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Parastic soul unbearable sorrow
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
「パラスティック・ソウル 」の6巻目にして完結編。
順番としては『パラスティック・ソウル 1』→『パラスティック・ソウル 2』→『パラスティック・ソウル 3』→『パラスティック・ソウル endless destiny』→『パラスティック・ソウル love escape』、ときて、今巻に続きます。
正直、前巻の「 love escape」で完結だと思っていたので、まだ続きがあるんだ、と思っていたのですが。いや、もうさすがとしか言いようがない。木原先生っていったいどこまで見通して作品を書かれているんだろうかといっそ感心しました。
あとがきでも木原先生が書かれていますが、今作品は『パラスティック・ソウル endless destiny』のその後です。その後、というか、今作品を書きたくて『パラスティック・ソウル endless destiny』を書かれたとのことですが、納得。
もう、ヤバいくらい面白い。
未読の方はぜひとも1巻から読んでいただきたいです。
今シリーズは「O」という身体を持たない生命体を中心に紡がれていくお話で、前3巻はOに乗っ取られた人のお話。後半3冊はOに焦点を当てて描かれたお話。完結編にあたる今巻は、「O」たちが住まう「ネスト」というコロニーを舞台に紡がれていくお話です。
前巻を含んだネタバレがあります。ご注意ください。
身体を持たない生命体「O」。
Oは、ビルア種と呼ばれる犬の耳と尻尾を持つ人間に寄生することで具現化できる。5歳のビルア種に寄生し、だがしかし、寄生主が30歳になると強制的に身体からはじき出されてしまう。そのたびに、身体を乗り換え、乗っ取ることでOは永久に死を迎えることはない。
寄生主が死んだ際に、白い球となって口から排出され、その球を違うビルア種に飲ませるというループを行う。
が、寄生主が突発的な死を迎えると、無防備な状態の珠は傷がついてしまうことがある。傷がつくとOの能力にも傷がつき、「O」としての能力が欠如していく。最近、傷がついたOが増えているが、そのOをサポート(作中では「コーディネーター」と呼ばれていますが)しているのがパトリック。
傷がつき、パトリックに乗っ取りをサポートしてもらっているのが、今作品の攻め・シド。シドはパトリックにほのかな恋心を抱いているが…。
パトリック、という青年はミステリアスなんですね。
感情をあらわにすることはあまりなく、傷がついたO(Eランク、と表現されていますが)にマッチする寄生主を探し宛がうことに苦慮しているワーカーホリック気味な青年。
彼を形容する「ミステリアスさ」が、今作品のキモと呼べる部分かと思います。パトリックが、なかば強引にEランクのOに寄生主をあてがう、その理由はー。
ここで『パラスティック・ソウル endless destiny』につながってくる。その伏線の回収のすごさに思わず鳥肌が立ちました。
で、今作品の面白さは、前半だけにあらず。
むしろ、後半が今作品のキモです。パトリックがコーディネーターとして奮闘していた理由は前半で明らかになりますが、ここで終わらないのが木原作品ならではか。
ビルア種に寄生する「O」の存在に気付いた人類は、「O」撲滅に乗り出すが。
木原さんらしい残酷さと、その中で生き抜こうとする「O」たち、そして、パトリックの本当の望みと、パトリックに恋い焦がれたシドのその後は一体どうなっていくのか。
今作品はBLにジャンル分けされていますが、SFとしても最高傑作で、BLという枠を超えて多くの方に読んでほしいと切望しています。が、BLとして読んでも素晴らしい。シドがパトリックに向ける愛情の深さに思わず落涙。そんな深い愛情はパトリックに伝わる日が来るのか。そして、理解できた暁に、パトリックはどう感じるのかー。
今作品は特典ペーパーがついてきますが、読んで、「え?」という読後感に包まれました。これ、読めない方がいらっしゃるのは非常に残念。ぜひともペーパーがつく場所で、添付されているうちに買ってほしいです。
「O」は絶滅したのか、それともー。
木原さん作品は時に痛いものも、ドシリアスなものも書かれますが、今シリーズはそのどちらでもなく、そのどちらでもある。木原音瀬という作家の才能に感服。
素晴らしい作品に出会えたことに感謝しかない。
文句なしの神作品。多くの方に読んでほしいと思う、最高な作品でした。
シド×パトリック
完結巻にふさわしい、
精神的な痛みにズタズタにされて…、
切ないけど、愛に満ちている。
さすがに木原音瀬先生の手腕だ。
シリーズを読まなくても、この巻だけでも全然問題ないと思う。
何度も肉体を「乗り換え」しても、
また愛し合って、愛の永遠性が感じられる。
肉体がなくても、精神だけの純粋さで、
永遠の時間の中での愛に全身が震える。
書き下ろしSSペーパーの結末がさらにホッして涙を誘うでしょう。
ケモ耳のビルア種に寄生するO(オー)という精神体が集まるコロニーが最初の舞台で、
ケモ耳ビルア種の肉体に「乗り換え」するたびに、魂がダメージ喰らって、
ビルア種の本体をコントロールできなくなっている、
主人公のシドの苦しみにグッとくる。
そんなシドの心のよりどころが、
同じO(オー)である、彼の「乗り換え」をサポートしてくれる、優秀なパトリック。
シドがパトリックに想いを寄せているけど、
パトリックは愛ではなく、
体の欲望を満たすだけの関係を築いてくれるという始まりだが、
まさに予想できない展開で、
コロニーにいる仲間たちの関係とか、
残酷な選択をしなければならず、
殺すことや自決という現実とかに迫られる。
パトリックから見ると、
O(オー)という存在の深みがある。
O(オー)として、愛されたり愛したりするけれど、それはいつも期間限定。
自分の実存を宣言することができないし、
愛する人の名前を呼ぶだけで精一杯。
「乗り換え」して中身は変わらないのに、愛されないというのが痛苦、
魂は永遠だけど、傷だらけで、愛のない行為を繰り返すなどの、
肉体を持たないがゆえに感じる孤独感に心をえぐられていって、
それを打破していくパトリックの、
「永遠を選ぶ」という死(絶滅)を賭けた選択が、
愛と絶望が入り混じっている思いが複雑で重く、息ができなくなるほどになる。
一方、シドはただ純粋にパトリックを愛していて、
パトリックからの愛を望んでいない。
どんな時でも、たとえ裏切られても、
絶対にパトリックを手放することはしない。という
彼の偉大な愛情に胸が熱くて痛めて、
パトリックとのずっと一緒にいたいという覚悟と・・・その結末に心に刺さる。
醍醐味として考えさせられるのは、
自分の意志とは関係なく寄生されるビルア種、ある意味で悲劇。
自分がなくなって、大切な家族と引き離されたり、
寄生が勝手に終わった後の人生はどうなるのか・・・可哀想でたまらない。
近未来SFの物語で、ケモ耳の設定の中で、
愛があちこちに散りばめられていて本当に素晴らしい。
シリーズのキャラたちが愛を異なる形で表現し、
独創的な世界観を作り出して、先生のセンスが光り輝いている。
特にこの完結巻は心に残るものであることは間違いありません。
ケモミミ近未来シリーズ♪っていうファンシーな設定から想像できない哲学じゃね…?!なガチな内容ですがとても読みやすいので安心してください。私はシリーズの最初から読んでるのですが、単体でも楽しめるんじゃないかなと。あと、ここから初めて興味をもったら遡って読むというのもいいかもしんないです!
こちら小説D+誌掲載時に読んで最後の”O”、もはや狂気!なんて震えたので、文庫を手に入れてからしば~らく積んでたのですが、、やはりというかさすがというか、読み始めたらあっという間にその世界観に引き込まれまくり…。また、描き下ろしもあって、以前おぼえた恐怖wとは違う印象がありました。この物語に流れる切なさの説明は難しいぜ…と心をまるっともっていかれるような読後感がありました。サブタイトルの”unbearable sorrow"、耐え難い悲しみってゆーのかな(直訳まんまだと)、やはりここは極北的切なさですね。恋愛って一人でするものでもないんだろうけど、結局一人にならないとわからない気持ち、それを知って自覚する感情みたいなものなのかもしれないなと思うのでした。
徹頭徹尾突き放したような視点で語られるような文体が、この残酷な物語をとても読みやすくしてる気がするんです。主人公が抱える感情の矛盾に「いやもう、お前は何がしたいんだよ~!」ってなるんですけど、こういう複雑さを読み易い文章で伝える巧さは、安心安定の木原先生です。
物語の途中まで、あれ~?こいつって~?、、パトリックと名乗る「O」の正体を忘れてたんですけど、あぁ!あのアイツね~!ってなる瞬間の楽しさがシリーズ読破組にはあります。物語ごとに姿も名前も変わる「O」なのに、きっちりそのキャラクターに一貫性があるのが面白いです。本当に不思議じゃないですか?名前も顔も変わる相手を特定のひとだと判別できる魂レベルの感覚って、なかなか人間には得難いものだと思うんですよね。正直、このパトリックが執着しているジェフリーってそんなにいい男だったっけ?っていうところがありまくるんです。むしろ、この人はハルの内面以上に”肉体(見た目)”に執着してたような印象すらあったんで、そこに人間と”O”との本質的な違いを感じずにはいられなくて、パトリックが哀れに見えました。
”忘れない”っていう特性って苦しいことだと思うんですよね。タイトルとこの特性を持つ完璧な”O”の存在がリンクしてしまいました。過去の楽しい思い出を忘れないから、その後に思い返すことで失った悲しみを繰り返すというところで、サンドラとシドとパトリックとの疑似家族の件は、本当に涙腺にくるものがありました。最初に読んだときは、木原先生なだけになんか不穏な展開もあるんじゃないかと勝手にドキドキしたものですが…。この件は全体からみた分量としては短いけれど、都市部と対照的な自然の豊かな色彩が描かれている視覚的な部分や、いろんなことを考えさせられる示唆的な描写がぎゅっと詰まっている密度の濃いパートだなと思いました。
本編のオチ…まるで文芸のような曖昧さで、あぁこういうのもアリだなって思いながら、ふいにピラっと挟まれてるおまけSSを読むと、なんとゆーハピエン!!ってノックアウトされるのでした。萌えるとかそういう表現で評価できない神作品です。
過去5作のどれもが印象的で、どの巻にも魅了されました。
すべての登場人物の生き様に夢中になって読みました。
そして遂にパラスティック・ソウルシリーズも最終巻。
ちょっと、言葉が出ないです。すごかった。
14年もの歳月をかけて完結した最終巻に相応しい濃い内容でした。
木原先生はこちらのシリーズの構想を練り始めた時に、いったいどこまで考えられていたのでしょうか…
独創的な唯一無二の世界観に濃厚な心理描写。
ドラマチックで心揺さぶられるストーリーと人間ドラマに最後まで魅了されっぱなしでした。
今作はもちろん、シリーズを通してこちらの評価です。
寄生先であるビルア種の死、または30歳前後で吐き出されてしまう、ころころと丸く白い無防備な魂の欠片。
乗り換わる前に破壊されてしまえば簡単に人知れず死んでしまう見えざる命。
過去5作を読んできて、なんとなくOと呼ばれる彼らにタイムリミットを感じていた方も少なくないのではないのかなと思うのです。
6巻では、これまでの作品ではあまり描かれて来なかった魂の部分に傷がついた不完全なO・シドの物語が描かれていきます。
傷ものであるがゆえに、乗り換わった宿主の自我の部分を制御出来ずに日々骨を折っているシド。
そんな彼に再度の乗り換わりを提案する、シドが恋情めいたものを抱いているコーディネーターのパトリック。
初めて登場するOだらけの学園施設のような箱庭の中で、少しだけ変化した今までとは違うOの姿が見えてくる。
途中までてっきり私はシドとパトリックの恋と、終わりが近付いたOのお話になるのかなと思ってしまっていたのです。
そんなことを考えていた自分の浅慮さに呆れると共に、木原先生の見事な発想力と、どこまでも読み手を惹きつけてやまない確かな筆力に圧倒されました。
読み進めてはっと何かに気付き、愕然とし、時間を忘れて没頭しました。
思っていた通りでもあるし、想像を遥かに超えてくるものがあるお話だと思います。
なんでしょうか…ストーリー展開から伏線回収、そして結末まで、そのすべてが素晴らしくて上手い言葉が見つからないのです。
語り尽くしたいのに語り尽くせない。
誰かを愛することの喜びも、安らぎも、悲しみも、痛みも。
素朴でもあり、柔らかでもあり、壮大でもあり、時に壮絶でもある愛情の描き方が非常に素晴らしかった。圧巻です。
第1巻から始まり、少しずつ広がっていったパラスティック・ソウルの世界。
ひとつの設定からこうも深みが出せるのかと、すっかりこの世界観にどっぷりとはまってしまいました。
最後まで追えたことがうれしく、読めて良かったと心から思える愛にあふれた作品です。
本当に素敵なシリーズでした。
パラスティック・ソウル、シリーズ最終巻。 この物語を読めてよかったです。 協力書店の特典が真の最後ですよね…文庫に収録されてないSSですが絶対に読んで欲しいです。 ある人物の強い願いが叶う時、どういう最後を迎えたのか見届けて欲しいです。 愛を知ってしまったが故に、Oである彼が起こしたことその後を読むことが出来て良かったです。 若干のネタバレですが、シリーズで4巻が1番好きなのですが……もうその事が明らかになる瞬間の鳥肌でした。 まだ読んでない方、4巻読み返してから読んだ方がより良い読書になるかと思います。
シリーズの最終巻。
このお話にはまってからというもの、ケモミミを見てはビルア種?と二度見するくらいにはどっぷりです。
5冊目の「love escape」では、O(オー)はとっくに絶滅していて、しかもOのことが教科書に載っていた未来の世界でした。
それも絶滅は30年前だというので、一体何があったのかとても気になっていましたが、その全貌が本書で明かされます。
4冊目の「endless destiny」からの続きでもあることも嬉しかったです。4冊目巻末のSS「Rainy」が実に不穏で、あの薄暗い思念と本書の初期パトリックの得体の知れ無さとは容易に結びつき、唯一大事にしている指輪が決定づけました。
本書の素晴らしいところは、その魂をも救ったことです。
復讐だけにとらわれて、乗り換えても乗り換えてもその機会を狙っていた彼。
本当であればあの裁判の場面で終結するところだと思うのですが、そうならなかった。
もう読み進めるまでまったく結末も見えてこないし、話がどっちに転ぶのかも分からない。
そして得られた最後(購入特典の書き下ろしペーパーのSSまで含む)は納得のいくもので、幸せな気持ちにもなるもので、パトリックの魂もシドの魂も救われるものでした。
終わってしまうのは淋しいけれど、(いや、どこかでSSなどでお目にかかれる日が来ると信じてますが)こんなに満足度の高い作品群を世に出していただけたことに感謝しかないです。
あとがきで、本書を書くために4冊目を書いたようなものだった、とあり、壮大すぎて震えました。
バーンズが「虫」の概念を崩す漢だったのも、6冊目にして新たな発見でした。
表紙のイラストがとても良いです。シドにパトリックにタンカー。美しいミモザの木の下にはサンドラとビゲル。いつまでも見ていられます。
とても印象深いシリーズの最終巻。涙もろい方は家読みを推奨します。声を抑えきれないほどこみ上げる箇所がありました。滅びゆく種族のお話、300Pほど+その続き2編20Pほど+あとがき。先生、お話を有難うございました。多くの方におススメできるタイプの本ではないかもですが、私は好きでした。気軽に読み返せないですが、忘れないシリーズなので神にします。あー、単独読みはちょっと難しいかも。「パラスティック・ソウル endless destiny」まで頑張って読んでください。
シドは本体の精神を抑え込めず、時折表に出してしまうことがあるO(オー、精神体のみの種族)。乗り換えの際に、自らの本体(真珠みたいな白い粒)に傷がついたのだろうと推測されています。そんなシドを気遣い、パトリックは新しい別のルビア種への乗り換えを薦めてくれていて・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
ミンゼァ(シドの仲良し)、チルリ(乗り換えに失敗・記憶を一部無くす、元「虫」)、バーンズ(チルリの同僚、「虫」所属)、サンドラ(老婆)、タンカ(ボーダーコリー)、フラン(ビルア種の子)、柏陽(フランの友人)などなど。
サンドラ、有難う。あなたの与えてくれた時間は全ての人が故郷と認識するものです。感謝しかない。
++ 時系列長いので、おおよその流れを。
シドの学生時代:パトリックは乗り換えのサポート役。絶望編
ホープタウン:シドは新パトリックとなるビルア種の子を拾う 忍耐編
サンドラの家:シドはビゲルとなり、新パトリックはビゲルの子として暮らす 再生編
都市部:新パトリック→ムジカと名を変え、フラン(5歳、ビルア種)に出会う 再生編?いや?
シリーズ読んでいない方はなんのこっちゃ分からないですよね、すいません。とにかく「なんじゃこの展開はあああ」と吠えます。覚悟してお読みください。
++以下 あふれてしまった思い 乱文ご容赦ください
精神体だけの種族Oって、もっと達観しているのかと思ったら、最初から最後まで愛情に飢えているんじゃんか!と、今回ようやく思うようになりました。だからシドはパトリックに執着し、サンドラに深く感謝し、遺していくパトリックのことを深く考え行動する。
乗り換えという行為にあたって、同じOにどうしても依存しないといけないから、誰かを愛し、依存するという傾向があるのかな?そこは人間と同じであってほしいという先生の希望なのか?
人間代表というように登場いただいたサンドラに、私は深く感謝し、号泣しました。彼女がいたから私の共感度合いは上限ぶっちぎり。彼女の晩年はとても幸せなもので、間違いなく羨ましいものでした。それは与えたものに対する対価として本当に充分すぎるもので、欲しくても売っていないもので。天国に行けるよ。たとえミゲルの右手があそこにあった理由がなんであれ。
絶望やら希望やらが繰り返し繰り返し襲ってきます。メンタル落ち着かないお話でしたが、Oという種族の行く末、最後の足掻き、大きな恒星が最後に超新星になるようなことはなく、ただ静かにそっと白い粒になっていく様を見届けられて、良かったです。最後まで届けてくださった先生と新書館さまに、心からの感謝を。(ああこのシリーズの良さをミリも伝えられない。文才なくてとても悲しい。)
Love Escapeからシリーズ2冊目で読みましたが、ややこしい説明はしっかり何度もあり(連載だったから?)、置いてけぼりになりませんでした。姿形を変え、人間と違い長年生き続ける寄生種Oだからこその切なさと世界観に浸れました。BLとしての萌えより読み物として良かった。
木原先生の作品は美形エリートとダサい事務員だとか、ノーマルの男と恋をしたことがない男だとか、見た目や性別、年齢ではなく相手に惹かれ又は惹かれられ「愛(恋)とはなんだろう」と主人公が考える場面が多くあり、このシリーズは木原先生の探求から出来た設定なのだろうと思いました。この作品の中でも、ずっと共に生きたのに乗り換えで忘れられた人、大昔に人間に恋したままの人、シドのパトリックに対する気持ちと好きな心が沢山書かれているのですが、その矢印は紛らわしいこともなく整然としています。
姿形が変わって年齢も性別も変わってその人と判別出来るのは、触れ方や言葉の使い方、目線だとか笑い方だとか、意外とあるのだろうな。変わっても愛せるってロマンチックで、純度が高いテーマだったのだなと思いました。主役二人ともが純粋ということではないですが。
パトリックの魂を飲んだ子がパトリックでもそうでなくても、それはラストのフランも、好きな人の欠片があればその人を愛おしく感じるところはとても素敵で、なぜだか実感がこもって読めたし、でも切なくて苦しかった。読後の複雑な感情に泣けて、読んで良かったなぁと思いました。でもやっぱりシドにはずっと幸せでいてほしかったなぁ。「好きにならないで」は深い。
ラストエピソードとありますが、実は前作しか読んだことはありません。なのでパトリックという人物はこの作品の中からしか知りようが無いのですが、なんて愚かなとしか思えませんでした。
そして1人の私恨によってあのOにこんな未来が待って居るとは思えなくて、やはり木原音瀬先生の紡ぎ出す物語は一筋縄では行かないと思ってしまいました。
他の方のレビューに外では読まないようにとあったので覚悟していましたが、終盤はサンドラとシドの間に流れる愛情に涙が止まりませんでした。
そして同じ年月だけ一緒にいたはずなのに、この2人から何も感じ取れなかったパトリックが愚かに思えたのでした。
本当の愛をシドは知っていて、あれだけジェフリーに固執してOの滅亡に関わったパトリックは知らなくて、シドを失った時に初めて愛を知ったと思うととても感慨深かったです。
雑誌でも追いかけてましたけど、こうして文庫で1冊に纏まると感慨深い。
というか、前中後編とあったのに1冊に纏まったんだ。
めっちゃ分厚いわ~。
受け様は精神体"O"の乗り換えのコーディネーター、パトリック。
攻め様は、魂である白い粒に傷が付いてしまっているシド。
”O”が集団で暮らすネストにて、傷が付き『本体の精神』のコントロールが難しくなってしまったシドに対し、パトリックは更なる乗り換えを執拗に熱心に勧めてくる。
パトリックに対し仄かな恋心を感じていたシドは、返事を曖昧にしつつ、カラダの関係だけを続けていた。
そこへ、シドより状態の悪い乗り換え直後の同類が入ってきて。
最初読んだ時、パトリックの、何を考えているのか分からない態度や底知れなさ、アッサリとした冷淡な態度が、あまり好きになれず。
受け様至上主義の私としては、パトリックが好きになれないんじゃ読むの厳しいかも~だったよですよ(^_^;)
前半のシド視点後、後半はパトリック視点へ。
そこで私は驚愕ですよ。
パトリック、あなたあの人だったの!Σ(゚д゚;)
”O”は乗り換えの度名前が変わっちゃうし、想像もしてなかったので、全然考えてなかった。
そうなると、これまで”O”の撲滅を願って行動していたパトリックの気持ちが伝わってきて胸が痛い。
そして最後までパトリックを想い、無償の愛を貫いたシドの愛情深さも泣ける。
白い粒になってしまったシドを手放せないパトリック。
苦しいなぁ(>_<)
最後は自分が呑み込んでひとつになりたい。
最後の願いは同じだったのもささりました(> <。)
苦しいけど、最後の一人のお話を読めてよかったです。
多幸感溢れるハピエンではありませんが、それでもまた読み返すだろうな。