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tenkyo shimashita
表題作シリーズと短編が1作品収録されています。
表題作シリーズは、エリートでお金持ちなエグゼクティブとと平凡なサラリーマンとのお話。
作品の冒頭から受け様は涙腺が弱いという設定で泣いているシーンがあるんですが、中盤過ぎ位まではほんとによく泣いています。
自分の気持ちを伝えなきゃいけないのに、感極まって泣いてしまって言えない…というシーンの時には、はっきり言ってちょっと泣きすぎだろと思ってしまいました。
心情的にも女の子っぽいところがあるので(台詞も少し女っぽい)、こういう受け様が苦手な方には向かないかも。
攻め様は紳士的な感じなんですが、意外に強引だったり、子供っぽい所もあって、私は攻め様の方が魅力的だなと思いました。
寡黙な所も好み(むっつりとも言うw)。
出番は少ないのですが、攻め様の秘書のキャラも好きでした。外見に似合わずコミカルな所が面白かったです。
ゲイで社長という肩書を持つ引っ越し魔でちょっと強引な久継さんと、ふつーの会社員で物を溜めこんでしまう性質でちょっとお片付けのできない淳之。
出会いは飛行機の中、引っ越しを考えあれこれ悩みあぐねる淳之に、引っ越し魔の久継が声を掛けたことから始まります。
引っ越し魔で本当はそろそろ引っ越しをしたい、けれど周囲に止められている。
ならば他人の引っ越しを手伝わせてくれないか、と。
大家のおばあちゃんが亡くなって感傷的だったからか、流されやすい性格なのか?
淳之はそれを承諾→帰国後ご飯を奢られる→自宅アパートに送られる→弱っている所をつけ込まれ襲われる、と言う「あっ」という間に美味しくいただかれてしまうのです。
何という急展開!
でも淳之は久継を非難するのではなく、逆に眠る久継を見てドキリとしてしまい、湧き上がる感情に悪くないかな?と思ってしまったりして。
久継は社長職で両家の子息。
ゲイであるという理由で、いくつかの会社を任されるかわりに実家からは勘当された身ではありますが、生れも育ちも根っからのセレブ。
淳之はごく普通の家庭の生まれで生活水準もいたって普通で庶民なサラリーマン。
そんなふたりが急に同居し始めて、上手くいくのか?
初めはやはり急に始まった同居・恋人関係に、こんな関係はすぐに駄目になってしまうのでは?と淳之が悩み、気持ちをはっきりさせることができずに、グズグズと流されたまま関係を続けていて。
なにしろ、いたって普通な敦之と久継さんとでは生活のスケールや身の回りの持ちもの、人脈なんかもケタ違いの差があって…
そのことで本当にふたりの関係が壊れそうになったのだけれど、そこを乗り越えてからは「同居」から晴れて「同棲」になったんだと思うのです。
それまではキスもするしもちろんその先もしているけれど、淳之側に久継に対して「心」を全て明け渡すまでいかない、いけない差をどうしても感じてしまっていたのです。
元をただせば久継が強引に同居に持ち込んだのが駄目だったんでしょう。
久継さん大人でデキル男なのに、けっこう強引で妬きもち焼きで淳之に執着している。
料理もできて世話焼きで、なんでもデキル男、そして根っからのセレブ!
淳之は大変お買い得な男を捕まえたのだけど、強引なのが稀にキズ。
淳之は思いっきり庶民で、久継の行動や考え方に多少振り回されてはいるものの、一緒に暮らせば暮らすほど久継の色々な面を見てどんどん好きになっていく。
好きだから嫌われたくないという感情が強く、一生懸命。
どうやっても自分と久継との差は埋まらない、けれどそれをなんとかして少しでも対等になりたい!と頑張る淳之が良かった。
このシリーズは基本読み切り連作なので、短いながら毎回イタしているシーンがあります。
激しくはありませんが、間の取り方やシチュがエロティックな所があり見えない部分を想像させると言えば良いのでしょうか?
なにやらかき立てられる物がありました。
全編通してふたりのラブラブで、何か凄い事件が起こるとはありませんが読んでいてほのぼの幸せになれる1冊です。