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mouth to mouse
さきしたせんむ先生によるホラー系短編。
ホラー、と書いたけども、怖いというよりも取り返しのつかない何かを突きつけられるつらさ、のような感情。
主人公・光は、死のうとしてビルから飛び降りる。
が、奇妙な人物〜頭部が焼けたマッチ棒のような異様に背の高い男〜に抱き止められて優しくされる。
すると急にその人物は恋人の肇の姿になって…
…という感じで、脈略のない夢のような。
思い出したくない過去を再現している。
だって肇は実際はもう死んでいる。
自分の母親との無理心中で。
とても重いテーマ。
肇があの世の境で光を生に戻したんですね。
臨死体験。
光は生きている事をすぐには肯定できないかもしれない。このまま寝たきりなのかもしれない。
肇の笑顔や恋人として過ごした時間も確かに現実だけど…
朝の光溢れる病室で、でも暖かさは感じられない、何かは決定的に失われたような。
そんな寂しさを感じた。