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shirayuri no kumotsu
この作品を読み終わったすぐの私の感情。
ゾッとしました。
ハッピーエンドなのに、なんだろう。この手放しで喜べないゾワゾワ感。
ある一方ではあまあまラブラブ、もう一方ではホラーです。
感情の置き場が分らない読後感。感情がグチャついてますが、このストーリー運びはさすが宮緒先生、すごかったです。ネチネチと粘りつく得体の知れない感じは気味が悪いけど、妙に引きつけられて目が離せませんでした。
大陸を二分割する大国同士の対立によって再会する幼馴染の物語だと軽快に読んでいたら、別の角度からカウンターパンチ喰らった感じのエンド。この結末がハッピーかどうかは分らないけど、"すごい!"ということは言えます。
元々のストーリーの始まりとしては、司教のヨエルがスパイとして帝国軍の上層部を手籠にして軍の機密情報を入手するっていうもの。帝国軍の有能な軍人として現れたかつての幼馴染と再会し、任務と恋心を天秤にかけて……みたいなストーリーを頭の中で想像してました。
でも宮緒先生だしな……いつも想像の斜め上をいくストーリーを投げてくるのでドキドキしてましたら、やはりですよ。きましたよ、すごいのが。
ここで一旦言っときますが、この作品は絶っっっ対にネタバレなしで読んで欲しいです。
さっき私が言った、ゾッとした読後感や気味の悪い感覚はネタバレせずに読んだからこその味わいです。この作品を心ゆくまで堪能するには、ネタバレなしでの読了がマストです。
少しだけヒントを挙げるとするなら…
"あの人だと思っていたのに、まさかのこの人だった"というストーリー展開にご注目下さいってこと。ちょっとした謎解き要素もあり、めちゃくちゃミステリアスです。
幼馴染との再会ものってさっき言いましたが、この幼馴染はヨエルとかつて修道院で共に暮らした双子の兄弟の弟の方。兄は亡くなり弟のリヒトだけが生き残って、軍に入ったという背景があります。
この、"双子"というのが大きなヒント。勘の良い方なら、すぐにピンとくるかもです^ ^
でも、"あの人だと思っていたのに、まさかのこの人だった"の真実は作中ではハッキリと明言されてないので、真実かも知れないし真実じゃないかも知れない……結局どっちなの?っていう煽り感がハンパないですが、この謎の真相は、読者自身が感じたままに判断しなきゃならないのがちょっと憎らしいです(笑)
与えられた情報から紐解けば、答えは自ずと導かれますが、その答えはぜひ実際に読まれて感じて下さいね。
ヨエルのためなら何でもするリヒトの忠犬ぶりは、ヨエルの使用済み靴下が大好きな変態さんでした。
このことから分かるようにリヒトのヨエルへの忠義心や献身愛はえげつないです。それだけを見ればラブラブエンドなんですが、単純にそんな感情に浸らせないところにこの作品の面白さがあります。
ゾッ。ともしましたが、でもスッキリもした読後感。ヨエルがずっと虐げられていた教会関係者への制裁はスカッとしました。
愛は時に狂気にも凶器にもなると言われるけど、まさにそれを思い知った物語です。ものすごい執着心を見せてもらったせいかまだドキドキしています。
あああ、もう、読書中も読後の今も震えてます。すごすぎて…
以下、大きなネタバレを含む感想となりますので未読の方はご注意ください。↓
新装版に加えられた書き下ろしが素晴らしくダークで闇で最高でした。。言葉が出てこないー!
旧版未読、裏表紙のあらすじだけチラッと見た程度で読み始めたのですが、もう、本当にページをめくる手が止まらない止まらない。
これぞ宮緒先生!と手を叩きたくなる、変態執着陰湿ワンコ攻め。
期待以上の受け狂いワンコ攻めの姿に、読みながら歓喜に震えました。
帝国と王国、対立する敵国同士の准将軍×聖なる司教。
密偵として帝国軍の陣営に入り込み、敵将軍を自らの体を使って籠絡し情報を得ようとするヨエル(受け)ですが、敵陣には同じ修道院で育った双子の弟・幼馴染のリヒト(攻め)がおり、ヨエルを慕って纏わりついてきてー
と続くお話です。
リヒト(現在)の正体というのは読者には、そしてヨエルにも途中途中で落とされる不穏な手がかりによって勘付けるようになっているのですが、分かっちゃいたけど書き下ろしが本当に怖かったーーーー!!!
本当にとんっっでもないほどの執着。
ヨエルを手に入れるためなら、血の繋がる者であろうと中を躊躇なく殺せてしまう怪物攻めに震えながらも、その一途すぎる愛に絆されてる自分が不思議…
宮緒先生の筆力の成せる技ですね。はあ…すごい。。
靴下舐め舐め、ヨエルの着たもの履いたものを身の回りに集めて眠る(まるでオメガの”巣作り”みたい)、喜んでヨエルの体を舐め尽くすワンコに、いつの間にか愛を感じてちょっと「いいなあ」とか思っていた自分、大丈夫か目を覚ませ!と今この文章を書きながら思ってます。笑
リヒト(本物)がされた仕打ち、真相をもしもヨエルが知ってしまったら…と想像すると背筋がぞぞっとするのですが、あのリヒト(現在)がそんなミスを犯すとは思えない。
こうして真相は闇の中、化け物とその供物はいつまでも幸せに暮らして…というハッピーエンドなんだろうなあ。
恐ろしさに震えつつも、読後興奮が治らない、なんともダークな魅力に満ち満ちたワンコ執着攻め(←そんな可愛いもんじゃない)の物語でした。最高です・:*+.
ミドリノエバ先生のイラストも、作品の世界観にぴったり合っていて素敵。
ここ数ヶ月、立て続けに宮尾先生が刊行された作品の中で、ダントツ一番印象的で好き(「錬金術師の最愛の悪魔」の時も同じこと言ったけど、それを上回りました)な作品、堪能しました。
この雰囲気、本当にたまらないです。
ハッピーなのかアンハッピーなのかが非常に曖昧なんですよ。
そこがすごく良くて、きっとハマる人にはハマる作品なのではないかな。
全体的にしっとりと高い湿度にひんやりとした冷たさ、薄暗さを感じるこの奇妙で歪な再会物語から目が離せませんでした。
読み始めてすぐに、これは絶対にダークだぞ…とわかっても、もっともっとと先が読みたくなるお話です。
幼馴染の再会ものといえば何を思い浮かべるでしょうか。
爽やかさ?甘酸っぱさ?ときめき?切なさ?
いえいえ、そのどれもが当てはまらないのだから宮緒作品はおもしろいのです。
「愛する者のためならばなんでもする」とは、決して珍しくはない言葉でしょう。
ただ、こちらの作品の攻めは文字通り本当になんでもしてしまいそうなんですよ。
盲愛・常軌を逸していそうな執愛・世界に受けしか必要がなさそうな攻めあたりのワードにピンとくる方がもしいらっしゃいましたらぜひ。
主人公であるヨエルを取り巻く環境と彼の過去に、ちょっぴり懐かしのBL小説の香りを感じつつ…ヨエルというのは蓮の花のような人だなあと思います。
人々に光をもたらす美しい聖職者でありながら、外側から見えないところは泥にまみれている。
かつては希望を抱いたこともあったけれど、彼が生きるにはこの道しかなかったのでしょう。
かといって、彼が光ある道へ向かっていく希望のあるお話なのかというとそうともいえないのが好みでした。
再会した幼馴染のリヒトから少しずつ漂ってくる執着と少しの違和感と異常性。
そして、彼と接するうちに今までとは異なる種類の泥の中へと徐々に足を踏み入れていくヨエルの心理描写がとても良かった。
読み終えた頃にはすっかりリヒトの一途さにハマってしまって、やはり宮緒先生の犬攻めは最高だなと。
書き下ろし部分も含めて好みど真ん中でした。
ひと癖ある執着ものがお好きな方におすすめしたいです。