尾が浮気しても、気にせず、応援するフリをする。
自分自身も寂しさから、体だけの関係を色々持ちます。寂しい男です。
そんな三木が出会ったのは、バツイチの有元です。
三木は有元に迫っていくのですが、有元も完全に拒否せず、
流されていくかのように、やさしい。

読み手として、この有元の優しさは、とても「分かる」んだけど、
ずるいよ~。と感じます。

そんな2人が穏やかな温かくなる幸せを手入れることができたので、
ほっとしました。

3

現実的なお話

少しパラパラと見てから、集中して読もうと思って深夜1時くらいに本を読み始めたのですが、いつの間にか深夜ということも忘れて、悶えながら最後まで読んでしまいました。

このおはなしは、10年間物分りのいい恋人をやってきた超絶寂しがり屋の三木くん(受)と、朴念仁と罵られ奥さんに逃げられてしまった真面目で柔和な有元さん(攻)のお話です。

簡単に内容を説明しますと、浮気症で一箇所にいられない浮ついた恋人を持った三木くんが、寂しさのあまり真面目で柔和な有元さん(43)を利用して寂しさを埋めようとしていたけれど、いつの間にか本当に好きになってしまった。というような内容です。

これだけ読むと、三木くんが誰でも彼でも襲ってしまう、見境のない人のように思われますが、実際本編中で「寂しい寂しい」と言っていても、不思議と嫌悪感は湧きませんでした。きっと「寂しい寂しい」という言葉の中に、自己嫌悪や後悔の気持ちがはいっていたからだと思います。


『ずるくて、切ない、大人の恋。』というのが、この本の表題のようですが、はじめはわからず「どのへんだろう?」と思ってしまいました。しかし、読み進めていくうちに「ああ、これはずるいな」とわかったのと同時に「わからなくもないな」と共感しました。
登場するキャラクターたちの考えていることや行動が、とてもリアリティーがあって、まるで生きているかのようでした。

正直、さみしいからといってズルズルと10年も引き伸ばした三木くんには、もう少しなんとかならなかったのかな、とツッコミたくなりますが、有元さんと出会って、少しづつ強くなっていく三木くんを見て、とても応援したい気持ちになりました。

200ページ前後とページ数は少なめですが、とても暖かい気持ちになれる作品です!
有元さんのノンケとしての葛藤も丁寧に描かれていたので、ノンケ×ゲイを読みたい人は是非、読んでみてください!

3

年齢はかなり上ですが……

 初めて好きになた先輩・平尾を相手に都合のいい恋人を演じている三木。
 平尾は、三木と初めて関係を持った翌日に、他の女の子とキスをし、その時に強がってしまってからずっと、三木は「浮気しないでほしい」とは言えずに、物分りのいい恋人のフリをしていた。けれど、本当は三木はひっそりと傷付き続けていた。
 そんな三木の慰めになっているのが、仕事先で知り合った年上で穏やかな有元だ。
 三木よりも十八も上の有元は、三木が初めに自棄で関係を迫って失敗して以来、三木の性癖を知りつつも決して三木に対しては性的な興味を示さず、それでいて困った顔をしつつも三木を拒まない稀有な人間だった。
 関係を持たないままで三木の性癖を知って尚、三木に優しく接してくれている有元の優しさに三木はすっかり甘えていて、そんな関係を心地よく感じていた。
 ところが、そんな有元に突然抱きしめられて……

 というような話でした。

 三木は、自分が本当に好きだと思った相手には浮気をされ、他に手を出している女の話をされ、素直になれない自分を常々悲しく思っていた。
 その寂しさを埋めるために三木は、行きずりの男と一夜限りの関係を持ったり、その気もないのに、仕事で知り合った有元に相手をしてもらう日々を過ごしていた。
 そんな日々の中で、もはや好きだったはずの平尾のことが今でも本当に好きなのか、それともただ意地で付き合っているだけなのか、もうすでにわからなくなってきた。
 そして、有元の優しさに次第に惹かれていって……という大人な恋の話。
 有元は四十代で、中学生の娘がいるBLにしてはかなり高齢の設定。
 でも麻々原さんの絵ではかなり若く見えるので、その辺りのことは個人的にはまったく苦痛じゃなかったです。
 なんというか……
 三木と有元との話だけだったら「枯れてるなー……」というか、渋い感じの話なんですが、三木のもう一方の関係が結構派手で華々しいので、そんなに地味な感じはしない話でした。
 何となく、純文学を読んでいるような気持ちにちょっとぎゅっと切なくなる話でした。でも、それよりも文章は大分読みやすいですけど、これ文体と性別変えたら純文学の内容でも十分に行けると思うんですが……と。
 でもそれやっちゃったらBLではないので、このままでこの話は十分よかったと思います!

 ただ、個人的にこの作者さんはもっとギュッとなる話を書ける人だと思っているので、そういう意味ではもうちょっとぎゅっとなりたかったなー……と思います。
 私のツボがこの話についてはずれていただけだと思うんですけど。

1

じれったいけど

けっこうイケイケのちょっとアホの子入ってる受けが、まったくストレートの大人のバツイチを落とす話、というと語弊がありますが、受けが前カレというか、腐れ縁というか、不毛な恋愛を断ち切って、新しい恋に生きるのはよかったです。
イラストも、お話にはまっていたと思います。

ただ、延々と攻めのことをこき下ろす作家さんのあとがきが興ざめでした。

1

表紙、有元さんの背中に「萌~vv

1冊に2話入ってました。

そうそう、この後ろ姿なんだよ~っvv

はさておき…
三木くん、よく十年ズルズルと都合のいい人でやってこれたね。
でも解るよ。今度こそ、今度こそ別れようと思うタイミングで、
平尾が連絡してきたり、
優しくなったりしてほだされるんだよね(-_-)
そんな時に三木にとっては都合のいい相手有元さんと出会うわけですが…
そう最初は都合のいい相手だったのに、いつの間にか本気になってきて。

でもって有元さんなんですが…
真面目で、お人よし。そしてすごいヘタレです。
でもね1話目の最後に
「もう二度と僕以外の人に恋をしないと誓いなさい」
って、命令口調の有元さんにちょっと惚れる~っ!!


2話目は二人が同棲してからのお話
有元さんの別れた奥さんとの娘が出てきて、
父親としての有元さんと三木君の恋人としての有元さんが見れますが、
やはりヘタレなのでしょうか…

でも最後はやっぱりいい男でしたよvv

4

妙なリアリティ

高校時代に好きだった平尾と関係を持った翌日
平尾は女と抱き合っていて
そのときに不快感をあらわして嫌われるのが怖くて
ずるずると浮気しても怒らない縛らない
都合のいい男に成り下がってしまった三木。

その関係がなんと10年。

バイの浮気症の平尾との関係に疲れた三木は
ちょいちょい男をつまみ食いするんですが
たまたま、ちょっかいかけた有元は
三木を拒絶するんだけども、友人としてはつきあってくれて・・・

攻めがふたりもでてくるのですが
平尾の三木への執着も中途半端
有元の三木への執着も中途半端

三木は、一夜限りの恋人がすぐつかまるくらいのフェロモンは
もっていても、平尾も有元も魅了してしまうほどのフェロモンはない。
受けの魅力も中途半端

3人の中途半端たちの中途半端の恋のお話といったところ。
それでつまらないってわけじゃなくって
その中途半端具合が妙にリアリティというか
誰かひとりがいい子で、ずっと耐え忍んでるってわけでもなく
おのおの、自分が一番好きなタイプの人間で
でもさみしくって恋をする。

『さらってよ』というタイトルは、三木の吐くセリフですが
平尾も有元も、誰かに心をさらってほしいのではないだろうか?
なんとなく全員受身の恋のような・・・

親や子供などもでてきて同性愛への障害になるのですが
この干渉もまた中途半端。
ありえないほど行過ぎた干渉はしてこないんですよね。

誰一人、特別な登場人物は不在のまま
ゆるゆると、ぬるい恋のお話でした。

4

グルグルドキドキズキズキ

かなり、はまり込んで読みました。


初めて好きになった平尾を相手に10年もの間、都合のいい恋人を演じてきた三木。

平気なふりをしながらも傷ついた心の慰めになっているのが仕事先で知り合った年上の有元だった。


簡単に言えば「へたれ中年×寂しがりやワンコ(のちに忠犬)」


ヘテロの有元を想いグルグルとのた打つ三木の心情が痛いほど伝わり、有元の心がなかなか読めずにドキドキズキズキと引き込まれました。


読んでいて自分の感情が三木に重なり、切なくなったり嬉しくなったり!


二人の心が重なった後も小さな問題もあるのですが、それを乗り越える様に心がじんわりしました。


有元視点の三木に対する真摯な気持ちに感動!


BLはファンタジーであれと思っていましたが、こんな不器用な二人が少しずつ距離を縮め、確実に寄り添うストーリーはリアルな恋愛小説であっていい。


大好きな一冊になりました。


思いやりは大切だと実感です。


エロを追いかけてばかりいた自分を振り返り、BLは性別を超えた純愛の成せるストーリーであったと原点にかえりました。


あえて細かいストーリー展開には触れずに感想をば。

4

不器用過ぎて切ない

自分の思いを上手く口に出来ないばかりに
相手の気持ちを疑ったり、自信をなくしたり、誤解されたり。。。
そんな3人の男のもどかしい恋愛模様。

一見すると
3人ともフラフラしてるように見えるのですが
根っこの部分ではとても一途でまっすぐなんですよ。
でもそれをうまく相手に伝えられずに
全く逆の行動に出てしまったり、というすれ違いの繰り返しに
そういうグダグダした話しが苦手な方は嫌気がさすかもしれませんが
私は、逆にそこが人間臭くてとても共感出来ました。

高校の時に好きになった先輩・平尾に本当の気持ちを伝えられないまま
平尾の度重なる浮気にも目をつぶり続けた三木。
そんな三木が、自分の優柔不断さを利用して甘えて来ているのを承知で
三木を受け入れようとする有元。
特に有元が、三木との年齢や境遇の差を考えて
三木に溺れていく自分を肯定出来ずに居る心情は
この世代特有の不安なんだろうな、と
妙に共感する部分もありましたw

そんな不安も
書き下ろしの「大人の事情」でかなり払拭されたようでホッとしました。

あとは、チャラチャラしてる風に見えて
実は本気で三木の事を好きだったであろう平尾が
ちゃんと幸せになってくれれば嬉しいのですが。。。

渡海さんの作品を読むのは、これが2作目ですが
彼女の描く「執着愛」の世界、結構好きかもw

2

う~イライラがっ!

とりあえず「なんだこいつらは!」でしたよ、登場人物たちに。
三木は平尾に対して、高校時代から10年もセフレというか、都合のいい男というかを演じているわけです。ひとりぼっちは淋しくて大嫌い。平尾は好きだけど、それを口に出して言うことが出来なくて。鬱陶しいことを言って、捨てられるのも怖くて。

三木が惚れる平尾って「そんなにいい男なのか?」と思っちゃいますが、とんでもない酷い男なんですよ。
たしかに三木のことは特別というか別格で「育巳のことわかるのは俺だけだ」と思っているのは事実なんです。いい意味でも悪い意味でも、三木のことをすべて知っているのは平尾なんです。だから、自分が離れたら三木は寂しくて死んでしまうとも思っていて。
(うさぎかよ……と思わず突っ込んでしまった私)
なのに!!! 浮気のし放題。それも男女を問わず。すべて、三木も知っているんです。こんな酷い男だと重々わかっている三木ですが、結局離れることも出来ず、10年間もズルズルと付き合っていて。
ありえない……。

以前仕事で知り合ったかなり年上のさえない有元。
実は仕事の打ち上げのあと、酔った勢いで有元を襲っちゃった三木ですが、あまりに突然の出来事に有元は役に立たず、自分の性癖をカミングアウトをしたに終わり、その後はカラダの関係なしで、三木の都合につき合わせているんですねぇ。これまた「どうなのよ~」ですよ。
公務員という職業柄、いつでも捕まっちゃうんですよねぇ、気の毒なことに。で、また断らないし。有元も寂しかったのかなぁ。バツイチで一人暮らしなんだもん。

初めは平尾に振られたときの逃げ場くらいだった有元ですが、一緒にいると穏やかな気持ちになれたり、平尾に辛く当たられ泣いているときに優しく慰められたら、ついヨロッとしてしまいます。そして、いつしか真剣に好きになっている三木。
三木も気が付くんです。自分が平尾を信じられないように、有元も自分が信じられないんだと。
なるほどねぇ。カラダだけで、心はいらないんだっていう風に言ってましたしね、有元は。疑り深いというか、慎重というのか。まぁ、平尾のことを有元も知っているだけに、三木の言葉が信じられなくても仕方がないところなんですけどね。
だけど、信じてあげて欲しかったなぁ。

保守的な不誠実な男なのか? と思ったけど、『大人の事情』では、中学生になった娘に「彼は恋人だ」とちゃんと説明するんです。
「やるなぁ、お父さん!」と、娘と一緒に見直しましたよ。
ヘタレなオヤジもいいけど、少しは格好いいところも見せてもらわないと。
ずっと辛い恋愛をしてきた三木ですが、これで少しは幸せな毎日が送れるようになるのかなぁ。有元は面白みがない男かもしれないけれど、穏やかで幸せにはしてくれる男だと思います。

2

地味で冴えない中年男と、ダメンズに嵌まったまま抜け出せない本人もダメな青年の恋のお話。

高校時代の先輩と10年に渡って“恋人”関係を続けている三木(受)。
しかしこの恋人は、初めて寝た翌日、女の子とキスをしている現場を見つかっても悪びれない不実な男だった。
その場を強がりで流してしまった三木は、それ以来平然と隠さずに繰り返される浮気にも、気にしていないフリを装い続けるしかなくなってしまう。
そんな中、イベントで知り合った地味だけれど落ち着いて穏やかな有元(攻)は、三木の安らぎとなっている。


保守的で、若々しさとか面白みとか遊び心とかそういうものは持ち合わせない、口も上手くない、生真面目な中年攻めですが、不実な恋人に我慢に我慢を重ねながらも引き摺られてしまう寂しがりやの受けが、安寧のようなものを感じてしまうのは何となくわかる。
一見すると、この攻めは臆病でズルいようにも見えますが、人生40年も生きてれば、そりゃ勢いだけじゃ生きていかれません。まして不器用な上に一回失敗してますしね。
そして年が上なだけに、三木の中の弱さも計算も全部見えてしまいますから。
受けの三木は、典型的なダメダメくんです。不実な恋人に10年も引き摺られるなんて有り得ない(笑)。
三木は精神的に大人になりきれていないように感じました。
初めて好きになった男を繋ぎ止めたい、別れが怖いという気持ちは理解できるので好感が持てないということではないんですけどね。でも10年は長すぎる。いくらでも見切る機会はあったはず。
それができなかったことにダメさを感じるし、有元に近づいてワガママ押し付けてる姿は本当に子供。

有元に惹かれつつ、平尾のことも思い切れない三木は、「こっちで傷つくとあっちへ逃げ、あっちで傷つくとこっちへ逃げ」というようなことを繰り返す。
だけどお話の中で三木は少しずつ大人になっています。
してみると、このダメさもグラグラも、一生懸命もがいて幸せになりたいと願いつつもあっちこっちにぶつかって悩む、青年の成長を見たような気になります。

「大人の事情」で、有元に対して一生懸命気づかったり負担にならないようにする三木は、疲れた中年から見ると、素直で可愛いと思えた(笑)
「実家ではデきない」中年男は、BLには珍しいヘタレさんですね(笑)

1

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