すずめのちゅん
shiroki yuuwaku ni torawarete kurenai ni nazumu arawashi
結構前に描かれた作品のようですが私はコミックシーモア(読み放題)で見つけて読みました。
太平洋戦争末期の沖縄戦の頃が舞台設定です。日本軍軍艦が沈没し、アメリカ軍に救助された主人公・海軍将校の左右田がアメリカ軍を翻弄しながら祖国のために闘うストーリー。BLによくある攻め受けが出会って恋して結ばれてという恋愛主軸ストーリーではなく、気高く美しい将校である左右田貴史が、関わったアメリカ軍人達に鮮烈な印象を残していく様子をメインに描いています。もちろんBL要素もあります。落ち着いた絵柄の中に耽美な雰囲気も感じました。
いわゆる戦争ものですが、細かい史実は知らないけれど戦争中の軍部の雰囲気を出そうと描いているのが伝わってきます(あくまでもフィクションですが)。敗戦色濃厚な戦況で生き恥を晒すなという風潮の中、本来合理主義であろう左右田が、それでも国のために任務を遂行する様子が美しく切ないです。
いわゆる攻め受けの恋愛だけが読みたいんだ!ラブラブが読みたいんだ!という方にはおすすめできませんが、男も惚れさせる魅力的な男を見るのが好きだ!男前で美しく凛とした受けが好きだ!、戦争ものが好きだという方には非常におすすめです。
以下どんな主人公か、どんな雰囲気の作品かのネタバレあります。結末には触れません。
左右田が祖国のために敵軍を騙し、惑わし、孤軍奮闘するのですが、この左右田が日本軍人らしく凛として男前なのに、外見は清楚で端正な美形なので非常に魅力的です。彼に出会ったアメリカ軍人達の中には彼を好きになってしまう者も出てくるのですが、彼自身は色恋には見向きもせず軍人として全うするのがストイックでとても素敵です。元々私は見目美しく内面も魅力的で他人を惹き付けてやまないのに、自身は色恋は二の次で与えられた役割のことしか考えていないようなストイックな美形が男でも女でも大好きで、この左右田は好みドンピシャでした。
戦争ものとして史実がどうだ、時代考証がどうだとこだわる派ではないので、その辺については分かりませんが、敗戦色が濃い日本軍の必死な雰囲気、対照的なアメリカ軍の雰囲気は味わえると思います。
BL要素としては、アメリカ軍に左右田と過去に関わりがあった軍医がいて彼と左右田の関係、軍医と左右田の兄の関係、その兄と街の少年の関係、その少年と幼馴染みの関係が恋愛要素であり、それぞれのストーリーが戦争ストーリーの中に混ぜられています。
興味がある方には手にとってほしい作品です。