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hibana
誤解を恐れず言わせてもらえるなら、先生の代表作、「同級生」と背中合わせのような話だと思った。あちらが朝日ならこの作品は黄昏…的な。
(あらすじは既に多くの方が触れていらっしゃるので大体は省かせていただきます)
高校の時の一瞬目があったときに、恋に落ちる。自ら恋に落ちたことことを認められず、ただ湧き起こる激情をどう宥めればいいのかわからなかった場合、その感情の表現の伝手を多く持たないDKだと(しかも既に暴力と親和性を持っていた過去があるなら余計に)こうなってしまうこともあるだろうなぁと思う。勿論暴力を認めているわけではありません。でも誰しも自分の気持ちとすぐにまっすぐ向き合えるわけではないし、間違わず相手に誤解されない言葉を選べるわけではない。
この多感な時期の、このような暴力を介する歪んだ愛情表現を題材に扱った作品は時折見かけます。そのどれも印象的で心に残るお話達です。
だが、この透明感、空気感、表情で読ませる唯一無二感は、さすが中村先生だと思う。
女子BLというけれど、この物語はBLと言うより主役は女子の戸森さんだと思う。
彼女の目の前で散った花火のお話。
高校、大学、社会人と犬飼と三郷の二人が出会うたびに散る花火を、彼女が見つめるお話だと思う。
彼女が見ていないから、読者である私たちも犬飼と三郷の事はあまり分からない。(その分その行間を想像してしまうのだが)
でもその余韻も含めて花火なんだと思う。
そしてやはり結婚するなら、戸森さんがいいと思う。
同時収録作品「英雄と少年」もその描かれない部分に想像を掻き立てられるお話。
描かないところの美しさを感じさせる贅沢な一冊でした。
戸森のすることが全部納得行くし、自分はそうしないってことでも戸森はするよなって感じで、どんどん読み進められちゃうのにその1回でしっかり心に残っちゃって、場面を思い出して何度も味わっちゃう
戸森はいつのときもよーじのこと好きで、何かしたから嫌いになるみたいなんじゃなくて、よーじという人間に惚れている
戸森も初めてみたときに好きになったんだよね
一目惚れのときに散る火花
よーじは激しい人間だから火花も激しく散ってしまったのね
イジメをする彼氏ってイジメグループ内の人以外と付き合っていられるの?て思うけれど、戸森は付き合居続けるし、どうもイジメとは違うんじゃないかと感じてる
イジメ仲間もなんかよーじが変なんだって思ってる
三郷が落ちたとき、もう落ちてしまいたくなった?
三郷は好きな人に嫌悪されるのが終わりになれば良いと思ったんだろうか、死んだりする高さではなかったみたいだけれど、よーじは落ちてしまった
戸森のことも好きだから、三郷が特別過ぎただけで戸森が最高だからよーじは苦しいとこもあったんだろうね
三郷が戸森の家にいたときも、自分の持ってる合鍵棚に上げて
戸森、最高だもんね
三郷には正直に話すよう言ってたのに、よーじを前にしたら正解が分かって瞬時に切り替えてああできる
自分も好きなのに、2人の恋心のことを美しいと捉えて守っちゃう
スパッと別れたりしてなくて、三郷がいないなら付き合える変な2人なのに、戸森に嫌な感じが全くしない
てか、本当女の子の戸森の話ばっかりしたくなっちゃう
最終的に戸森かっこいいで戸森もかっこいいて言われるの好きみたいで終わる不思議なBL
面白かった
中村明日美子先生の漫画読んで、
良くなかった事なんて…ありません!!
女性目線BLっていうのをこれの前に
何作か読んでいて、楽しみにしてました。
内容はもちろん、明日美子先生らしく、
ツラッ…、イタッ…と思いながらも、
最後には凄まじい熱量の愛、愛、愛。
女って強い、そして突然脆い。幸せになって欲しい。
うーん、さすが…。
女の子視点でのBL、しかもB当事者の一人の彼女という設定が斬新であるからだけじゃない、この設定だからこそのストーリー展開、中村明日美子先生、唯一無二!
戸森さん、犬飼くん、三郷くん、みんな美人。明日美子先生の絵、ほんとに美しい。戸森さんの視点で物語は進むので、執拗なまでに拳を振るう犬飼くん、無抵抗で受ける三郷くん、の心情は会話としてもモノローグとしてもほとんど描かれていません。でも、二人の表情と行動にほんとに巧みに現れていると思います。絵でこんなにも心情が伝わってくるなんて、ほんとにものすごいこと、さすがの明日美子先生、漫画の表現力ってこういうことなんですよねって改めて感じ入りました。
二人が出会った瞬間から互いに本能的に、理性をぶっ飛ばすくらいに惹かれ合い、それを彼女という近くて濃いポジションだからこそ、気づいて理解していこうとする戸森さん。
そう、戸森さん、かっこよすぎ!再会してまだよーじに気持ちがあったのに、だからこそ好きな人の本当に望むことがわかっちゃったんだろうなあ。でも、きっと戸森さんも幸せに!!
女子高生の戸森さんは、治安悪めな男犬飼と付き合っています。
犬飼は転入生の三郷に執拗に暴力を振るっていて、それはどんどんエスカレートしていって…
女子BLとは?なんぞや?
素敵女子が出てくるBLのことのようです(あとがきより)
BL作品なのですが、とても珍しく戸森さんという女の子の目線から見た2人の男の子のお話になります。
ただ戸森さんは2人を見守ってるポジションではなく、犬飼と高校時代、大学時代と交際しているので3人の三角関係の話でもあるのかな…?
ただ犬飼は戸森さんと関係はあるのですが、どーにも
三郷にだけ執着、戸森さんも2人のどうしょうもないどうにもならない関係に最初から気づいているので三角関係で拗れる話ではなく、本当に不思議な3人の関係だな、となりました。
犬飼と三郷の関係は歪で、でも他に代え難い不思議な関係で…と色々あるのですが、最終的に戸森さんがめちゃくちゃいい女でかっこよくて最高!というお話なんですよね。
それが女子BLってことなのかもしれません!
犬飼はハチャメチャ過ぎて、三郷への愛は分かるんだけど暴力振るうし戸森さんに対する扱いもなかなかひどい男です。
三郷もかっこいいけど、なかなかハッキリしないタイプで、こうなってくると女子の戸森さんが1番素敵だった!
先生の描くかっこいい女子にすっかり惹かれてしまった1冊でした。
BLという目で見ると、私は面白かったけど2人の男子にハマれるか?これは好みかな~と思います。
◆火花(表題作)
女子である戸森視点で描かれているのが新鮮でした。犬飼と三郷が初対面でお互いのどこに惹かれたのか説明されることはありませんが、明日美子先生の表現力でしっかりカバーされているので気になることもなく。まさに火花が散るような電光石火の強烈な出会いだったんでしょう。戸森の立場は複雑ですが、男2人からけっして軽んじられているわけでもなく、犬飼にとっても三郷にとっても必要なキャラだったと思います。犬飼は暴力が好きな男ではないし、三郷も痛めつけられたい男ではない。衝動を鎮める術も分からず、互いに戸惑いながら長い年月をかけてあるべきところに収まっていく、そんな未熟でもどかしい2人のやりとりが表紙の色使いのように瑞々しく描き出されていました。
◆英雄と少年
短い同時収録作でしたが、少年がいかつい鎧に近づいて、兜の隙間から仄暗い英雄の顔が覗くシーンにドキドキし、もっと読みたかったなぁと思いました。たった20ページほどで余韻を残してくれる明日美子先生、さすがです。
カプの攻めの彼女が主人公って
なかなか珍しいお話。
主人公の女子が魅力的で
メインのカプはなんやかんや
けんかしてすれ違って別れたりつきあったりを
繰り返しそうな2人だねって感じでした。
運命の2人の出会いからの目撃者で
数年に渡る巻き込まれ、、
明日美子先生のファンで発売を楽しみにしていたけど
明日美子先生だからこそ続きが出た企画?
なのかなと。
攻め厨だけど暴力男の攻め君の
良さはあんまりわからなかった。
受け君もゲイのウジウジ系で
ドラマチックだけどもうちょっと
男子達の魅力を感じたかったです。
三角関係モノです。
大好物…!!
女子BLに掲載されていた作品なので、三角のうちの1人は女子、男2人と女子1人の三角関係です。
攻めの耀司は戸森と付き合っていますが、転校生の受けの三郷にとても執着していて、暴力という形を向けています。
ある日三郷がクラブ棟の上から飛び降りて、それを庇おうとして耀司も一緒に落ちる。
軽い怪我ですんだ耀司と入院した三郷。
そして別れを告げられる戸森。
戸森は耀司の気持ちに女の感を感じていたのだと思う。
伝う涙は自らの悲しさと、やっぱりという気持ちが含まれているように感じられた。
このあとされるキスは唇と唇が触れ合う描写がないので、目覚めなければしていたけど寸止めだったのかなと私は初めて読んだとき思った。
読み進めていくとキスしたあとだった可能性の方が強くなったのだけど、この離れた唇と唇の描写が余白があって好き。
音がない世界、でもそこに確かにある空気の流れや熱を感じる明日美子先生の妙技を味わえる。
また転校していった三郷と停学になった耀司。
残された戸森。
火花とは、耀司と三郷の間に散った熱を戸森が感じた表現だった。
もう会うこともないのかと思っていたら、戸森は3年後三郷を見かける。
耀司と会うのも3年ぶりだった模様。
入った喫茶店で、ウェイターをしていた耀司と偶然出会う。
再び体を重ね合うけど、耀司の心は三郷にあることを感じる。
病院での寸止め(初見時私は寸止めかと思っていたので)の件があったので、高校生時代耀司と三郷はそういう関係ではまだなかったのだと思っていたのだけど、そういう関係だったという回想がここで挟まります。
泣きながら戸惑う耀司と、同じく泣きながら唇を合わせる三郷。
唇を合わせると書いたけど、厳密にはここでも唇が合わさった描写はない。
病院の時と同じ描き方でした。
なのになぜか私は病院では寸止めに感じて、ここではキスしたあと離れた唇に感じた。
先に書いた通り、読み進めたあとはどちらもキスしたあとなんじゃないかと思うのだけど、最初に読んだときはそんな風に感じて、読み返した時は両方キスしたあとだったんじゃないかと感じたこの想像力に委ねられた描き方がとても素敵で好きです。
「お前さ、三郷と会ってんの?どこかで見た?」
この一言に、耀司の三郷に会いたい気持ちがすごく乗っていて、見ていないと嘘をついた戸森の気持ちもよく分かる。
火花とは、恋心。
3人の恋心が交錯する。
気持ちが三郷にあるのに、耀司は戸森と元サヤに戻ります。
戸森は内心びっくりしたんじゃないだろうか。
でも、また自分が耀司と付き合えて嬉しい。
糸が繋がったのは自分だと思っていたら、戸森は合同説明会で三郷と鉢合わせる。
偶然は運命で、運命は必然。
先に牽制したのは、既に負けを感じているからもあるのではないか。
2人の間に火花が散るかと思いきや、三郷には付き合っている人がいるという。
でもこれは嘘なことがスマホの画面の描写で伝えられる。
一コマでその事実を伝える技量。
「三郷に会ったよ」
今度は嘘をつかなかった戸森。
心の余裕が伺える。
一方、出会系で会った人とヤろうとしていた三郷は「肌白いね」と言われて昔耀司に同じことを言われたのを思い出す。
蘇る当時のこと。
耀司との行為。
耀司への気持ち。
あの日の幻。
ーーー切ない。
三郷の気持ちに気づいている戸森が男前なんです。
耀司を巡って三郷に対抗心を持っているのに、それでも喝を入れてくれる。
耀司の元につれてってくれる。
出会ったが最後、もう言葉なんて必要ないくらい絡み合う火花。
自分が恋をしているから、知っているから、目の前の2人の光景が眩しい。
自分じゃなかった切なさと、それを美しく思ってしまう気持ち。
戸森の、認めるしかない気持ちと葛藤が伝わってくる。
戸森は耀司と三郷の間にいてもらわなくてはならない存在でした。
あれから1年。
せっかく2人の糸を結ばせてあげたのに、耀司と三郷はまたすれ違っているらしい。
「思ってたんと違ったか」
この言い方が好き。
関西人でもないのに唐突に関西弁を挟む喋り方が最近の若者らしいなと思うし、サバサバした戸森の男らしさも感じる。
三郷と会っていないと嘘をついた戸森。
同じ嘘でもそれぞれ気持ちが違うのが伝わってくるのがすごい。
戸森と三郷の不思議な共同生活。
だけど意外と相性がいい2人。
さながら女子同士の友達のようで、男だけど女側の三郷の立ち位置を表してもいるようで面白い。
(女側という言い方はよくないけど。)
別れてるのに、まだ耀司が戸森の家の合鍵を持っていることには驚いた。
戸森と三郷の関係を勘違いした耀司が激怒して戸森に手をあげようとしていたところを庇う三郷。
ここで三郷と戸森の間に友情を感じたのは私だけだろうか。
耀司と戸森が仲直りすることと一緒くらい三郷と戸森にとっても大事なシーンだったと感じる。
すごい大事なシーンの戸森のセリフが誤植になってるように思うんだけどこれでいいんだろうか。
誤植だったら勿体ない。
かっこいいと言われて嬉しくなる戸森。
誰かの言葉と誰かの言葉が繋がり合っていく。
この最後の会社の先輩後輩女子2人の間の糸も友情に発展したりする可能性もあったりするのかな。
恋のお話であり、友情のお話でした。
戸森視点なんだけど、三郷視点でも読めてすごく面白かったです。
描き下ろしがまた上手くて。
この短いページの中に3人の気持ちと関係性がとても表現されていて、かつ甘さも感じる。
一コマの表情とセリフで幸せを感じさせられます。
満足!
「火花」のほかに、もう一作「英雄と少年」という短編が収録されていました。
戦いの中、行き倒れていた少年を救ったのは憧れの人。
これはどう受け取ればいいんだろう?
キスは同情なのかな。
別離のお話でした。
明日美子先生の作品はどれも大好きなのだけど、リブレさんの作品は特に好きかもしれません。
女子高生の戸森が付き合っている同級生の犬飼は、転校生の三郷に執拗に暴力を振るっていた。段々エスカレートしていくそれは憎しみなのか何なのか…?
戸森の目線から見た犬飼と三郷の繋がり。犬飼を好きなのに2人がうまく行くよう協力しちゃう戸森がいい子すぎる(泣)女子はいらんのじゃ〜と思いがちだけど、彼女は憎めない愛おしい存在だった。
犬飼と三郷が出会った時に、確かに火花が散った瞬間を目撃した戸森。それは始まりであり永遠。犬飼と三郷には素直になってずっと仲良くやって欲しいし、戸森にも是非とも良い人が現れて欲しい〜!
第三者、しかも女子視点のBLという斬新な設定。
なので、"彼ら"の気持ちはそれぞれの表情や言葉、戸森さんが感じたモノから読み取るしかないけれど。
ふたりの心を深く知ることができないぶん、外側から見る一つひとつのエピソードがとても濃密に映りました。
求め合うふたりの矛盾、その裏にあるのはきっと純愛。
でもヒリヒリしていて痛々しいほどのソレは、周りからは理解できない部分がたくさんあって。
「好き」という気持ちをぶつけ合うことができないふたりの不器用さに胸が締め付けられるようでした。
そんな彼らの様子を一方向から見ているだけなのに、たくさんの事が伝わってくるのが本当にすごかった。
戸森さんの程よい存在感もとても心地良くて、ふたりにとってなくてはならない人だったのが伝わります。
耀司の彼女だからこそ見えていた景色、女子だからこそわかる少しの変化を絶妙に表す描き方は
さすが明日美子先生だなと思いました。
言ってしまえば周りを巻き込んだ不器用なカップルでしかないふたりだけど、見方を変えればこんな素敵な物語として紡げるんですね。
唯一無二の世界観だなぁ…と、しみじみ感じてしまうような作品でした。