惑星

wakusei

惑星
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神0
  • 萌×21
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
1
得点
4
評価数
1
平均
4 / 5
神率
0%
著者
木原音瀬 

作家さんの新作発表
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媒体
小説
出版社
ホーム社
レーベル
発売日
価格
ISBN
9784834253870

あらすじ

貧困、暴力、搾取、死。
自らを「宇宙人」と呼ぶ男の人生は、はたして“絶望”なのか――。
木原音瀬が挑む新境地。

漫画家・平庫ワカ氏によるカバーイラストにも注目!

「ジブンは地球の人間じゃない。早く宇宙の星に帰りたい」
自称「宇宙人」の男・ムラは、ドヤ街でホームレス生活を送っていた。空腹に耐え、過酷な日雇い労働をし、ある時には金をだまし取られながらも淡々と日々を過ごすなかで、ひとりの芸術家の青年に出会う。そんなある日、「星」にいるはずの父親の遺体が解体現場から発見される――。

表題作惑星

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レビュー投稿数1

社会の孤立者の無自覚な絶望が容赦なく刺さる

木原音瀬先生の独特な暗さと痛みが全編を支配し、

最初は主人公・ムラの思考のよって、
現実と非現実の境界が曖昧に感じられて、
読み進めるにつれて無慈悲な現実に引き込まれる展開。

「宇宙人」という設定のファンタジーではなく、
BLや恋愛ものでもないと思う。
(恋愛要素ががはっきりしていれば、間違いなく神作品)

生活が厳しい階級に生きているムラという社会の孤立者、
彼の深淵に潜む無自覚な絶望を容赦なく書き出して、
救いのないメリバのような結末が心臓に鋭く突き刺さる。


自分のことを「宇宙人」だと思い込む
中年のムラ(知的障害?精神年齢は子供のまま)が、
物事の多くを理解できないまま、
「宇宙」に帰った(=いなくなった)お父さんとお母さんを思い続け、
いつか自分も「宇宙」に帰れることを待つ。
ただ食べるためだけに土工の仕事をして、
金も体も騙されて、
物理的な飢えだけでなく、
さまざまな理由から体に痛みをも抱えている。

虚しい日常と無情な現実の中で、
彼が出会ったのは年下の芸術家・カンさん。
優しいカンさんのアパートで暮らすようになって、
カンさんが描いた宇宙の絵だけに惹かれるだけではなく、
次第にカンさんに依存していくムラ。

現実に対抗する術を持たないムラにとって、
カンさんは唯一の逃避先。
カンさんといると安心し、
必死に彼に縋りつく無助な感情の中で、
孤独と無力感が鮮烈で痛々しい。

垣間見えるカンさんの過去の恋が、
カンさんがラムに恋心を抱いているのだろう。
(コミコミスタジオ特典の書き下ろしSSカードは必見)

直面してしまう
大好きなお父さんの遺体の発見、
お母さんの知られざる一面
カンさんに拒否される現実・・・
崩壊しかけるラムの精神の苦しみに震えが止まらない。

社会の底辺で疎外感に苛まれて、
希望が見えても、絶望が絶え間なく、
それを払拭する力を持たないまま、
それでも生き続けるラム。
辛辣なリアリティが胸をえぐる作品でした。

1

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